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SIDEWALK TALK

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Film No Damage

2013-10-19 14:04:14 | 佐野元春
Motoharu_sano7僕は、佐野元春ファンを大々的に標榜していながら、
ドキュメンタリー映画『Film No Damage』をついぞ見なかった。


仕事が忙しかったり、上映館が近くになかったり、
という要素もあったけど、
内容は過去のフィルム『Truth '80-'84』で概ね見知っていたから、
正直なところそれほど興味が湧かなかったことが主な理由だった。
そのうちDVDでリリースされるだろうという確信めいたものもあった。


警告どおり 計画どおり、
今般、『No Damage DELUXE EDITION』の発売が決定。
2CD+DVDというセット内容で、
Disc 2(CD)「ROCK & ROLL NIGHT」、Disc 3(DVD)「Film No Damage」
で映画『Film No Damage』の内容をそっくり(だと思う?)鑑賞することができる。


ま、長年の佐野さんファンだからこのリリース自体はうれしいのだけど、
何か釈然としない感も多少ながらある。
いったいアルバム『No Damage』を何回買わせりゃ気が済むのか?
ということである。


僕の『No Damage』初体験はたしか高校時代、
30×30cmのブラックビニールのLPレコードだった。
で、20代のころ、CDでの再リリース時にまた購入し、
最近ではデジタル・リマスタリングされた紙ジャケ仕様のCDも買った。
これ以外にも、もしかしたら1~2回買ってるかもしれない。


佐野さんのコアなファンはそこそこの年齢に達してるから、
当時の高校生がLPレコードを買うようなハードルの高さはない。
だとしても、わずか数年のうちに同じレコードをリリースするというのは...
スペックがちがうとはいえ、このソニーのやり方は、
バンダイのガンダム商法を想起させられて、どこか胸糞悪い。


当の佐野さんは、ファンへのサービスしか考えてないだろう。
Disc 2(CD) と Disc 3(DVD) がメインで、
Disc 1(CD) はオマケだと思えば多少は溜飲も下がってくる。
ディスクに加えて、初期活動をジャーナルな視点でまとめた
100ページほどのブックレットもセットされているらしい。


何だかんだ悪態をついてるけど、結局は予約してしまった自分がいる。
フィルムの中には、1983年、27歳の佐野元春。
僕も、つまらないオトナからウブな高校生に戻って、
外連見をかなぐり捨てて楽しみたい!

No Damage

2013-06-29 10:53:25 | 佐野元春
Eddie_cochran佐野元春のアルバム『No Damage』がリリースされて、
今年で30年目を迎えたらしい。
先週と今週のMRSで特集があった。
この作品は、ティーンエイジャーのころ、
もっともよく聴いたアルバムのひとつだ。


ベスト盤的なコンピレーション・アルバムで、
佐野さん本人も、当時をふりかえって、
「ろくにヒット曲もなかったのに"The Greatest Hits"と副題をつけた」
と自嘲を含みつつ、可笑しがっている。


Girl's Life Side、
つまりB面に「彼女はデリケート」が収録されている。
オリジナルは『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』に収められているから、
この楽曲は大瀧詠一によるプロデュースということになる。


こんなエピソードがある。
当初、佐野さんは「彼女はデリケート」を
ダブルヴォーカルでレコーディングした。
自信満々で大瀧さんに渡したが、即ダメ出しを食らい、
ヴォーカルを録り直した。
大瀧さんは、ヴォーカルブースで小首をかしげる佐野さんに向かって、
「佐野くん、エディ・コクランだよ」とひと言だけいったそうだ。
結果、わずか2回のテイクでOKがでたという。


ここで気になるのが、
佐野さんが録音したというダブルヴォーカルのテイク。
言葉に厳格な佐野さんが「ダブルトラック」じゃなくて
「ダブルヴォーカル」と明言してるから、
当時の佐野さんの制作環境から、
このテイクは伊藤銀次とのデュエットだった可能性が高い。
たとえて言うなら、エルヴィス・コステロ&ニック・ロウみたいな
クールな仕上がりだったんじゃないだろうか?


佐野さん自身、完璧なテイクだったと自負していたくらいだから、
マスターテープはあると思う。
いつか聴いてみたいと思うのだけど、叶わぬ夢なんだろうか?
にしても、あれから30年。
「ぼくは大人になった」のかな?

