こんな話を書いているスポーツ新聞は、見たことがありません。
メジャーも松井秀喜が活躍していたころは、日本式の4番に最強打者を入れるケースが多かったと思います。
3番ジータ、4番Aロドリゲス、5番松井秀喜は、ヤンキース歴代チームの中でも最強のレベルのクリーンアップだと思います。
その後、アメリカの野球理論は進化して今は2番にチームの最強打者を配置するチームがほとんどです。
多くの監督が2番打者最強論を採用しています。
ところが、この方式には難があります。
2番の前にランナーがいないケースが多くなります。
従来のように8・9番に成績の悪い打者を入れると当然、そうなります。
そこで監督によっては、8・9番に出塁率の高いバッターを配置してその欠点を補おうとする監督もいます。
しかし、こうすると本来上位に置きたいバッターに回る打順が少なくなります。
それでも周囲が2番に最強打者を置くケースが多いですから、2番が最強打者のチームが多いです。
反骨精神の旺盛な監督は、少数ながらいます。
「いや!それは違う!最強打者は3番に置くべきだ!」
これを実際にやっているのが、ナ・リーグ東地区のフィリーズです。
地区にブレーブスと言う強豪チームがいるので、資金競争になると敵いません。
ここで必要に迫られて監督の理論を試す余地が生まれます。
GMの考え方だと思います。
フィリーズのGMは、HR打者の才能を秘めた選手を獲得します。カイル・シュワバーです。それ以前に8年のメジャーの中で30本のHRを打った年が3回あります。
しかしそれほど飛びぬけた成績でもありません。
フィリーズのGMは、カイル・シュワバーに何をやらせたか❓
徹底したホームラン狙いと四球での出塁を命じました。
三振したって構わないからホームランを狙え!と言うわけです。
その代わり四球を多くして出塁率を上げろ!と言うことです。
2022年2023年のカイル・シュワバーは三振が200・215個。すごいね!これで1番バッターです。
HRは、46本47本。それまで40本以上HRを打ったことはありません。
その代わり四球が、86・126個。
出塁率が、「.323」「.343」
ロブ・トムソン監督の考えなのだと思います。
2022年のシーズン途中から監督に就任しました。
こうやって1番にHRバッターを置いて相手チームを脅します。
2番には普通の1番打者タイプの打者を置き、3番にチームのスーパースターのブライス・ハーパーを配置する打線です。
チームで1番HRの多いシュワバーを1番に入れるのが工夫です。
普通の監督ならハーパーを2番にしてその後に入れると思います。
去年は地区2位ながらプレーオフで去年の最強チームのブレーブスを撃破してリーグ優勝決定戦まで勝ち上がりました。
今年は、10ゲーム差で地区首位を独走しています。
フィリーズの監督になるまでメジャーでの監督経験のなかったロブ・トムソン監督は、すでに名監督と言えます。
6年連続東地区優勝の強豪ブレーブスを差し置いて地区首位は、立派と言うより凄いと思います。
プレーオフではドジャースの最大のライバルになると思います。投手陣が揃っていますので、あるいはフィリーズの方に短期決戦では分があるかもしれません。
何が言いたいか❓
2番打者最強論と3番打者最強論の優劣は、結論が出ていないと言うことです。
多くのチームが2番に最強打者を置く中で敢えて、3番に最強打者を入れて勝っているロブ・トムソン監督の発想の勝利が、今年のフィリーズの好調の理由です。
両方試してみないと結論は出ないと言うことです。
フィリーズが、この打順で成功していますから3番に最強打者を置く監督も出てくると思います。
ドジャーズなどベッツが骨折休養したら最強打者の翔平君を1番にしてしまいました。それで現在ドジャースは、ほどほどに勝っていますから、最強打者を1番に置く打順も成り立つことになります。
NYヤンキースは、ジャッジが2番の打順を嫌うのでブーン監督は仕方なくファン・ソトを2番に入れてジャッジを3番に入れます。ブーン監督の悩みは、ジャッジの次を打つ打者がいないことです。
日本式の4番に最強打者を置く打順は、過去のものだと思います。
では、どこに最強打者を置くのが一番いいのか❓
これは、まだ結論が出ていません。
シュワバーと翔平君を見るなら1番にホームランバッターを置く打順さえ成り立ちます。
奥が深いでしょう❓
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