起業しても、勉強は欠かせません。
経済ニュース「WBS」で気になったコーナーをレポートします。
☆ 高級家電の輸出で勝負する
人口2700万人のマレーシア、白もの家電市場で洗濯機は日本と韓国メーカーが鎬を削っている。
その中で日立は高付加価値路線で30%のシェアを確保している。
さらに、高所得者で機能が分かるターゲットに向けプレミアゾーンの価格商品を投入した。
平均的に売れているのが日本円で3万円クラスに対して、価格は6倍となる。
日立がマレーシアで販売する洗濯機の大半はタイの工場で生産するが、今回のプレミアム商品は完全に日本製となりMade in Japanを強調する。
その日本製を生産する茨城の工場は、部品までも一貫して作る内製化を徹底している。
部品作りを組み立て工程に隣接することで生産調整に柔軟に対応できるほか、物流コスト抑えることもできるという。
中国に外注していた塗装作業も3年前に内製化した。
この内製化による“セル生産方式”は柔軟な設備変更が可能なため、海外に試験的な商品を投入する際に力を発揮する。
今までにない商品を他社より早く市場に投入して、いかに商売につなげるかが大事になるからという。
このプレミアム商品、まだ、扱い店舗は少ないが、大手家電販売店での販売も決まり、期待は高いようだ。
成長の鍵を新興国ととらえた製造業は、輸出立国ニッポンの底力を発揮しようとしている。
☆ 極限のコスト削減
タイ、バンコクでバイクは4人に一人が持つ庶民の足だ。
そのバイクのタイで70%のシェアをHONDAが占める。
タイでも世界不況の影響で販売台数が下がっているが、今年1月に発売された「Wave110i」の販売は好調という。
省エネ性能でガソリンが節約できるうえ、排ガス規制に対応した環境性能はうりである。
アジアでも環境意識の高まりで、欧州と同等の排ガス規制が導入されてきており、それに対応させるための新たな技術をアジア向け商品にも投入していくことが重要という。
HONDAは、自動車各社が赤字決算となるなか、新興市場向け二輪車が下支えし黒字を確保する見通しだ。
新興国市場がますます重要になる中、日本メーカーはその市場に合わせて低価格商品を出しても勝負にならない。
その市場の範囲内でハイエンドモデルを狙っていく必要があると専門家はいう。
新興国向け商品を製造する現地HONDAの研究拠点では、徹底した材料の削減や、環境対策部品も小型する開発によって、大幅にコストを下げることができた。
さらに、「Wave110i」では部品の現地調達率が99.8%となって、競争力を高めているという。
バーツ安傾向の中、輸入部品の価格高騰のリスクを避けることができているからだ。
日本での物作りを必要最低限残し、新たな管理手法・設備を海外に発信できるようにしていくことが重要という。
☆ 愛犬もメタボ対策
愛犬の健康管理が楽しくなる商品が発売される。
それは、犬の運動量を測定する装置で、首を振る、起き上がるなどという動きを1アクションとし、10アクションしたとき“1はしゃぎ”とカウントするようになっている。
内蔵するセンサーが上下左右など動きを感知し、1日の“はしゃぎ数”を記録、1週間分の記録から平均値を検出する。
その平均値を規準に運動量が不足しているかをグラフで表わしてくれる。
また、1日の運動量の記録を1時間ごとに見ることができるため、外出していたときの愛犬の運動量も調べられる。
さらにその時の犬の気持ちを表わす台詞が画面に表示されるという遊び心もある。
開発には、獣医やトレーナーの指導もうけたこの商品、タカラトミーアーツが「うちのわんこのはしゃぎ指数(4725円)」という名で4月3日に売り出す。
発売初年度の目標は6万個という。
人間同様、運動不足がちな飼い犬のメタボ対策商品として注目されるかもしれない。
☆ 環境に優しい自然のテクノロジー
蜘蛛の糸を次世代の繊維に利用する技術も研究されている。
山形のベンチャー企業「スパイバー」は、蜘蛛の糸の量産化を目指している。
蜘蛛の糸は炭素繊維と同等の強さながら40%も軽い。
量産化できれば炭素繊維にかわる次世代繊維の可能性はあるが、肉食の蜘蛛を大量に飼育することは難しい。
そこで、スパイバーでは、蜘蛛の糸の遺伝子を解析し、バクテリアに注入して大量生産する研究を重ねている。
そのバクテリアを培養し取れるタンパク質から人口の蜘蛛の糸をつくることができる。
現在はまだ炭素繊維の4分の1の強度だが、遺伝子を組み換えていき3年後には同等の強さを目指すという。
トヨタ系部品メーカー「豊田合成」との共同開発も始まった。