詩人の恋

2013-04-18 13:20:36 | 佐野元春
Zooey_landscape佐野元春の最新作『ZOOEY』アルバムに
「詩人の恋」というタイトルの美しいバラードが収録されている。
僕は最初、このタイトルを目にしたとき、
シューマンがハイネの詩に曲をつけた連作歌曲を思い浮かべた。
けれど、実際に聴いてみると、
ジョン・レノンの「Grow Old with Me」が脳裏をかすめた。


ジョンの「Grow Old with Me」は、ふたりの未来について歌われている。
それに比べて「詩人の恋」は、曲調はどことなく似ているものの、遙かに切ない。
もしかしたら「詩人の恋」は、失った、
あるいは亡くなった恋人へのラヴソングなんじゃないだろうか?
だからか?「私たちはずっと供にいる」というラインが切なく胸に突き刺さる。


佐野さんは、以前、実体験を生のまま曲に反映させることはしないと語っていた。
ソングライティングの衝動は社会や身の回りに起こった事象が動機になるが、
リリックの内容はあくまでもフィクションだと強調していた。
けれど「詩人の恋」は、数少ない例外のひとつのような気がしてならない。


私事だが、僕は20代のころに恋人を病気で亡くした。
このバラードを聴く度に彼女のことが切なく胸をよぎる。
この楽曲の、佐野さんの、もの悲しくもどこか意志の力にあふれたヴォーカル。
この歌声に心が激しくシェイクさせられるのは、
そうとでも理屈づけないととても説明がつかない。

真の自在

2013-03-17 09:40:28 | 佐野元春
Zooey_master僕にとっていつもそうだが、
佐野元春の新作を聴くときの瞬間のうれしさは例えようがない。
アルバムをプレイヤーにセットすると、
不思議とそこだけ空気が透きとおってくる。


このひとはいつもGraceを胸に抱き、いわば恭謙な姿でいる。
シャツの裾を引っ張って身繕いをし、ライオンのように漫歩する。
目が合うと、口をすぼめて微笑する。
ロックグレイツになった今も、
ことさらに自分を大きくみせることはなく、
むしろ慎重に自分の実像を発信しようとしている。


新作『ZOOEY』が届いた。
佐野元春の、というよりロックンロールの歴史が凝縮されたような作品だった。
エルヴィス、モータウン、ビートルズ、スカ、フィル・スペクター、ブルー・アイド・ソウル...
縦横無尽、変幻自在なサウンド・プロダクションに息を呑む思いがした。
元春流 Wall of Sound のひとつの到達点、
奥行きのあるバンドサウンドが心地いい。


リリックは、「愛」や「命」にまつわるラインが数多く採用されている。
すべてを3.11に結びつけることは、佐野さんの望むところではないだろう。
人生を重ね、様々な恋愛を経験し、
得たりな失くしたりを繰り返しながらも、
ひたむきに前に進み続ける。
そんな知性と自由をオプティミズムの薄皮に包んだ人びとへの賛歌だ。


佐野元春は、茫漠としたロックンロールの荒地をずっと歩き続けている。
そういう太虚そのものの空間を歩くのに、この人ほど似合う人はいない。
逞しげでもなく、弱々しげでもなく、低回するわけでもなく、目的に向かって急ぐわけでもなく、
かといって、足を瞬時もとどめない。


刻々矛盾の中にいながら、刹那に矛盾を解き明かし、
つねに明るく自己を解放している。
「自在」とは本来禅語だが、
つまり佐野さんはいつも自在の中にいるのである。
新作『ZOOEY』を聴いて、
佐野元春はいつだって僕らの味方だということを再確認した。

この先へもっと!

2013-03-13 09:39:34 | 佐野元春
Zooey_amazon火曜日、僕は仕事で車を走らせることが多い。
幸いなことに、毎週火曜、10時から
「元春レイディオショー」の再放送があって、
道中の慰めになっている。


きのうの再放送は、佐野さん自身の新作『ZOOEY』の特集だった。
先行トラック2曲を含む、6曲が紹介された。
聴き馴染みのある「La Vita e Bella」の解説で、
佐野さんは「3.11以降に書いた最初の曲はこの曲でした」と語った。
なるほど!そういう視点で聴けば、いろんな発見があった。
「この先へもっと」というラインに改めてグッときた。


夕方、社に戻ると、
デスクの上にAmazonのパッケージが置かれていた。
アルバム『ZOOEY』の公式発売日は3月13日、
佐野さんの誕生日に設定されている。
つまり、前日に届けられたことになる。


誕生日にリリースというスケジュールはある種の偶然だろうし、
そういうアイドルまがいのことは
かつての佐野元春ならことさらに避けただろう。
けど今は、そんな衒いも気負いも気取りもない。
これが自然体なのだ。


僕はすぐにでも聴きたい衝動を懸命に抑えて、
そのパッケージを仕舞った。
佐野さんが誕生日リリースを決めたのなら、
僕もファンとしてそれに従う。
それには何か意味があるはずだから...


