起きて半畳 寝て一畳

株式投資の記録を中心に、日々感じた事や考えたこと、読んだ本のことなどなど

ワコム 日韓断想④

2005年07月12日 19時31分09秒 | 本・司馬遼太郎
【7月12日の市場概況】日経平均終値:11,692円(+17円
 日経平均株価は小幅に続伸。もっとも、日経平均の当面の上値メドとみられる4月8日の戻り高値(1万1874円75銭)が近づくにつれ、市場では指し値売り注文が増えたといい、相場全体の重しとなった。
 コマツ、日立建機などの機械株や、TDK、京セラといった電子部品株が上昇。松下、信越化は年初来高値を更新した。

【株式投資の記録:7月12日】
 ①ワコム
  @700,000-で1株購入しました。
  約定したとたんに下がり始め、アッという間に▲1万円安の@690,000-になってしまいました。


【司馬遼太郎:日韓断想④(文春文庫「以下、無用のことながら」より)】
 昨日の続きです。
  『』が原文です。

  『申維翰は卓越した観察者であったが、価値観は華夷意識しかなく、それがかれの聡明な眼を曇らせ、十八世紀の日本社会の本質を見おとした。私がもし維翰先生の従者であったなら、こう助言するだろう。』 

  『倭奴(ウエノム)の社会体制は儒教ではありません。しかし、国民の識字率は70パーセントを越えています。国民の10パーセントは士族で、これは識字階級です。問題は、農、商、工の人達が文字を知っていることです。維翰先生がご覧になった商工都市の大阪がその好例です。この都市の私塾が使っている初等教科書だけで、一万種類ほども刊行されているのです。かれらはあるいは聖賢の道を知ることが少ないかも知れませんが、文字とソロバンを知らなくては、商店につとめても番頭(幹部)になれず、商船に乗っても、船頭(船長)に出世することができないのです。だから、文字を学びます。」』

 司馬遼太郎さん(だったと思うが違うかもしれない。ドナルド・キーンさんかも?未確認)が別の書で、江戸時代に識字率が70%を越えていたというのは、これは同時代の世界では比類がない、と書いているのを読んだ覚えがあります。

 外務省のホームページを見ると、「非識字率の高い国」というランキングが載っていて、これによると、1位エチオピア 58.5%、2位バングラデシュ 57.4%、3位ネパール 55.9%、4位パキスタン 55.1%、5位イエメン 51.1%、6位モロッコ 49.2%、7位リベリア 43.6%、8位エジプト 43.1%とありました。
(出典:総務省統計局「世界の統計2003」)
(15歳以上人口に対する、日常生活の簡単な内容についての読み書きができない人口の割合を示す。)

  『また、こうも助言しなければならない。
「日本は、武士が支配する封建社会である反面、同時代のヨーロッパよりも精密で旺盛な商品経済が発達しています。それは、前期資本主義とでもいうべきものです。資本主義が人類に教えたものは個人の確立と自由ですが、むろんヨーロッパほどはないにせよ、この十八世紀初頭の日本にもかすかにその萌芽が見られます。」』

  『更に私は大観察者である申維翰先生にこうも助言したいのである。
「日本には270ほどの藩があって、たがいに産業と学問を競いあっております。藩には儒官がいます。かれらは朝鮮の朱子学者のようにイデオロギッシュではありません。かれらのあいだに、徂徠学という一種の人文科学的思考法がはびこっています。物をみるのに、宋学的な観念論で見ず、もっと裸眼で見ようという考え方です。これは、商品経済の照り映えというべきものかもしれません。なぜなら、商業は人間に意外な智恵をつけました。物をみるについて質と量と流通で見ようという習性です。この習性がまわりまわって学者や思想家を刺激したのでしょう」』

  『また、こうも言いたい。
「倭奴どもは儒教の家族絶対主義を薄くしか持っておりませんので、町人の場合、番頭になれば店のために自分の家族をも犠牲にして忠義を励みます。それは、各藩の藩士が、自分の家族をかえりみずに藩のために働いているのと同じです。倭は"華"ではありませんが、それなりの価値体系をもつ社会と言うことができます。幸いにも、倭は鎖国をしております。将来、万一、かれらが鎖国をすてたとき、鎖国下で蓄積されつづけていた右のようなエネルギー(energy)がおそらく大きく爆発するでしょう。そのときわが国に害をもたらすかもしれません。わが国としては倭の社会の本質をよく見、よく対応せねば、大変なことになります。わが国が"華"であることに安住していてよいのでしょうか。儒教もまた時代とともに変わるべきものです。儒教の短所は、人間の知的好奇心を抑圧するところであります。朱子学的瑣末主義におちいっている朝鮮教養人たちに、すこし野蛮ながら、風穴をあける必要があるのではないでしょうか」』
コメント
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