「漢文のすすめ」
原田種成著 新潮選書 1992/09刊
表4より
「ひとつの文学的事件 中村真一郎(作家)
この書物は、表題が「漢文のすすめ」というような、限定された目的を意図しているようになっているが、じつはこの斯界の碩学の、豊富な生涯を懐古した、内容の多岐にわたる、興味津々たる読物なのである。しかも、この書物は、著者が自分の一生における大事なこと、本質的な経験を、可能な限り広く、こ . . . 本文を読む
さて、引き続き、台東区教育委員会発行の「古老がつづる台東区の明治、大正、昭和」から、根岸辺りを描いた分を紹介する。この小冊子には、台東区内各エリアのこういった話が収録されているので、とても参考になる。
渡辺 松太郎氏
台東区竜泉三丁目
「指物師に弟子入り
私がいまの指物の仕事に弟子入りしたのは、十二歳ですから、大正九年です。小学校を中退してなんです。現在で考えればお恥ずかしいんだけれども、家 . . . 本文を読む
台東区教育委員会刊の「古老がつづる台東区の明治、大正、昭和」からこれまでに取り上げてきた町に関する話を取り上げてみている。今回は、東上野。
橋本 米蔵氏
台東区東上野二丁目
「凧屋二代目
四歳のとき、いまのところへきたんですよ。明治三十七年三月墨田で生まれました。うちのおやじというのがねっからの絵好きで、際物問屋に奉公して、際物問屋は季節ものを何でも間にあわっしゃうとこだから、凧なんかも得意で . . . 本文を読む
台東区教育委員会の発行した、今では絶版になっている「古老がつづる台東区の明治、大正、昭和」から、蔵前と佐竹を題材にした分を掲載する。
捧 精作氏
台東区蔵前一丁目
「奉公での楽しみは浅草
明治三十四年に新潟で生まれて、十五の時東京に来て、でっち奉公に入りました。ただ働いて、暇も規則もなく、飯は食わし、寝かせてくれて、こづかいは盆と正月に五円くれる。まあ、ご飯だけは十分ですが、小憎たちは、汁だけ . . . 本文を読む
「古老がつづる台東区の明治、大正、昭和」というのは、台東区の教育委員会が区内の明治生まれの世代の人々からの聞き取りで、明治からの区内各所の移り変わりや生活、仕事、娯楽などについて話を聞いてまとめた昭和55年刊の小冊子である。残念ながら現在は絶版となっており、入手は困難であるようだ。都内の図書館では蔵書しているところもあるので、その内容を知ることが出来る。そんな中から、台東区内各地を歩いてみた縁とい . . . 本文を読む
上野駅から程近い、浅草へ向かう道筋の途中の右側、下谷神社がある。創建は730年と伝えられる、東京でも古い神社である。江戸が出来るよりも遥かに古い歴史を持つ神社や寺を地図上にプロットしていくだけでも、古代から関東のそれもこの江戸、東京となっていくあたりの有様を少しは想像することが出来るのではという気がする。私自身にとっては、上野ということろも曾祖父の時代に車坂に住んでいたという話は聞いたことがあるが . . . 本文を読む
さて、先日表題にも書いた「古写真に見る明治の東京~浅草区編を見る」で書いた厩橋の写真に何か得体の知れないものが写り込んでいるという件、意外に呆気なくその正体が分かってしまった。結論から書いてしまうと味気ないので、改めてその経緯から。厩橋は渡しがあったものの度々舟がひっくり返ることがあったそうで、事故が多かったという。そこで明治7年に初めて木橋が掛けられた。その橋が写っている写真がこれである。
. . . 本文を読む
今回は台東区にある秋葉神社。
この神社の由緒は少々複雑で面白い。そもそもが、この神社は元々秋葉神社ではなかった。今JRの秋葉原駅の辺りは、明治2年の暮れに大火に襲われた。その後に火除け地が作られ、そこに江戸城内の紅葉山から鎮火社が勧請された。この頃は勿論木造家屋の密集地帯である江戸では、火事が多かったし、大規模な火災に発展しやすかった。その為、火伏せの神を祀るというのはごく当たり前のことでもあ . . . 本文を読む
私が佐竹通りの名を最初に知ったのは、木村東介氏の著書「池ノ端界隈」を読んだときだった。大正時代に木村氏は雲井塾という本人書くところの愚連隊を率いていた。その頃に喧嘩の名所として下谷一と言われていたのが、この佐竹通りだったという。そこに喧嘩の腕試しに出掛けていった話が出て来た。結局、その辺りでは一番強いという市村座の用心棒に連れが喧嘩を売ってコテンパンにされる経緯が描かれる。木村氏は、相手を尾行して . . . 本文を読む
ということで、落ち穂拾いもこれで最後。池之端でラストになる。撮影日は1982年2月2日13日、現在の画像は2010年10月30日、2011年5月30日、6月7日撮影。
池之端三丁目5番。関庭酒店。老舗の酒屋さん。今も盛業中。左側の出桁造りは今は店舗ではないが健在。工事中だったので、以前撮ったカットも。
池之端三丁目4番。関庭酒店から上野高校グランド下の道への途中。板塀を巡らせた一軒家。池之端 . . . 本文を読む