蜘蛛の糸の生産で排出するCO2は炭素繊維の5%以下と環境に優しい素材となる。
慶応大学先端生命科学研究所では、藻を使ったバイオ燃料の開発が進められている。
シュードコリシスチスという藻は、栄養分がなくなると体内に油を作ってため込む特質があり、次世代のバイオ燃料として注目されている。
トウモロコシや大豆を原料とするバイオ燃料は食物高騰を招くが藻は食用ではないのでそのリスクはない。
バイオ燃料を燃やしてもCO2は排出されるが、それを藻が取り込んで、またバイオ燃料を作るというサイクルで持続型社会を生み出すことが重要という。
☆ 昆虫に秘められたテクノロジーを活かす
物を作るためには石油など資源を使いその分地球の環境に負荷をかけてしまう。
この物作りと環境破壊の関係を解決するため新たなテクノロジーの模索が始まっている。
それは、4億年前から自然に適応してきた昆虫に秘められた驚異のテクノロジーの可能性を探る研究だ。
東大先端科学技術研究センターでは、蛾が操縦するロボットの実験をしている。
ロボットの大玉の上に固定されたオスの蛾が、置かれたメスのフェロモンを目指して大玉を転がして進む仕掛けだ。
さらに、同センターでは、直接蛾の脳に電極を取り付け脳の信号で同じように動かすロボットの研究をしている。
昆虫の脳を電子回路で再現して高度なロボットを作ることが可能になるかもしれない。
昆虫には、何キロも離れたニオイを嗅ぎつけるといったテクノロジーがある。
それは、人間より遙か昔から地球で生き続けているという環境に適応するノウハウがその脳に詰まっているからだ。
それを再現できれば地球にとってエコノミーでエコなシステムなりうるという。
日産自動車では、昆虫の能力をクルマに活かす研究を進めている。
同社が開発しているのは障害物に決してぶつからないロボット。この最新の衝突回避システムに使われる技術は蜂のシンプルな行動パターンだ。
蜂の目は約8000個、障害物が近づくと初めは数個の目で認識、障害物が近くなるほど認識する目の数が増え一定の数を越えると回避行動をする。
このように蜂の行動は、デジタル信号のようなシンプルなシステムでコントロールされている。
日産自動車は、その蜂の行動パターンをロボットに移植、レーザーが目となり、急な障害物を避けてくれる。
将来、前後左右斜めと自由な走行ができるクルマが実用化したとき、今までの衝突回避ルールではコンピューターの情報処理が間に合わない。その時に蜂のとっさの判断が役立つという。
☆ フォーエバー21
来月、アメリカから低価格アパレルが上陸する。
ブランド名は「フォーエバー21」、手ごろな価格で最新の流行を提供する所謂ファストファッションである。
ワンピース3000円代、アクセサリーが200円程度とかなりの低価格が売り。
「フォーエバー21」では、日本進出をアジア拡大の足がかりにしたい考えのようだ。
4月29日、原宿に日本1号店がオープン。近隣には、昨年オープンした「H&M」や「GAP」「ユニクロ」など、ファストファッションの代表格が軒を並べる。
競合ひしめくエリアへの出店に対し、同社では、消費者にそれぞれのブランドを見比べてもらい、選ぶのは消費者、と自信を見せる。
今後、銀座・新宿・横浜・大阪などのショッピングエリアへ拡大する予定という。
急成長した「フォーエバー21」は、現地アメリカでいたって元気なファストファッションの代表格。
発祥の地ロサンゼルスの高級住宅街にある店には、毎日商品が運び込まれる。
毎日新しいアイテムが並び、1週間で約2割の商品が入れ替わるという。
低価格なのに高級品イメージで、数多くの最新ファッションを手にすることができるところが、顧客の満足度を上げているようだ。
現在、アメリカ・カナダ・中東を中心に430店舗以上を展開、来年にはニューヨークのタイムズスクエアに巨大店舗を出す予定。
世界中に工場を設けることで商品供給を迅速化し、素材や縫製を工夫することで価格を抑えている。
「フォーエバー21」の商品は「H&M」や「ユニクロ」などテイストが少し違っている。ロサンゼルス発というセレブ的要素が強く、露出も多く派手目の色遣いが特徴だ。
様々なテイストの商品で、アメリカでの客層は幅広く、ブランド名どうりに、どの世代にも21歳の気持ちでいられるファッションを出していきたいという思いがあるという。
低価格ゆえ高品質とは言えないがワンシーズ流行を楽しむには十分といえ、新たなファストファッションの登場に、消費者の選択肢はひろがりそうだ。
☆ 通信教育の進化
2月の全国百貨店売上高は約4695億円、前年比マイナス11.5%と2月としては過去最大の減少となった。
