擦弦楽器の場合音のキレというのは大変重要な役割があります。
切れないと、その寸前に弾いていた音が楽器の中で残って次に引いた音と混ざってしまって明快な音に鳴りにくく音が濁りさらには音が遠くに飛びにくいですね。
松脂の場合は光舜松脂がそのキレを実現してくれます。
ただ楽器本体にもその音のキレを実現する構造があります。
それがパフリングです。

この周りの線は、巾1,3ミリ深さ2ミリの溝になっています。
二胡の場合は

この皮の切ったところに深さ幅1ミリ深さ2ミリの溝があり、その中にプラスティックの板が埋め込まれています。
ヴァイオリンのパフリングは単に装飾であると言われています。
あるいは薄い板のエンドを保護するものと、
かなり多くのヴァイオリン制作者たちがそのように言っているのです。
?????
私はこれは違うと思っています。
これこそこの溝があるからこそ、音のキレが実現するのではと考えます。
さてバイオリンの事はおいて置いて、
二胡のこのパフリング、確かめてみました。
この振動板の役目をする皮のエンドに溝があり、次の音をすぐ引き出せるはずなのですが、この溝にかなり硬いプラステイックの板が入っています。
音は伝わりますが次の音を弾いた時に前の音の影響が残ります。
そのお陰でどうしてもあいまいな音に鳴りやすいです。
だからこそ、二胡のポワーっとした良い音に鳴るという言い方もできます。
音の輪郭があいまいになりますね。
でもそれが二胡の良いところであるという方もいます。
しかし、ソロで演奏するときには問題ないでしょう。
しかし合奏などでは音が濁ります。
皆さんも二胡の合奏団など聞いた時に、少し離れた席だと音としてしっかり伝わってきていないことに、なんだか曖昧な気持ちになったことがあると思います。
一つには、二胡の合奏の時に、楽器の樹種が決まっておらず、老紅木もあれば紫檀も黒檀もあり、音のキレがとても悪くなります。
ですから、ヴァイオリンなどと一緒に弾いてみると音の大きさも違えば音のキレも悪くなりなんだかとても残念なことになってしまう事も多いです。
音響装置を使えば、その辺は少しコントロールできますが、生音では音の大きさからしてヴァイオリンとは一緒に弾きにくいです。

このようにプラスティックの板をいれないで弾いてみますと、音はまさに切れます。
音の輪郭がはっきりしてきます。
そして音も大きくなり更に音が遠くに飛んでいきます。
これらの事を考えて、最近は西野二胡・ヤマト二胡はさらに適正な溝の深さというのを研究してきました。
このこと、大変難しいです。実際に少しずつ溝を深くしていきながら良いところまで深くしますと、樹種によって深さが違ってくるのです。
残った木の厚みによって響き方がかなり変わります。
たぶんこのあたりも二胡の名器を作る一つのポイウントになるのでしょう。
当然と言えば当然なのですが。
皆さんもあのパフリングに埋めてあるプラスチックの板を外してみたらいかがですか?
音の輪郭の綺麗なとても気持ちの良い音に鳴りますよ。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ
彫刻刀か何かを差し込んでテコの原理で外すのでしょうか?
先ず胴を外して台の方に継ぎ目がありますからそこに細い刃物を差し込んで持ち上げてみてください。
外れる時はそのまま引っ張れば外れていきます。
ボンドが入っている時には金鋸(暑さ1ミリ)で削りだしていきます。
その前に胴の板から出っ張っている部分はカーターなどで切って胴の板と平らになるようにしてください。
中国ではこの溝を金鋸で切っていますから。
手に十分気を付けてけがをしないようにしてください。
> 石原さん... への返信
有難う御座います。早速やってみます。