けろろの「浜あるき・野良あるき」

漁あるところ、農あるところへ、風土のにおいに誘われて、いそいそ出かけています

その2:気仙沼ほるもん

2012-03-02 22:17:26 | 浜あるき
気仙沼の知人に、気仙沼ほるもんの老舗に連れて行ってもらいました。
いわく、この食文化もカツオ漁でつながる紀伊半島から伝わったとか。
カツオ漁師から気仙沼の町の賑わいを伝え聞いた三重のひとが、乗り込んできて始めたんだそうです。
レバーなど数種のモツをニンニク味噌だれで漬け込んであります。
庶民さ加減がなかなかよい。
    

お供は、ウスターソースをちょっとたらしたキャベツと、このアヤシイ飲み物。
メニューには「3杯飲むと腰が抜けるので注意」とある。
知人は「わりこ」(割り子?)と呼んでいました。焼酎8:梅風味シロップ2、かな?
恐る恐る2杯飲んだけれど、あと1杯ぐらい、どうってことなくイケたような気もする。
と、油断してるとガクンとくるのかな…。
シメは、冷麺でした。

その3:漁家の神棚

2012-03-02 22:16:38 | 浜あるき
築70年。唐桑半島の漁師さん(75歳)のお宅の立派な神棚です。
刷り物は暮れになると、近所のスーパーで売っているそうです。右の3枚は神社でいただいたもの。
左の恵比寿大黒の置き物は、10年ぐらい前に回ってきた行商から買ったそうです。
そういう商売もあるのですね。へえ~。

    

お年神さまも、立派です。
奥さまお手製「ごまガンヅキ」という、郷土料理のお菓子。
お土産に、干した小イワシとコンブを山ほどいただきました。

奥さまいわく。
「貯めた ほいとは 死んで
 食べた ほいとは 生きた」
遠慮しないで、食べろ食べろ、ということ。深いです。

このあたりの漁の神信仰は、女性が受け持つことが多いようです。
不漁が続くと、船主や乗組員の奥さんたちが、近くの漁神様にお供えをもって詣でるそうです。
かつてのカツオ漁では、初漁の魚は船の神様「船霊さま」と船主の奥さんに奉げられたとか。
「おかみさん」と呼ばれる、ご神託をくれる女性もいます。不漁のときに相談に行くそうです。

反対に、禁忌も女性。女は船に乗れないし、漁にとって最大の穢れはお産です。
家でお産があった漁師は数日間、船に乗れないばかりか、
ある漁村ではお産のあった家に漁師が近づくことさえ禁じる話を聞きました。
命がけで、運に左右されることも多い漁業に、神信心は欠かせないのですね。

庭に漁船が置いてありました。
津波で船が流されたので、すぐに新潟に行って買ってきた中古の漁船だそうです。
ところが、漁船登録の手続きがいっこうに進まない。
忙しいのかどういうわけか、担当者がなかなか来てくれないそうです。
「海のことをやっていないと気が変になる」ので、ひとまずワカメ養殖をしていますが、
漁に出たくて出たくて仕方ないのだそうです。
そろそろ、メロウド(コウナゴ)漁のシーズンです。

漁港の岸壁の修復もいっこうに進まず、漁師さんたちのイライラが募っているのを感じます。