☆ 今こそグローバル・シフトの時!
出井氏に対して、番組コメンテーター日本総研副理事長 高橋進氏は、グローバル化できる企業はいいが、多くの中小企業が逆にグローバル化の波に海外から攻められ、国内のサービス業は少ないパイの取り合いで日本はピンチになっているという。
高橋氏の意見に理解は示すものの、出井氏はあくまでグローバル・シフトを強調する。
その根拠として、今の日本型輸出が変わってきていることを説明する。
既に20世紀型の集中的に物を送り出す輸出形態はなくなってきていて、今の日本企業の海外戦略は、海外で作ってその国で売るというように海外の成長を伴うバランスに採れたシステムになっているからだ。
それは長い間培ってきた物作りにおける優れたシステムが世界で必要とされているからで、このシステムはサービス産業や農業といった国内産業の隠れた可能性を引き出すという。
日本が愚直に築き上げた物作りにおける優秀なシステムやプロセスは成長する中国やインド、中近東は物以上に欲しがっていて、その形のない価値が日本に眠るグローバル商品として世界の需要が高まると見込んでいる。
しかし、その眠っている優秀なシステムも、環境技術にしろ農業にしろ、まだまとまった形になっていない。
それを日本の力として発揮するためには国が方針として牽引する必要がある。
それができれば、物作りから生まれた、効率が高く環境に優しい日本型資本主義が世界標準として受け入れられることになるだろう。
アジアが急成長する今、その中にいて既に多くの経験を持つ日本は絶好のチャンスの中にいるはずという。
確かに、アメリカがとってきたドルを世界の通貨にすることで世界の主役になるという戦略はもはや終わろうとしているようです。
物作りを実直に続けてきて、省エネや効率を最優先することで培った日本的システムは、温暖化という地球規模の課題を取り組む意味でも世界のスタンダードになる可能性はあります。
勿論グローバル化した大企業に期待することになりますが、中小企業が持つ世界唯一の技術や職人技もその伝承の対象に世界に向けるべきなのかも知れません。