☆ 技術はトップでもシステムで負ける日本
新潟の長岡技術科学大学では、長年酵素を研究してきた森川教授は、“トリコデルマ・リーセイ”というカビをつくり、そのカビを培養してセルラーセ酵母を作った。
この酵母はセルロースを効率よく糖類に変えることができる。
セルロースとして使えるのは、稲わら、杉、ひまわり、さらにキノコ栽培で使用済みの廃菌床など食糧以外のものであり期待される研究だ。
反面、このようなセルロース系原材は異物も多く、採れた糖類にもエタノールを発酵する段階で不要な糖類も混ざるため、大量生産にはコストと時間がかかってしまうという課題も多いという。
アメリカ政府では早くも商業化へ動き出していて07年から4年間で3億8500万ドルの補助を決めている。
日本は遅れをとるのだろうか・・・。
京都府木津川市にある研究所では世界トップレベルの次世代バイオ燃料に関する開発が進められている。
財団法人地球環境産業技術研究機構「RITE」のバイオ研究グループは06年9月、ホンダと共同でセルロース系原料のバイオエタノール製造技術を開発したと発表し注目を浴びた。
“RITE菌”と名付けられた菌はもともと異物があっても発酵スピードが早いとされてきたが、遺伝子組み換えによって改良型“RITE菌”は世界初の技術を可能にしたという。
今までは、セルロース系からの発酵でエタノールを作る場合、混合した糖類を別々に分解する手間がかかっていた。
ところが、この改良型“RITE菌”は同時に分解するため発酵までの時間が短縮され、コストを大幅に削減できる。
グループを率いる湯川博士は、基礎要素は日本がトップレベルなのに、実用化における全体のシステム化でアメリカに負けたと悔しさを滲ませる。
何としてでも再度追い越さなければならないという。
ホンダは、次世代バイオ燃料の海外での生産に向け大規模な実証実験を始めた。
しかしながら、アメリカは国ぐるみで開発を進めており、ホンダとRITEが世界をリードできるかは微妙である。
最近、このような環境に関する話を筆頭に、日本政府の腰の重さが指摘されます。CO2削減目標も、企業依存でかけ声中心の今のやり方では、達成は厳しそうです。