9月に見つけた野草の花
コオロギラン(蟋蟀蘭)
Stigmatodactylus sikokianus Maxim. ex Makino
ラン科 コオロギラン属
花 期 : 8~9月
生育地 : 人工林や常緑樹林下
分 布 : 紀伊半島、伊豆半島、四国、九州
RL指定 : 環境省絶滅危惧Ⅱ類
私は、今年コオロギランの観察に出向く事ができなかったのですが、知人のF様のご厚意により、今年撮影された画像を提供していただきました
F様ありがとうございます
緑色ランはリゾクトニア様菌類と共生し、多くは光合成と共生菌の両者から炭素を得ているのだが、コオロギランは、茎と小さな葉にクロロフィルを有しているものの、炭素のほぼすべてを菌に依存する為、緑色ランではなく、菌従属栄養性ランに分類される場合がある
にもかかわらず、リゾクトニア様菌類のSerendipita属と共生している
緑色ランは、独立栄養から菌従属栄養へ進化する過程で、共生菌をリゾクトニア様菌類から、外生菌や腐朽菌のように炭素を多く得られる菌へ乗り換える
菌従属栄養に進化しても、相変わらずリゾクトニア様菌類と共生するランが存在する事は、コオロギランで初めて確認されたのだ
通常、リゾクトニアは、菌従属栄養性ランの要求を満たす程の炭素供給能力を有していないと考えられるが、日本のように、高温多湿の気候条件下において、腐生性リゾクトニアは菌従属栄養性ランの要求に応じる事ができる可能性がある
一方、内部寄生性リゾクトニアは、菌従属栄養性ランの要求を満たせないものと思われる
引用)
Stigmatodactylus sikokianus (Orchidaceae) mainly acquires carbon from decaying litter
through association with a specific clade of Serendipitaceae
Kenji Suetsugu, Takashi F. Haraguchi, Hidehito Okada, Ichiro Tayasu
初版 2023年9月10日
画像アップロード 20230910
記事アップロード 20230910