[写真]若い売春婦たち=左、今月某日の午後5時10分、東京都新宿区歌舞伎町の「区立大久保公園」前で、宮崎信行撮影。
性犯罪の刑法改正案について、法務省がおととい法制審部会に「試案(改訂版)」と題した「見え消し」を提示し、来月3日に次の部会で了承する見通しとなりました。総会に上申のうえ答申が決定し、来週からの第211回通常国会にギリギリセーフで提出される公算が高まりました。
「強制性行等罪」を新設した改正刑法の「3年後見直し規定」の附則にもとづく検討は難航し、きょねん10月に葉梨康弘法務大臣(当時)が提出時期を「しっかりと検討を進める」と明言しませんでした。(
関連記事)
「法制審議会-刑事法(性犯罪関係)部会」が異例の2回の年越しとなった背景には、「グルーミング」という新しい概念が出てきたからです。
おとといの「試案(改訂版)」で法務省は「いわゆるグルーミング行為に係る罪の新設」として、わいせつの目的で16歳未満の者に対して、「金銭その他の利益を供与・申し込み・約束して面会を要求する」「威迫し偽計を用い誘惑して面会を要求する」「拒まれたにもかかわらず反復して面会を要求する」などの行為そのものを罪とする案を重ねて提示しました。
年齢にかかわらず、強制性行等罪・強制わいせつ罪などで、「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させる」などして拒絶困難にしてから性行為をすることを罰する規定に関して、法務省が修正試案を提示。「拒絶困難」ではなく「同意しない意思を形成し、表明し、若しくは全うすることが困難な状態にさせ」との案を出し、認められたようです。
この条文を使うのは、法務省ではなく都道府県警察本部になりますので、国会での野党の「鍛錬」が必要になります。
このほかリベンジポルノ禁止法(
9年前の記事)の動画を、警察官が没収したり、検察官が消去したりする規定の要件の改定案も認められたようです。
閣議決定は早くても3月上旬となりそうです。
衆参法務委員会は給与法は秋の臨時国会で処理済みで、前回上川陽子元大臣のときに廃案となった「入管難民法改正案」が先の審議入りすることが予想されます。また、法案とは別に、古川禎久元大臣のときに設置が決まった「技能実習生の見直し」の省内部会も動きます。さらに、林真琴前検事総長が矯正局課長時代にかかわった刑事収容施設法をめぐる刑務官らの不適切な行為に関する国政調査も話題になります。
内閣府男女共同参画局で、野田聖子大臣時代にとまった、「DV防止法」の配偶者間の身体的暴力の規定に、精神的暴力と性暴力を加えるかどうかの改正法案のプロセスとの関係性も野党議員から問われそうです。
Ⓒ2023年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。