Happy Birthday! Mr. Moto
夜が待ち遠しい。

ZOOEY

2013-01-17 10:50:45 | 佐野元春
Zooey_deschanel佐野元春の新しいアルバムのタイトルが発表された。

ZOOEY(ゾーイー)

ゾーイーは、J.D.サリンジャーの作品群に登場する
グラース家の5男。
リリースのニュースを聞いたとき、僕はゾーイーは長兄だと思い違いしてた。
サリンジャーを読んだのはティーンエイジャーのころ、
高校から大学にかけてだから、A long long time ago!
記憶ちがいはお許し願いたい。


ということで僕のゾーイーについての記憶はあやしいんだけど、
確か美貌の持ち主で、俳優だった。
そして「言葉の曲芸飛行士」と呼ばれるほど饒舌で、
東洋思想や禅に造詣が深かった。


『 ZOOEY 』というタイトルをつけた佐野さんの意図はわからないが、
初期の元春クラシックには
「夜のメリーゴーランド」や「瓦礫の中のゴールデンリング」など、
サリンジャーに影響されたと思われるラインが数多く採用されていた。
だから『 ZOOEY 』いうタイトルを聞くだけで、
オールドファンはときめくんじゃないかな?


以前、このブログにも書いたが、
前作『 COYOTE 』の下敷きになっている架空のロードムービーは、
ヘルマン・ヘッセの『荒野のおおかみ』にインスパイアされて構成されたのではないか?
と、僕は独り合点してる。


今回の新作も、某かのサリンジャー作品に影響されているんだろうか?
佐野さんがラジオにゲスト出演したとき、『フラニーとゾーイー』について触れて、
『ライ麦畑で捕まえて』同様、妹が登場することで親近感を覚えていた
と、語っていた。
とりあえず『フラニーとゾーイー』を読み返してみようと思うのだけど、
さてどこにあるんだろう?

Lazy Sunday Afternoon

2012-08-26 14:38:49 | 佐野元春
Bluebells晩夏にしては強すぎる朝日が寝室に差し込んできて、
ベッドから飛び起きて、TVのスイッチを入れた。
先週「宇宙兄弟」を見損なっていたから、
同じミスを犯さないように。
けど、勢い込んでTVの前に陣取ったものの、
今週は放送自体なかった。


僕にとって無意味な番組「24時間テレビ」の影響だった。
この番組を全否定する気はないが、当初のコンセプトがねじ曲がって、
今は功罪相半ばしていると思う。
この手のチャリティは、海外、とりわけ米国ではノーギャラ?が常識。
この番組では2億円以上のギャラが芸能人たちにばらまかれているという現実は、
矛盾以上の強烈な違和感を覚える。


で、きょうは音楽と読書で過ごすことにした。
最近は、ブルーベルズの楽曲にはまっている。
眠たげな夏の午後にフィットする曲たちは、この時期、心地好く耳に響く。
ファンとしては残念なことだが、
ブルーベルズ(ブルー)名義の楽曲はわずか4曲しかない。


肩の力が抜けた「サンデーアフタヌーン」や、
プリンスの「Starfish & Coffee」を彷彿とさせる
「双子のコマドリとゴールデンフィッシュ」は、
シングル・ヒットを意識しないソングライティングで、
気軽さと自由に溢れていて魅力的だ。
その反面、シリアスな世界観を露呈する「自由の岸辺(La Costa Libre)」と
全編日本語詞の実験的な「ブルーベルズのサマー」は、
アルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』の習作といってもよい作品になっている。


まことしやかな偽善と仕掛けられた欺瞞から距離を置いて、
過ぎてゆく夏の午後を静かに過ごす。
Lazy Sunday Afternoon To Be Free

ブルーベルズのサマー

2012-08-22 12:40:43 | 佐野元春
Summer残暑が厳しく、なかなか過ごしやすくなりませんね。
こんな暑い夏の終わりに聴きたい曲がある。

ブルーベルズの‘サマー'


