東京 DOWNTOWN STREET 1980's

東京ダウンタウンストリート1980's
1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。

江戸東京博物館

2011-12-12 19:26:16 | イベント
その地域のことを知りたいと思ったときに何かと便利なのが、郷土資料館という存在。今では東京23区はほぼ各区にそれぞれの資料館を持っているようになっている。思えば結構各区の郷土資料館には行っているものだということで、それを紹介していこうと思う。

基本的には、常設展を中心とした話をしていければと思っている。このシリーズを始めるに当たって、ここまでに取り上げた各区の郷土資料館に関するエントリを「郷土資料館、博物館」というテーマでまとめてみようと思う。

そして、まず最初にどこを取り上げるべきかといえば、やはり最初はここしかあるまいと思ったのが「江戸東京博物館」である。江戸から東京への歴史と移り変わりの全貌を見るのに、ここを外してというのは有り得ないという施設でもある。両国の今や名所と言っても良いだろう存在になっている。アクセス、利用案内はリンクより確認して頂きたい。

ここは1Fには特別展のスペースが設けられており、折々に様々なテーマの企画展が行われる。特別展は別料金で、常設展と合わせて若干割引になる入場券も販売されている。また、特別展、常設展それぞれのみの観覧も勿論可能である。

さて、常設展をみるのは入場券を1Fで購入してからエレベーターで6Fへ上り、入場する。入り口を入ると迎えてくれるのは、かつての姿を再現した木橋の日本橋である。これを渡っていくと、江戸ゾーンがあり、江戸時代の様子が分かる展示が並ぶ。町場や大名屋敷のジオラマに将軍家にまつわるものが展示されている。

そこを一巡すると、エスカレーターで5Fへと降りる。降りた先はでは、町場の裏長屋の再現など、の展示がある。江戸の町の特徴として、表通りに大店が並びその裏には長屋があって、大商人から職人までが同じ町内で生活をしていたことがある。これによって、長屋の住人達が盛り上がった催しに大店がスポンサードするという仕組みが出来、これが江戸の町人文化を発展させる原動力になっていった。このたような所得層の人々が同じ町内で暮らすというのは、世界中でもあまり例のない都市形態であったそうだ。

大名の経済、武士の生活の記録を辿ってみたり、町人の生活や娯楽をみたり、豊富な図表を合わせてみていくと、なかなか面白いものがある。この常設展の図表を集めた資料も売店で販売されている。両国橋西詰のジオラマがあり、これが以前ここで取り上げた日本橋川の両国のかつての姿と思うと感慨深い。

また、江戸の町人というと長屋の職人のイメージばかりが強いようだが、一方では商人も数多くいた。多くは上方からややってきたわけだが、江戸の発展と共に江戸っ子気質にも商人達も大きな影響を与えてきている。べらんめいでけんかっ早くて見栄っ張り、そして人情かというステレオタイプな江戸っ子イメージだけでは、本当の江戸っ子、そして東京人気質は語れない。普段の話し言葉は丁寧で、隣近所のよそ様の家には干渉せず、人様に迷惑を掛けることを嫌う、一昔前には良く言われた少々よそよそしげな都会人気質というのも江戸以来の伝統でもある。
その代表格でもある三井越後屋を中心にした一角もあり、ここには上方から船で商品が大消費地となった江戸へ運ばれてくる様なども見ることが出来る。


そして、忘れてはならない歌舞伎、助六の舞台が再現され、芝居小屋中村座が江戸ゾーンの最後を締める。いなり寿司とのり巻きのセットを助六と呼ぶのは、この助六の登場人物「揚巻」に引っ掛けた洒落である。こういう言葉遊びも江戸文化の特徴であり、町人文化の面白さでもある。神田祭の山車も再現されているのが貴重だと思う。


その後は東京ゾーンとなり、明治時代へと進んで行く。銀座煉瓦街、鹿鳴館、ニコライ堂の模型、当時銀座にあったという朝野新聞社の再現があり、電気館や凌雲閣といった明治から大正への浅草、そして関東大震災、また震災復興期、そして第二次世界大戦へと時代に沿った展示を見ることが出来る。

また、この5Fでは企画展のスペースもあって、常設展と合わせてみることが出来る企画展が行われている。この企画展が意外と面白いものがあって、これだけが見たくて常設店に入ったことも何度かある。平成22年度には「林芙美子と東京放浪」と「140年前の江戸城を撮った男 横山松三郎」というのを見た。

2フロアとはいえ、じっくり見て回るとそれなりのボリュームがしっかりある。また、興味のあるポイントに絞って、じっくり見てくると言うのも一つの見方だろうと思う。全般的に見てみること、そして興味のあるポイントへフォーカスしていくこと、それぞれの見方が出来るのが江戸博の良さだろうと思う。

5Fの出口付近に売店があり、土産物なども販売されている。1Fには、もっと大きなスペースでミュージアムショップが置かれている。常設店の図録や展示されている図表をまとめた資料、関連書籍を始め様々なものがこちらでは販売されいている。特別展会場の出口付近にもは物販スペースがあり、特別展の図録などはこちらで販売されている。特別展の内容次第だが、関連グッズなども数多く並べられていることもあるようだ。江戸博近隣の名物も1Fに販売スペースが設けられていて、言問団子なども売られている。
こちらは「図表で見る江戸・東京の世界」とその中に掲載されている江戸詰武士の一ヶ月の行動の図。



江戸博周辺には、鯛焼きの浪花家両国店もある。清澄通り沿いになるのだが、ここで鯛焼きを買って、横網町公園で食べるというのも悪くない。この横網町公園は、かつて本所の被服敞跡と呼ばれた場所である。関東大震災の時に火災に負われて数多くの人が空き地となっていたこの場所へと避難してきた。そこに大火災が巻き起こす旋風が襲い、およそ4万人の命がここで失われた。この場所には慰霊堂と、東京都復興記念館が今もある。復興記念館には震災被害の凄まじさを伝える展示が行われており、館外には東京の商業自動車の草分けとして知られる明治屋の車の車台が焼け残った物なども置かれている。

江戸博の展示が資料や模型であるのと比べると遥かに生々しいのだが、機会があればここは見ておくべき所だろうと思う。

これとは逆方向になるが、国技館前を通って両国駅を越えて行けば回向院もある。回向院から隅田川端まで歩いて見ると、旧両国橋の橋詰の痕跡がうっすらと残る。他にも周囲には、忠臣蔵の舞台でもある吉良上野介の屋敷跡、芥川龍之介の生育の地があったりと、見て回る種には事欠かない。

少々脱線気味になってきたので、今回はこれまで。

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