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国家主権のない日本が憲法改正するとアメリカの完全従属国となる -国民民主党の云う憲法改正は、現行では、売国幇助か「馬と鹿」のどちらか-

2023-09-12 | 小日向白朗学会 情報
 筆者はこれまで、自由民主党がアメリカと「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」と「行政協定(日米地位協定)」を締結したことで、日本の主権(自衛隊指揮権、航空管制権、電波権)をアメリカに売渡してきたことを幾度となく書いてきた。アメリカは、日本を冷戦という世界戦略の極東部分として保持し続けるため、二つの協定を締結した政権、つまり、自由民主党に政権を維持させることに決めた。それは、日本がアメリカと締結した協定が国会承認を必要とする条約と違い、アメリカと当時の政権が決めたことであるため、もしも政権が交代すると締結した協定の破棄や改定を求めてくる可能性があった。そうした懸念を払しょくするためにアメリカは、世界戦略の極東部分の要である日本政府に対して完全なフリーハンドを保持しようとした。自由民主党以外の政権が生まれることを極度に恐れたために、様々な分野(メディア、野党、労働組合)に介入して自由民主党を支え政権を維持させてきた。これが、自由民主党をして長期政権維持を可能にした源泉である。その結果、自由民主党は、国内を治外法権状態にしておいてアメリカの軍事的要求を満たすことがレゾンデートル(raison d'être)となったのである。こうしたことから日本国としての統治は様々な部分で日本国憲法と対立することになった。日本国憲法前文には次のように謳っている
『………
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
……われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
………』
 日本の主権者である日本国民を基盤としてできた自由民主党政権であるが、同政権がアメリカと締結した二つの協定により、自国の主権を売渡すとともに、日本の国政をアメリカ軍の要請に合わせたことで、日本国憲法と根本的に対立してしまった。つまり、日本に主権があると信じる日本国民は、国民の福利を増進するものと期待して選んだ自由民主党政権であったが、実は日本国民を犠牲してアメリカに従属することを70年の長きに渡り強要してきたのだ。これを売国と云わずしてなんという。
 そして長期政権を維持することがレゾンデートル(raison d'être)となった自由民主党は、必要な議員数を確保するために、統一教会と云う犯罪者集団を利用して大量に二世議員やタレント議員を産み出すことになるが、これで完全に政策策定能力を喪失してしまった。そのため、国会は、国内で問題が起きた場合、補助金をばらまく以外に方法がなくなってしまったのだ。その無策の象徴であるばら撒き政策は、与党と野党のどちらがやっても代わり映えがするものではない。
 自由民主党政権が長期化したことによる閉塞感が蔓延し、野党の中には独自性を示すために、自由民主党の党是である憲法改正に同調する動きまでも生んでしまった。そもそも、自由民主党の党是である憲法改正とは、自衛隊をアメリカ軍の軍事行動に併せて、日本の安全保障とは無関係に海外においてアメリカ軍の指揮の下に運用するためのものである。そして日本国憲法は、充分に機能していたからこそ、アメリカの欲望で始めたイラクとの戦争に自衛隊を派遣すこともなく、戦死者も出さずにすんだ。自由民主党のいう憲法改正とは、アメリカの要請により自党のレゾンデートルに憲法を合わせるという「トンデモ」ない悪事なのだ。
 ところが、国民民主党は、自由民主党がアメリカに日本の主権を売渡し治外法権の状態であることには目もくれず、憲法改正を主張する様は、自由民主党の最終目的である憲法を改正して自衛隊をアメリカの傭兵とすることで、アメリカの完全な従属国とする、ということと同意語なのである。
2023年8月19日、日本経済新聞から『維新、国民が改憲シンポ 共同歩調の姿勢示す』とする記事が配信された。
『……
日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」は19日、憲法改正を推進するシンポジウムを東京都内で開催した。
維新の馬場伸幸代表は「日本の民主主義をさらに醸成させるため、改憲の国民投票を一日も早く行うべきだ」と訴えるなど、野党3党派で改憲に向け共同歩調を取る姿勢を示した。
国民の玉木雄一郎代表は東日本大震災や新型コロナウイルス禍を挙げて緊急事態条項創設の意義を強調した。シンポには有志の会の北神圭朗衆院議員も出席した。
3党派は緊急事態時に国会議員任期を延長する改憲が必要との認識で自民党や公明党と一致しており、6月には緊急事態条項を巡る3党派の改憲案を発表した。
衆院憲法審査会などでも改正議論が進展していないとかねて批判。野党側から具体的な条文案を示すことで、改憲に向けた機運の醸成を目指している。
……』
 これで国民民主党は、自由民主党の売国を幇助する政党であると云わざるをえない。
 当の国民民主党は、日本には国権がないことを、知ってか知らずか、2022.05.03に『憲法記念日にあたって』とする談話を発表している。
『……
憲法記念日にあたって
国民民主党代表 玉木雄一郎
 本日、日本国憲法の施行75年目の憲法記念日を迎えました。
 戦後、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という日本国憲法の三原則が広く国民に受け入れられました。国民民主党は、日本国憲法のこの三原則を守るとともに、次世代に継承していきます。
 ……
 国民民主党は、国民の良識と判断力を信じ、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求していくことを結党宣言に掲げています。憲法議論においても、護憲と改憲の単純な二元論に陥ることなく、憲法に関する不断の議論に努め、国民とともに建設的かつ創造的な憲法改正議論を進めていきます
……』
 この談話を見てもわかる通り、国民民主党代表玉木雄一郎による談話は、前提条件が間違っているのだ。したがって国民民主党は、日本に主権がないことを知っていて憲法改正を云うなら売国野党であり、知らないでいるなら政党として見識不足、勉強不足、つまり「馬と鹿」ということになる。
 参考までに、内容的には結構よくできている国民民主党の憲法改正に向けた論点整理を見ていただければ幸いである。国民民主党が提案している憲法改正案は、司法の機能強化を盛り込んでいることなどから評価する。それならば、なおのこと、自由民主党政権を政権の座から引きずり下ろして日本の主権を回復して、闊達な論議をする方が国民のためになる。

 日本は、「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」と「日米地位協定」を破棄して国家主権を取り戻したのち、その後に、安全保障と外交を再構築するその時に基準となる憲法について論議すべきものなのである。したがって憲法改正は、日本が完全に国家主権を回復するまで凍結するのが党派を超えた国会議員の良識なのである。


 日本が主権を回復するのは、自由民主党を政権の座から引きずり下ろして、自由民主党以外の政党が政権を獲得してアメリカと結んだ二つの協定を見直すか、破棄すれば済むことである。
 玉木雄一郎国民民主党党首が憲法改正は必要であると考えることは政治家として重要である、と考えるならば、その前に主権回復運動を展開する必要があるがあるはずである。それが、喫緊の課題である。
以上(寄稿:近藤雄三)


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