☆ ペルソナには別の効果もあった
大和ハウス工業の“エディズハウス”のペルソナを作ったのは渋谷にある「(株)大伸社」。ペルソナづくりで国内トップクラスの実績を上げている。
客を物語調で表わすのがペルソナではあるが、全くの想像ではなく、事実に基づいたリサーチからつくった仮想人物であると同社は説明する。
ところで企業がペルソナを導入するメリットは他にもあるようだ。
今まで企業の各部門が別々にユーザーを想定することが多く、部門の協力がしにくかった。
そこへペルソナという特定のユーザーが出てくれば各部門が共通認識を持つことができ、意思決定も早く良いアイデアが生まれるということだ。
大伸社は、ペルソナが企業に共通認識を生むという効果を商品開発以外にも活かせないか考えた。
そこで、看護士が集まらず、離職率の高さに悩む病院とともに人材確保への活用を始めた。
同病院を退職予定の看護士ら複数から綿密なインタビューを行い、その結果を文字にして張り出す。
そして共通する意見をまとめていくとはっきりした人物像が浮かび上がってきた。
そのペルソナによって看護士の本音が明確になり、病院のスタッフ全体が共通の認識を持つことができたという。
ペルソナは多様性社会では必要な手法と言われていて、10年ぐらい前から欧米では活用されている。
日本は平均的趣向が強かったので、今まであまり必要とされていなかったが、好みが広がりを見せる今後、ペルソナの価値は上がってくるだろう。
番組の中で紹介されていた看護士のペルソナを作る方法は、企画などで基本的技術と言われている「KJ法」でした。
アイデアをまとめたり、問題点を明らかにしたりするときに自分でもよく使いますが、KJ法は簡単ながら、視覚的理解ができるという優れた方法ですね。