まったり~

まったり~っとしながら、お気に入りのものたちの紹介や、日々の出来ごと、読んだ本の感想などなど・・・日常生活を綴ります

『とりつくしま』

2013年01月25日 | 本の記録
読んだ本の記録です。

<『とりつくしま』 東直子 著 ちくま文庫 刊 >


書店員がおすすめする本というコーナーに並んでいた本です。

手にとって裏面のあらすじを見ると・・・{死んだあなたに「とりつくしま」係が問いかける。この世に未練はありませんか。あるなら何かモノになって戻ることができますよ、と。}

との不思議な文章が・・・怖い物語なのかしら???と思いながら読んでみようと思い購入。

とりつくしま・・・って普通は「取りつく島もない」という打消しの語尾がついた慣用句で使われますよね!?
意味は《1》相手がつっけんどんで話を進めるきっかけが見つからない。
   《2》頼れるところもなくどうしようもない。

というようなことに使われるそうですが・・・

この本の「とりつくしま」は、モノにとりつく・・・と言う意味。



でも、表紙もこのとおりかわいらしい感じ。

オカルト的な怖い物語ではありませんでした。

それぞれの年代・様々な人生を生きていた人がこの世に未練を残しながら亡くなってしまい、代わりに命の無い無機質なものにとりついても良いですよ。と言われてものを通しての目線でもう一度「この世」に戻ってこれると言う話です。

一話ごとに完結した物語となっています。

中には幼稚園のぼうやがジャングルジムにとりつく話などもあり、切なく、哀しい気持ちになりました。
でも、そう思わせながら、どこか温かい感じのする話。

最後のほうの話ですが、とりついたものの、そのモノがすでに売られていて全く知らない別な人に買われてしまう・・・という話がありましたが、「こんな風景を見れるのなら楽しいな」と前向きな発想をする主人公が、何だかキラキラ輝いて見えるような気さえする場面もありました。

私もこの世に命が無くなったら、身近なモノにとりついてしばらく家族などと同じ時を過ごしてみたいな・・・
そんな気持ちになる物語でした。

すぐに読めてしまう厚さの本です。

温かい気持ちになりたい方に是非オススメします。


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