二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

100%はありえないです!

2023-11-23 14:11:10 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
バッサリ切れていますね。
初めての経験です。
これはお客様から送られてきた画像です。
工房でお試しして購入されて1ケ月。
最初に少し弾いて今修理に出している楽器に合わせようとのことで、部屋の中に袋に入れず、空気に触れるようにして一カ月近く置いていたものだそうです。
勿論急遽返送していただきまして、確かめました。
一つには、私どもの不手際で、竹の穴(馬毛を通すための)の処理が悪くて竹の切り口がとがっていて、あるいはささくれていて馬毛が切れたのか??
あるいは、何らかの虫やバクテリや虫などに食われて切れたのか??
送られてくるその間、馬毛の業者さんに問合せして聞いたところ、「何らかの外部的な力が掛からない限りこのように馬毛が自然に切れることは100%ありえないですよ。まあ、何年も湿度の高いところへ置いておくとそのようなこともあり得ますが」とのこと。
また,年間500本を超える弓毛の張替えをしているヴァイオリンの工房の人にも聞いたところ、「まったくないことではないですね。割とあるのはサブの弓として数週間弾かずに置いていた弓の毛が同じケースに入っていても弾いていた弓は何ともないのに弾かなかった弓が食われている等ということはあります。工房では馬毛をひろげて常に梳かしていますし良く乾いた状態に維持していますから」との返事でした。
それは光舜堂も同じです、そうでないと大量の馬毛が全部だめになってしまいます。
またある中国人の先生と話していたところ「生産したばかりの物を袋に入れてしまっておいてもこのように切れることはない。むしろ袋に入れておかないものの方が切れることが多い」
それはそうですね、外気に触れるとその外気からバクテリアや虫の侵入をさててしまいます。
しかし、私の経験ではお客様が袋から出したらボロボロと切れていたなどということもありました。
多分こういうことは言えると思うのです。
工房は中国でも日本でも馬毛は良く乾いているところに良く梳かされて保存してある、しかし一旦弓に作ると馬毛は束ねられて、その纏めてあるあたりに湿気がたまる溜まるところが食われやすい。
つまり弓の先端と手元ですね。これはヴァイオリンでも同じことがいえるとのことです。
又脱色というのは塩素や硫酸などかなり強い薬品に漬けます、そのすぐ後弓毛に作るのですから、作った後すぐ袋に入れておけばバクテリアや虫などに食われにくいのかもしれません。
しかし長い間高温多湿のところに置いておくと、その環境によってはバクテリアや虫に食われてしまうこともあるようです。
これはバクテリアあるいは虫に食われた痕です。
先端だけが細くなって切れています。
それと、使っているもの、常にではなくとも週一くらいに使っているものは食われにくいという事が殆どの弓毛を張り替えている人たちの意見です。
いずれにせよ、二胡は殆どの部材が生の物です。
湿度そして乾燥共に気を付けなければいけないのですが、いつも弾いてやるのが一番の保存方法と言えると思います。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ

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