二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

マドギワではなく、明るい窓辺の陶芸工房へ

2017-06-16 09:13:57 | ☆店主の鞄持日記 ほぉ舜堂
その陶芸家は文才のある方でした。

店主が二胡を始め、分解してあれこれいじり出した時期、
安東さんは一流企業のサラリーマンをしながら、
仕事が休みの日に108城の陶芸場の一角でロクロを挽いていました。
その頃の事が、彼のエッセイ集『窓際の陶芸家』に収録されています。
初期の店主の音色がどれほど酷かったかは、
その章『日本のミケランジェロ』を読むと偲ばれます。
安東さんは店主が弾き始めるとBGMのジャズの音量を上げていました(笑)


そんな彼がリタイヤを機にご自身の工房を構え、
陶芸教室を開いて独立して行ったのは、その後間もなくのことです。
開業祝いに若武者達皆と訪れた工房は、初々しい雰囲気でした。
それから月日が過ぎ安東さんは陶芸家としてキャリアを積み、
店主は、二胡屋になりました。
公害同然の音を出していたかつての工房の主が二胡屋になるなんて、
安東さんが誰よりもビックリしているに違いありません。



先日、安東さんからイベントにお誘いいただきました。
「ふむふむ、安東さん、あの工房で展示会を開かれるそうですよ」
「へぇ、そうなんだ!元気そうだね」
「オープニングパーティに行ってみませんか」
と、そこで、案内ハガキに驚きの一文を発見!
「西野さんっ、二胡演奏がある!!」
「へぇー!ご縁があるね!!行こう、行こう!」

そんな次第で仕事の合間に車を飛ばし、久しぶりに訪ねた安東さんの工房。
教室は盛況のようで、工房は建て増しして以前より広くなっていました。
かつては庭だった、通りに面した壁側がずっと窓になっていて、
部屋全体に明るい光が射し込んでいます。
その窓辺に既にスタンバイしている50代くらいの男性と女性の2人組。
ギリギリで二胡の演奏開始に間に合ったようです。
しかし席はもう一杯だったので、椅子を出してもらって、
我々はよりによって最前列へ(汗)

この出演者さん達、地元の二胡サークルで一緒に活動されているそうで、
今回はこのお2人でしたが、常に一緒に組んでいるのではないようです。
それでも共演が慣れているようで次から次へと曲数を重ね、
時には聴衆が一緒に歌える曲を入れたりして、飽きさせません。
そのレパートリーが豊富なことに驚きました。
そして、演奏していて楽しそう!
演奏者さんが楽しそうに弾いていると、それだけでも楽しいですよね。

「よく、光舜堂に来店する愛好家の方々が、ボランティアに行ったり、
地元で演奏してるっておっしゃってたけど、こんな感じなんだろうねぇ」
と言いながら店主はしみじみ。
「アマチュアの人達がこんな風に気持ち良く演奏出来るようにする、
っていうのが大事だね」
自分の役目がどんな処で必要かを実際に見る事が出来て、嬉しそうな店主でした。



それにしても司会していた安東さん、内緒にしててくれれば良いのに、
演奏後に出演者さんの紹介する時、我々の事まで話しちゃって。。。
お客さん達は おおぉーって言ってましたが、
まさか二胡屋が かぶりつき で聴いていたとは、
一番ギョッとして驚いたのは出演者お2人でしょう。
でもネタとしては美味しいから、
安東さん、続編として あの明るい窓辺で執筆しないかな(笑)
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