【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

救済新法案の提出で宿題はめど来週の会期末週は不透明、補正予算はあす成立のはこび

2022年12月01日 17時57分36秒 | 第210回臨時国会 黄金の2年間 統一教会
[写真]引退記者会見を終えた元衆議院副議長の中野寛成さん(現在82歳)ツーショットにおさまる筆者・宮崎信行、撮影・木下元大臣政務秘書官、ほぼ10年前の2012年11月5日。

【衆議院議院運営委員会 きょう令和4年2022年12月1日(木)】
【参議院議院運営委員会 同日】

 衆参とも理事会が開かれ、次の本会議の段取りを話し合いました。内閣はきょう「悪質多額献金被害者救済新法案」(210閣法19号)を決定。先月18日に決定した「消費者契約法など改正案」(210閣法18号)とあわせて、定例外の月曜の衆議院本会議で審議入りすることが予想されます。その場合は、会期末ですがある程度与野党年越しムードとなりそうです。

【与野党国対委員長会談 同日】
 救済新法案を巡って、高木、安住両国対が協議。重要広範議案扱いで、審議時間40時間以上を提案しました。中盤からの茂木敏充、岡田克也、藤田文武氏ら6党幹事長協議体で調整へ。

【参議院予算委員会 同日】
 「令和4年度第2次補正予算案」の基本的質疑2日目。あすは「外交等」の集中審議3時間コースがテレビ入り。午後1時から締めくくり総括質疑で2時過ぎに採決となりそうです。

 与党協議が大詰めを迎えた反撃能力(敵基地攻撃能力)について共産党の田村智子副委員長は「弾道ミサイル防衛は軍縮につながったのか」と問いました。首相は「ミサイル防衛が軍縮に繋がったかということについて、これは現時点で確定的に申し上げることは困難であると考えます」と答弁。田村さんは「事実を見れば明らかで、核開発も止まらなかったし、軍縮になるどころか、むしろ安全環境が厳しさを増すというのが今の現状」と突き放しました。

 私から付け加えると、第2次世界大戦終戦から数年後に確立した「迎撃弾道ミサイル防衛」という世界観は武器商人も「平和」を最高の普遍的価値観とする世界ですが、ナイキ・ハーキュリーズミサイルを製造していた「ウェスティン・エレクトリック社」は倒産・消滅しました。そのため、PAC3パトリオットミサイルをレイセオン社が引き継ぎました。このため、実は、ミサイル製造も意外と低採算だと考えられます。経済的な国力の強化が安全保障の強化の根底であるのは明らかで、貧すれば鈍する環境にあるとみてとれます。

【衆議院憲法審査会 同日】
 先週は開催されませんでしたが、論点整理を2週かけてまとめるという意味合いもあったようです。今週は冒頭、新藤義孝幹事が発言し、「衆議院法制局に論点整理をするよう私的に依頼した」とし、橘幸信局長がまとめました。

 これに対して玉木雄一郎国民民主党代表は「さきほど新藤幹事が私的に依頼したと言ったが、幹事懇談会が一致してお願いしたものだから、我が党の論点もすでに含まれている」とし、このたたき台で審議を続けるよう求めました。

 立憲民主党の憲法調査会長の中川正春さんは5項目を提示。さきほどの記事と重複しますが、再掲します。

 (1)内閣総理大臣が国会の解散権を政権の都合のいいときに権力の維持に有利なときに行使してきていたのではないか。
 (2)政権が国会の追及を避けるために国会召集に応じなかったということがあるのではないか。
 (3)内閣法制局の人事に政権による影響力を及ぼして憲法解釈などの変更で、統治の正統性を偽装しているのではないか。
 (4)国家に独占される情報について、政権に不利なものは国家機密として国民の知る権利から遠ざけて、ときに政権が情報操作に及ぶことがあっても、現状では国民の知る権利を保障するための民主的な対応策に欠けているのではないか。
 (5)予見し難い予算の不足をはるかに超える歴史上類を見ない多額の予備費を設けて補正予算のたびに積み増し政府が自由に国費を支出することは、財政民主主義を骨抜きにしているということではないか。

 中川さんはこの5項目を、緊急事態条項を議論するときには必ずセットで議論すべきだと主張しました。年を越した後の次の第211回通常国会でも、「橘局長の緊急事態条項論点整理」と「中川5項目」のセットで議論が進むこともありそうです。野党の長時間審議路線に対して、自公維国が強硬採決路線をとることは当面なかろうと思います。

 次回はCM規制に関する参考人質疑。

【参議院総務委員会 同日】
 「地方交付税法改正案」(210閣法19号)が松本剛明総務相から趣旨説明されました。審議し、きょう中に質疑終局の見通し。

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中川正春)権力の暴走5事例を挙げ緊急事態宣言を議論するよう衆議院憲法審査会を進めるよう要求、来週は参考人質疑

2022年12月01日 11時16分16秒 | 第210回臨時国会 黄金の2年間 統一教会
[写真]中川正春・立憲民主党憲法調査会長、先月2022年11月16日、衆議院第4控室で、宮崎信行撮影。

 衆議院憲法審査会がきょう12月1日(木)開かれ、衆議院法制局が緊急事態条項について論点をまとめて整理しました。それに対する質疑や意見表明がありました。来週はCM規制に関する参考人質疑をすることにしました。10日で会期が終わります。

 立憲民主党の中川正春さんは緊急事態条項の議論では、ウクライナ憲法を参考にするだけでなく、日本国内の権力の暴走5事例を参照しながら議論すべきだと語りました。

 中川さんは「しっかりとした歯どめができる機能が用意されていなければならないにもかかわらず、日本は平時から権力の暴走への歯止めが効いていない」と主張。そして「この憲法審査会において、緊急事態というテーマについて討議する際には、議員任期の延長というほんの一部分のみにこだわるということではなく権力の暴走を民主的に防ぐための歯止めを憲法を含む法体系の中に準備しておくかの問題を総合的に議論することが必要」だとしました。

 そのうえで「近年の政府の行動を見ると権力の暴走と言わざるを得ないような権力の行使が目立ちます」として次の5事例を挙げました。

 (1)内閣総理大臣が国会の解散権を政権の都合のいいときに権力の維持に有利なときに行使してきていたのではないか。
 (2)政権が国会の追及を避けるために国会召集に応じなかったということがあるのではないか。
 (3)内閣法制局の人事に政権による影響力を及ぼして憲法解釈などの変更で、統治の正統性を偽装しているのではないか。
 (4)国家に独占される情報について、政権に不利なものは国家機密として国民の知る権利から遠ざけて、ときに政権が情報操作に及ぶことがあっても、現状では国民の知る権利を保障するための民主的な対応策に欠けているのではないか。
 (5)予見し難い予算の不足をはるかに超える歴史上類を見ない多額の予備費を設けて補正予算のたびに積み増し政府が自由に国費を支出することは、財政民主主義を骨抜きにしているということではないか。

 衆・憲法審の筆頭幹事は階猛さんですが、立憲民主党の憲法調査会長は中川正春さんで、若手にも質問するようよびかけ、世論の一部が「日本がウクライナになったらどうする」とするのに対して中川さんは「日本にプーチンが生まれたらどうする」として、ウクライナ憲法の研究には否定的な考えをにじませてきました。

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