☆ 光合成で空気中のCO2を減らす
さらに、先を見据えCO2を光合成で削減する試みも進められている。
「サカタのタネ」では、扱う園芸植物が自然に持つ光合成によるCO2浄化作用がどれだけ環境対策に役立つか研究をした。
その結果、“サンパチェンス”という植物が通常の園芸植物に比べ約4~6倍のCO2浄化作用があることが分かった。研究結果発表の後は、事業所、学校、公共施設向けの受注が急増しているという。
他にも光合成の働きによる環境技術に注目したのは、サプリメント販売の「(株)ユーグレナ」。
社名と同名の“ユーグレナ”という藻の仲間から、ビタミンを多く含むサプリメントを作り出した。
沖縄に大規模なユーグレナの培養施設を持ち、食品としてだけではなくユーグレナはCO2浄化作用が高く、固定化に有効であることが分かっている。
動物と植物の中間微生物であるユーグレナの研究は大学で数十年前から進められていて、光合成によるCO2吸収能力は植物の数十倍という。
ユーグレナの研究で使っている装置には、常に大気中の1000倍の濃度のCO2が送られている。このように濃いCO2の中でも光合成を行い培養されていくユーグレナは非常に珍しい生物という。
この性質を使って、工場などから排出されるCO2をユーグレナに吸収させ、育ったユーグレナは食品に加工する循環システムを作り出そうというのが狙い。既に数社から共同研究へのアプローチが来ているようだ。
光合成を利用してCO2を藻類に固定化する技術は研究が始まったばかり。日本のユーグレナの研究が、CO2削減の主役となれるよう、産学一緒に研究を進めたいという。
CO2削減で、世界をリードする技術が、今日本で目を出しつつあるようだ。