世界不況で消費意欲が低下し“巣ごもり”傾向が強くなるなか、そこをついた新たなサービスが始まった。
ベネッセは4月から20~30代の社会人女性をターゲットにした通信講座「ハピコレ」をスタートさせる。
料理や美容などをテーマに21レッスン、利用料は月3000円前後と手頃な設定。
この講座の特徴は、毎月テーマに沿った教本と調理道具などの関連グッズも送られて来ることだ。
会員目標は10万人で、1月から案内を出して現在既に15万人から資料請求が来ているという。
ベネッセでは、20~30代の女性は婚活や恋活で漠然とした不安があると分析。
通信教育という学びによる自分磨きと、通信販売の楽しさといいとこ取りをした商品として伸びていくと自信を見せる。
通信講座で面白いサービスをしているのが「トライオン」の、誰もが講師になれる通信講座サイト「脳内カレッジ」だ。既に30人が講師としてデビューしている。
講座は資格に関するものから、検定、語学など様々で、現在292講座が開設されている。
講座はトライオンが用意したキットを使うため初期投資はゼロで講座を持つことができる。
生徒からの受講料の半分が講師の収入になる。
物理的な教室や、講師の時間といったものに制約されないのでコストがかからず講座料金を安くできるのもネットのメリットだ。
景気悪化で増える巣ごもり消費に向けて、通信教育も進化しているようだ。
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☆ 減少する喫茶店のなかで人気になるカフェ
ただのカフェでは生き残りが難しいなか、個性的なカフェが次々登場している。
東京都千代田区にある「リーフカップ」は、ハーブティーを飲みながら英会話を楽しめる英会話カフェだ。
料金は1時間1000円、ハーブティーが飲み放題。外国人スタッフが初心者にも馴染めるように英語で話題を提供してくれる。英会話教室より手軽でリピーターも多い。
一方新宿にある「モンスターカフェ」は個性的なメニューが売りだ。
その看板メニューはハンバーガーを6段重ねた“タワーバーガー”3990円、その高さは42㎝となる。パーティー客の8割が注文するという。
さらにデザートでもメガメニューを作った。インパクトで客を呼ぶ作戦はあたったようだ。
ネコカフェや編み物カフェといった個性的なカフェは次々登場している。
ただ、気軽に開業できるカフェ業態だが、開業数より廃業数のほうが多いのも事実。
全国に喫茶店数は年々減少していて、5年もつのも難しいとされている。
そんななか、台東区御徒町にある「給食当番」は17年続いている給食カフェだ。
長続きするヒケツの背景に徹底した給食へのこだわりがあった。
例えば鯨の竜田揚げに使う鯨は築地の専門店から卸し、昔ながらのソフト麺の材料は製麺所に特別注文して復刻してもらうなど素材に力を入れる。
美味しすぎても給食らしさが無くなるし、給食の味を残しつつ美味しいというのが難しいという。
非日常性で人気となる個性派カフェだが、飽きてしまうというマイナスもある。常にイベントを打つなどの工夫も求められるようだ。☆ 人気が高まる携帯コミック
“ケータイ☆まんが王国”の人気のひとつが独自のコマ送り演出だ。
携帯コミックのコマ送りなどの演出はサイトによって違い、同サイトは自前の演出部を設けユーザーからの支持を得た。
独自の演出はユーザーばかりではなく作家へのアピールにもなっているという。同サイトの演出に興味を持ち書き下ろしをする作家まで出てきたほどだ。既に40タイトル以上が掲載された。
成長を続ける携帯コミックが、携帯コンテンツの中で勝ち組になれたのは携帯独自の課金システムがユーザーとマッチしたことがあげられるという。
1話30~50円で、好きな作品だけ買えるのでユーザーにとって雑誌より割安感がある。
その少額のコンテンツ購入を電話会社が通常料金と一緒に回収してもらえるシステムはコンテンツ供給企業にとって大きな味方だ。
現在、携帯やネットの場合コンテンツの無料化競争が進んでいるため、なかなかコンテンツだけでは収益を上げにくくなっている。
しかし、コミックは権利者がいるため無料にするのが難しい、そのため有料コンテンツとしての存在が維持できている。
さらに、その有料コンテンツの中でも、着うたフルや、ゲームなどに比べ月の利用料が高いにもかかわらず売上を上げているのは、1巻を読んだら2巻、そして3巻と次を読みたくなる継続性にあるようだ。
本と違って場所も取らず、これからも“携帯コミックは”人気を集めそうだ。