東京 DOWNTOWN STREET 1980's

東京ダウンタウンストリート1980's
1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。

「古写真に見る明治の東京~牛込区・小石川区・本郷区編」展を見る

2013-02-23 22:20:38 | イベント
昨年浅草区を取り上げていた、「古写真に見る明治の東京」展に今年も行ってきた。昨年はトークショーにも行ったのだが、今年は油断していたら終わっていた。そして、今年のエリアは牛込区、小石川区、本郷区ということで、三つの区が一緒と言うことは、それぞれの枚数が少なめなのかと心配になったが、確かにそうなのだが面白さは変わらず、見所のある写真展だった。今回も図録を購入してきたので、そこから見て頂こうと思う。

「古写真に見る明治の東京~牛込区・小石川区・本郷区」展
会場:日本カメラ博物館併設のJCIIフォトサロン
会期:2013年2月5日(火)~3月10日(日)
開場時間:10:00~17:00
休館:月曜日
入場無料
アクセスなど詳細は、日本カメラ博物館のサイトより確認してください。



この「古写真に見る明治の東京」というシリーズは、「大日本東京写真名所一覧表」という、S.Kanekoという名の記された写真帖から、地区ごとに抜粋した写真を展示する形で開催されてきている。今回で六回目となったそうで、毎年一度、この時期に開かれている。撮影時期は明治維新後から明治20年頃までの、明治初期の時代のものである。複数の写真師撮影したものを、Kanekoという人物がセレクトして編纂し、出来たのがこの写真帖ではないかという解説があった。明治初期の東京の様子が生々しく写し出された写真は、江戸の面影も色濃く残しているし、消え去った明治期の東京の町の姿を知る上で非常に貴重なものだと思う。そして、毎年、こういった形で写真を見ることが出来るのも面白い。

最初は牛込区から。牛込区は、現在の新宿区の一部。四ッ谷区と昭和になってできる淀橋区を合わせて、新宿区になる。ここでは取り上げていないが、先ず出ているのは現在の防衛省のところにあった陸軍士官学校である。永らく市ヶ谷のシンボルとも言える存在であった。そして、興味を惹かれたのが、この「筑土神社と筑土八幡神社」のカットだった。永らくこの二つの神社は、こうして隣り合わせて建っていたという。第二次大戦の空襲で、両社とも焼失したのだが、再建される際に筑土八幡神社は同じ位置に作られたが、筑土神社は九段へと移転してしまった。だから、この二つの神社が並んだ景色は今ではもう見ることが出来ない景色になっている。


そして、小石川区。これは、「水道橋から水戸藩徳川家の上屋敷を望む」というカット。要するに、今の水道橋から東京ドームを望むという感じ。神田川が今よりも広々している感じで、水戸藩邸はこの後新政府に接収され、砲兵工廠がここに作られることになる。木々が茂っているのは、庭園、後楽園である。未だ、水戸藩邸の姿がほぼ残されている時期の写真で、明治維新直後の撮影ではないだろうか。ここに作られた砲兵工廠が、日露戦争時に手狭であると言うことから、現在の北区十条や王子、九州へと移転拡張していくことになる。移転後に、後楽園球場が建設されることになり、その跡地に出来たのが東京ドーム。明治になってからでも、この地は変遷を遂げてきている。


ここからは、本郷区になる。
「水道橋と神田上水の掛樋」水道橋の名の興りとなった神田上水の掛樋が奥に見えている。水道橋も今日の姿が想像も付かない。


「妻恋神社か」というカットだが、妻恋神社は本郷から神田末広町交差点へ下る道の一本裏手に今もある神社。今は大谷石の石垣の土台の上にあるのだが、関東大震災で焼失している様なので、その時に区画整理なども行われたのかもしれない。大通りが造られる前は、この通りがメインストリートだったのだろう。


そして、「東京大学予備門が置かれた東京大学医学部」。本郷の東大構内にあった医学部本館の姿。この建物は、小石川植物園内に移築されている。擬洋風建築であり、東京で現存しているものは極めて希。


最後は「根津遊郭」。これも話には知ってはいたが、写真を見たのは初めてだった。根津遊郭は有名な存在ではあるが、明治21年に近隣に東京大学があることを理由に深川区の洲崎へと移転する。移転後の記録は多く残されているが、根津遊郭の写真は見たことがなかった。これを見ていると、根津周辺にはさすがに遊郭のあった痕跡は全く残されていないことがよく分かる。


と、ここまでほんの一部を抜粋して紹介してみた。この数倍の写真が展示されており、撮影地も地図で示されていたりと、楽しめる展示がされている。図録は一部800円。

こちらは、小石川植物園内に移築されている東京大学医学部本館。2010年に撮影したもの。


東京大学総合研究博物館小石川分館として、運営されている。一般公開されていて、入場無料で見学できるのだが、目下、東日本大震災で建物が被害を受けており、その補修工事が行われている関係で休館中である。


足場が掛けられて、補修作業が行われている様子。春には再開されるそうなので、興味のある向きは東大のサイトをチェックしておかれることをお薦めする。

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