昨日より少し寒さは緩みましたが、今日も寒いので、家でだらだら過ごしました。東京は積もった雪で今日も混乱していたようで、本当に久々にたくさん積もったのですね。図書館で借りて、木皿泉の「昨日のカレー、明日のパン」を読みました。木皿泉は、「スイカ」や「野ブタ。をプロデュース」を書いた夫婦の脚本家の共同ペンネームらしく、初の小説だそうです。「本屋大賞ノミネート作品」と書かれていたので、読んでみました。なかなか素敵なお話でした。
若くして亡くなった一樹の嫁テツコとギフは二人暮らし。ギフは、一樹の父親、つまりテツコの義父です。そんな二人が、不思議な距離感を保ちつつも、快適に暮らす日々。二人のほんわかした会話もいいけれど、そこに登場する周りの人のなんともいえない空気感も楽しい。テツコの彼氏?の岩井さんは、最初は鬱陶しいだけの男でしたが、後半、だんだんに面白さや良さが見えてきます。その他、一樹の隣に住む笑えないCAのタカラ、ギフが一緒に登山する山ガールの師匠、モテる一樹に憧れていた従兄弟の虎尾、そうした登場人物とのエピソードが描かれる中で見えてくる一樹・テツコ・ギフの思い。
そしてラスト、ギフと妻夕子との出会い、幼い頃の一樹のエピソードで、ぐるりとすべてがつながります。ああ、こうして人と人はつながっているんだな、死んでも人の心に住み続けるんだな、そして生きている人は、これからも人とつながりながら、淡々と人生を歩んで行くんだなという感じで、なんか全体にすとんと落ちた感じで読み終わります。最初は、誰だっけ?という感じで出てくる人たちが、だんだんつながって、どんどん面白くなっていきます。読みやすいし、会話が簡潔で、読んでいて、心地よい本でした。脚本家が書いた本だし、いつかドラマ化されるかもしれませんね。