覆面デュオ、ブルーベルズが歌っている。
夏の終わりの生暖かい風、
夏の午後の気怠さを感じさせるミディアム・ロッカバラード。
サビの「はじめてじゃない」のリフレインは、
夏のまどろみを思い出させてくれる。
オリジナルは1989年リリースの『mf Various Artists Vol.1』に収録。
リマスターされた音源を『The Essential Cafe Bohemia』で聴くことができる。


「夏が好きだ」という佐野元春だけど、夏をモチーフにした楽曲は少ないと思う。
その点、ブルーベルズ名義の楽曲たちは、
夏を感じる歌ばかりで、この季節にフィットする。


ブルーの相方のベル(Romy)は、今も音楽活動を続けてるんだろうか?
もしそうなら、現在のブルーベルズで新曲をリリースして欲しい。
けど、最近のブルーの多忙ぶりをみてると、
これは儚い希望、叶わぬ夢なんだろうな。

La Vita e Bella

2012-08-16 13:43:10 | 佐野元春
La_vita_e_bella佐野元春の新曲「La Vita e Bella」が、
間もなく iTunes Store を通じてリリースされる。
それに伴い、特設サイトが公開された。
そこでWeb用のプロモーションクリップを見ることができる。


このタイトルの言語はイタリア語なんだろうか?
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の原題が
『 La Vita e Bella 』だったから、
「素晴らしき人生」という意味なのかも知れない。


Facebookで公開されたジャケ写と思われる画像では、
青空と蒼い海をバックにオレンジ色のパーカーを羽織った
グラサンの佐野さんが決意の顔を上げている。
明るくアグレッシヴな印象を与えてくれる。


特設サイトのヴィデオクリップでは、
PVの冒頭部分しか見ることができない。
それでも、この楽曲の芯みたいなものが垣間見える。
人生を重ね、様々な恋愛を経験し、
得たり失くしたりを繰り返しながらも、
前に歩き続ける。
そんな知性と自由をオプティミズムの薄皮に包んだ男のストーリーだ。


現在、この楽曲も収録されるであろうアルバムを
佐野さんはコヨーテ・バンドと制作中。
ユニークなのは、レコーディングの合間にバンドとツアーに出たことだ。
これはハートランド時代の手法といっていいだろう。
「 La Vita e Bella 」の若々しいサウンドは、このこととは無縁ではないはず。
ロックグレイツになった今も、自らのフェイズを更新し続ける佐野元春。
この新作に過剰な期待を寄せてしまうのは、けっして僕だけじゃないだろう。

前野くん

2012-03-03 16:47:33 | 佐野元春
突然、高校時代の同級生、前野くんから会社に電話があった。
彼と話すのは、高校卒業以来じゃないかな。
ぶっきらぼうにボソボソと話す語り口は、昔のまんまだった。


Born to Run Born to Run

 Bruce Springsteen
 価格:¥ 1,333(税込)
 発売日:2010-06-29


前野くんは出席番号が僕のひとつ前だったから、
入学当時は席が隣ですぐに仲良くなった。
音楽の趣味趣向が似通っていて、
彼の方が僕よりも何倍も精通していた。


ふたりとも、佐野元春が大好きだった。
とはいえ、そのころは、まだ佐野さんの無名時代で、
クラスで佐野元春というアーティストの存在を知っているのは
僕ら二人だけだった。


ある日、前野くんが1枚のLPレコードを教室に持ってきて、
「オマエなら、このアルバムを絶対に気に入るはず!」
といって、半ば強制的に僕に貸した。
そのレコードは、ブルース・スプリングスティーンの『 Born to Run 』だった。


前野くんには申し訳ないが、
僕は家には持って帰らずに学校のロッカーに入れっぱなしにして2~3日後に返した。
当然、前野くんは僕に感想をきいた。
答えに窮した僕は、「A面のラストとB面の1曲目がよかった」と生返事をした。
それが前野くんの琴線に触れた。
以来、前野くんは次から次へとスプリングスティーンのアルバムを僕に貸してくれた。


その後、僕はすっかりスプリングスティーンの虜になってしまった。
いや、ボスだけじゃない。
前野くんは、いろんなロックンロールを僕に紹介してくれた。
僕のロックの先生だった。


結局、僕が仕事中ということを前野くんが慮って、
電話は要領を得ないまま、早々に切ってしまった。
とりあえず、ケータイ番号とメルアドを交換した。
今度、一緒に飯でも食べにいって、
ボスを紹介してくれたお礼を改めて述べようと思う。