松節と言われて販売されている駒は、
この画像のように、上から下まで水平に近い状態で、硬いところ(秋材)そして柔らかいところ(春材)が積み重なっている形です。
この画像のように木目が斜めになっていたりしても、同じ材料には違いが無くとも松節の駒とは言い難いです。
理由は、秋材の硬いところが弦の音を受け、そして柔らかい、春材が弦の振動を更に倍加して皮に伝える構造です。
皆さんも、比較的柔らかいカエデ材の上に細い黒檀の乗っている駒の形状はご存知だと思います。
あれは人為的に硬い所と柔らかいところの積層をまねたものです。
駒の鳴りにはいろな要素が関わります。
材自体がとても良く振動する材である事、
筆頭フェルナンブーコそして、黄花梨でしょう。
それから密度が高く部に油分が沢山あって音が伝わりやすい物。
小葉紫檀や真黒の黒檀。
カエデもおなじですね。
松は硬い所と柔らかいところが積層された形です。
柔らかい所がバネの役割を果たします。
そして脂松は内部に松脂が取れるくらいに十分な、というよりそのままにしておけば、いつまでもだらだらと脂が染み出て来るような材です。
それを熱加工して表面を固めます。
よくカエデの材を油で煮るなどということが有りますが、
色々な駒の材の中でも松材が優秀とされているのは、硬い所もあり、
柔らかいところもありかつ油分も十分有り、
硬さの割には軽いからです。
しかし駒として正式な形は、水平に秋材春材が積み重なっていないといけません。
松節と言って販売はされていますが、その多くは材の木目がなめになっていたりすることが多いです。
松節が、なぜ、良い駒と言われながらも、市場に出てこないかと言いますと、
量産に向かないからというのもあります。(勿論ずいぶん薪にされてしまったということもあります)
駒は量産されない限り、今のように1000円以下では作れません。
量産するからには形は綺麗に同じになります。(私の作る駒のように左右が少し違っているなどということはありません)
私も機械化すれば綺麗に安く売れますし、形だけを追うなら、それこそ名人のように作れます。(木工は60年もやっていますから)
まあ、それはともかく松節がなぜ機械化できないかは、
材が均一ではないからです。
必ず木の硬い茶色部分が上に来るようにするには、駒をひとつづつ削っていくしかないからです。
材は必ずしもまっすぐなわけではなくこの画像のように必ずしも硬い所が上に来るように製材できないのです。
そしてこの画像のように必ず水平に重なっているわけではなく、
ひとつづつ水平になるように切分けていかなければいけません。
再度書きますが、このような形の駒では松節のせっかくの良さは果たせないと考えて下さい。
形には、注意して必ず水平に近い状態で木目が並んでいる物を購入して下さい。
たぶんそれはお安くはないはずです。