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万葉集をわかりやすく解説

2019-04-28 16:02:51 | 地域と文化

今回の歌 巻11 二八一八番歌 作者 未詳

 杜若(かきつばた) 佐紀沼(さきぬ)の菅(すげ)を 笠に縫ひ 着む日を待つに 年そ経(へ)にける

訳:カキツバタの咲く佐紀沼の菅を笠に編んで着ける日を待っていて年が経ってしまった。

 

解説

 この歌には、「咲く」から「佐紀」を連想させて、佐紀沼のスゲを笠に編んで着ける日を待っていて年が経ってしまった、とあります。ところが、次の二八一九番歌「おし照る 難波(なには) 菅笠(すがかさ) 置き古(ふる)し 後は誰(た)が着む笠ならなくに」と一組の歌になっています。こちらは女性側が、あなたを待ち続けてすでに年をとってしまった、と返した歌です。どちらの歌も、結婚することをスゲの笠を着ることにたとえて表現しています。

 「佐紀」と詠まれた場所は、現在の奈良市佐紀町に、二条町、山陵町などを含めた広い地域だったと考えられています。またこの地域は、佐紀沼や佐紀沢とあることから、沼や沢の多い場所だったみたいです。

 カキツバタですが、湿地に群生する植物で、まっすぐに伸びた茎の先に、濃い紫色の大きく艶やかな花を咲かせます。また、この歌の舞台の近くに法華寺という寺があり、5月上旬から下旬にかけて見頃となりますので、是非、行ってみてください。

 

        

                         法華寺本殿

 

 

        

 

        

 

        

                        境内庭園のカキツバタ

 

 

 


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