天台寺門修験

修験道の教義は如何に

修験第百十三号 新編寺門天台宗学読本(3) ―第一編 ―

2015年05月20日 16時06分04秒 | 新編寺門天台宗学読本

 

   故 直林敬煩 監修

  吉田光俊   編

 第二章 宗学の組織

 第三節 五箇法門と三道

 五箇法門の解説 圓教

 五箇法門(ごかのほうもん)とは宗学(しうがく)を構成する圓(ゑん)・密(みつ)・禅(ぜん)・戒(かい)・修験道(しゆげんどう)の五法門(ごほうもん)であり、三道(さんだう)は圓・密・修験の三法門(さんほうもん)で五箇法門の中特(ちうとく)に重要な根幹(ごんかん)をなすものであります。いま少しく之(これ)を解説致しますと、まづ圓とは法華経(ほつけきやう)を根本聖典(こんぽんせいてん)として中道実相(ちうだうじつそう)・三諦圓融(さんだいえんゆう)の哲理(てつり)を会得(ゑとく)し(教)、四種三昧(ししゆざんまい)の実践(じつせん) (観)によつて、私共凡夫(わたくしどもぼんぷ)の現前(げんぜん)に起る一念(いちねん)の心も即(すなは)ち真如実相(しんによじつそう)と観照(かんせう)して佛(ほとけ)の境界(けうかい)であります実相に開示悟入(かいじごにゆう)する法門である。圓(ゑん)は不偏(ふへん)または完全といふ意味で、教(けう)に約(やく)して圓教(ゑんけう)といひ、所依(しよえ)の経(きやう)に約(やく)して法華(ほつけ)、また観(かん)に約して止観業(しかんごう)と称(せう)しますし、従来(じうらい)の狭義(けうぎ)の天台学(てんだいがく)はこの圓教を指(さ)したのであります。