始めてから分かる起業の体験記

新会社法で、簡単になったとはいえ、やはり起業は面倒なことが多い。体験して始めて分かったことなどの話をします。

WBS 4月25日放送のメモ (柔をテーマに日本再構築を考える)-3

2008-04-26 23:58:09 | WBS

     インド、成長を続けるタタ・グループ

急成長するインドで、タタは国民に尊敬される企業だ。そこにはしなやかで強い柔靱な経営があった。タタは自らをフレキシブルだという。

近年、インドのマーケットの成長は凄まじく、株式市場はこの5年間で5倍になった。
その拡大する経済を支えるインド企業でも目立つのが、欧米の巨大企業を次々買収する「タタ・グループ」。
創業140年の同族経営の同社には意外なコダワリとヒケツがあった。

インドのシリコンバレーと呼ばれるインド南部ベンガルール、そこにタタ・グループの「タタ・エレクシー」がある。

広い敷地に低層の建物が並び、まるでリゾートホテルのような景観のオフィスは工業デザインの会社だ。市販される商品や業務用機器のデザインで世界を顧客とし、特に売上の35%は日本企業という。

先行する世界の企業を相手に高成長するヒケツは会社の“フレキシビリティー”。仕事の仕方の異なる世界の様々な顧客に満足してもらえるように柔軟性は必要不可欠だ。

3月かつての統治国イギリスの高級自動車ブランド「ジャガー」「ランドローバー」の買収で話題となった「タタ(TATA)」は、昨年ヨーロッパの鉄鋼大手「コーラス」を買収、一気に世界5位に躍り出た。

タタ・グループの売上は290億ドル(約3兆円)、インドGDPの3%を占める。

成長する企業がある一方、インドでは未だに多くの貧困層を抱えている。

ムンバイ市内にある恵まれない少年少女のための“ジョセフ・カーディジン専門学校”では、電気技師などを目指す若者が学ぶ。
ここではタタが社会貢献活動で学費、講師の派遣、機器の提供をしているため貧しい学生は学費が免除される。

そんなタタだが、その本社(ボンベイハウス)は予想外に古く地味だった。

経営幹部は年間150億円以上提供するCSR(企業の社会的責任)について、タタは企業としての利益を上げることが重要だが、同時に社会に利益をもたらすことも重要と説明する。

社会の発展が会社の発展をもたらすという相互依存関係があり、株主など特定の利害関係者だけに貢献するのではなく、その地域社会や国に貢献することも企業の使命だと信じているという。


ところで、大浜キャスターがタタの幹部に、日本企業へのアドバイスを質問したとき、タタの幹部はその質問に対して思わず微笑んでしまい、「それは逆でしょ」と言いたげに、インド人は日本に学びたいのだと答えました。

これは、今の日本人が必要以上に自信をなくしている象徴的な場面として、とても印象的でした。日本人はもっと自信を持つべきなのかも知れません。


WBS 4月25日放送のメモ (柔をテーマに日本再構築を考える)-2

2008-04-26 20:48:18 | WBS

     デンマークの労働市場

北欧の小国デンマークが目指す雇用スタイルに世界が注目する。

1年に3割が転職するという柔軟な労働市場。安定した職が重要ではなく、安定した収入が重要とされる背景には手厚い就業支援があった。

レゴで知られるデンマークも面積は九州ほどの大きさながら、ビジネス環境、外国人投資家への開放性、顧客満足度、労使関係など数々の国際ランキングで1位という高い評価をされている。

その豊かな経済環境を支えているのが、政府が行う高い就業支援策だ。その金額はGDP比率4.5%で諸外国の中で突出している。

その基礎を成すのがデンマーク政府の打ち出す「フレキシキュウリティー」。フレキシブルとセキュリティーをかけた造語で、柔軟と保証を意味する。

デンマーク王室御用達の大手菓子メーカー「トムズ」では、正社員500人のうち1年間で約20%が入れ替わる。

「フレキシキュウリティー」の要素一つ目は“労働市場の高い流動性”で解雇と雇用を企業が柔軟に行えるようにしている。法規制は殆ど無い。

企業に都合のよい政策に思えるが、90年代10%超えた失業率は2%台まで下がっているのは労働側も転職がしやすい政策でもあるからだ。

それが2つめの要素“失業者に対する手厚い給付”で、失業保険は前職の給与の最大9割、最長4年間受け取れる。そのお陰で出生率も僅かに上昇した。

このデンマークに日本から大日本印刷が進出している。現地法人「DNPデンマーク社」は、継ぎ目のない巨大な産業用リア光学スクリーンで世界トップシェアを誇る。

この高い能力を必要とされる工場でも従業員は次々職を変える。同社社長船津氏は、作業プロセスのマニュアルなどを準備し、突然の退職にも慌てないよう準備しているという。

デンマーク政府は流動的な労働市場を積極的に推進する。それが、「フレキシキュウリティー」の3つめの要素、“労働者への職業訓練プログラム”だ。
主に政府、企業の拠出金で維持されるこのプログラムは無料で受講できる。

今や変化の激しいビジネス環境は不安定で、予測ができない。このデンマーク式の労働政策はそんな現代社会における働き方のモデルとしEUも注目する。


WBS 4月25日放送のメモ (柔をテーマに日本再構築を考える)-1

2008-04-26 12:14:40 | WBS

WBS放送20周年記念、特番。

もはや一流と言えなくなった日本経済、老朽化して動きのとれないその構造を立て直すには、柔軟な発想が不可欠。今年度、WBSは「柔」をテーマに日本経済再構築の鍵を探るという。
そのヒントとして、WBS独自の視点から成長をする国や企業をレポート。


     シンガポールが集める世界の頭脳

変化の激しい世界の動きに合わせ、変化をいとわない国の柔らかな政策。頭脳で舵を取ることに決めた小国の戦略は将来性のある研究への投資だ。

シンガポールは東京23区ほどの小国ながら、国際競争力評価はアメリカに次ぐ世界第2位(日本は24位)、外国人比率の高い世界に開かれた国ならではの計画で躍進する。

同国は、経済、化学、芸術、教育の4つの分野で世界から頭脳を呼び込もうという壮大な計画を進行中だ。
建設中の“ヒュージョノポリス”という研究施設に世界中から500人の研究者を集める。

フラッシュメモリーを開発したことで知られる元東芝の増岡氏、その3次元半導体研究を評価したのもシンガポールだった。

大手製薬会社、アメリカ屈指の大学、有名研究者も集まる“バイオポリス”は同国が進める「バイオ立国プロジェクト」の中枢で、2000人以上が研究をしている。

脳機能解明の基礎研究を行う早稲田大学とオリンパスの共同研究所もここにある。
日本にいては難しいが、ここでは世界トップクラスとのコラボレートもしやすい環境があるという。
その一つが研究者たちの意見が素早くフィードバックされ政府が柔軟に改善することだ。

昨年この研究施設から、鳥インフルエンザウィルスを従来の10倍の速さで検出する技術の成果が発表された。
この研究を行っているのも日本からきた研究者井上氏である。
日本では資金が集まらない研究に、十分な資金提供がされているという。

このように、巨額の資金をかけ研究開発を支援する狙いは、世界からの企業誘致と製品化によるライセンス収入で国益に結びつけることだ。

小国ゆえの柔軟性を利点として、将来性のある技術に対して素早い決断で国へ貢献させることが重要。
そのための投資リスクはいとわないと政府は自信を見せる。