☆ クラウドコンピューティングでネットサービスが変わる
東急ハンズでは、現在約3000人の従業員のデータやメール、自社ホームページなどの社内情報を自社サーバーで管理している。
その運用コストは年間約3000万円、アクセス集中によるダウンや、ウィルス対策などトラブル対応に追われることも多い。
12月からはデータをグーグルのサーバーに預けるので、社内サーバーの設備は不要となる。社員は、ネットでアクセスしてメール、スケジュール、ワープロといったソフトを使う。
社員1人あたりのデータ保存容量は25GBと社内サーバーに比べ2500倍、料金は年間1人6000円なので、運用コストも半分ほど下がる。
ただ、社内データを外部に預けることへのリスクはないのだろうか?
東急ハンズの担当者によれば、社内サーバーの場合、サーバーを情報ごと盗難に遭うリスクもあるのに比べ、情報がどこにあるのか分からないほうがセキュリティーは高いのではないかと説明する。
生協、コープさっぽろはクラウドコンピューティングを利用した新たな顧客向けサービスを始めた。
“Myトドック”と呼ばれる組合員専用サイトに登録すると、コープさっぽろで買物履歴を追うことが出来る。
その履歴には商品の生産地や原材料、その産地から遺伝子組替えの有無まで細かく調べることが出来る。
このサービスはグーグルのサーバーを利用して運営され、会員数に応じてグーグルへ利用料を支払う仕組みだ。
自前でこのサービスを開発したら、サーバーや回線の設備、管理のための人件費など莫大な費用がかかってしまうと担当者は説明する。
自社で開発すれば数億円かかるようなサービスを中小企業でも格安で顧客にサービスができる。正にクラウドコンピューティングは中小企業にとってこそメリットがあるといえる。
グーグル側としては、組合員が検索やメールを利用することによって、広告収入増が見込めるわけだ。
マイクロソフトも、10月クラウドコンピューティングに本格参入することを発表した。
12月から“ウィンドウズ ライブ”の名で個人向けに容量25GBの無料サービスを開始する。
クラウドコンピューティングの登場で、ネットは見るものから、ネットそのものが情報処理するというITの転換点を迎えた。
ネット企業は、ネット上の新たなサービスを生むため、グーグル陣営、ヤフー陣営、それにマイクロソフトと、それぞれの技術を融合していく動きとなっている。
ネットが巨大なコンピューターとして新たな世界を生む可能性がでてきたようだ。