
■【若狹の生意気言ってすみません!】7 日鉄のUSスチール買収成功から勝手な生意気言います


■ 筆者挨拶
特定非営利活動法人「日本経営士協会」首都圏支部の経営士 若狹晃司です。
当ブログに、私の経営士として日常考えたこと、感じていることをラフなスタイルで掲載させて頂きます。「生意気なヤツ!」と言われるのを覚悟で出来る限り本音のお話をしていますので、よろしくお願いします。
■【若狹の生意気言ってすみません!】 No.7
~~~ 日鉄のUSスチール買収成功から勝手な生意気言います ~~~
2025年6月16日にも日本製鉄がUSスチール100%買収完了との報道がありましたが、私のようなド素人が大胆にも身勝手な生意気発言をしたいと思います。御気分を悪くするかもしれませんので、その際はスルーして下さい。
USスチールは世界第29位、米国第3位(2024年)の粗鋼生産量を誇り、1901年設立の老舗鉄鋼メーカー。日本製鉄も1904年に創業した八幡製鉄から始まり日本最古且つ日本最大の鉄鋼メーカーで、USスチール買収後の粗鋼生産量は世界第3位の規模となります。本買収におけるメリットとデメリットは以下の事がネットに出ていました。
まず、メリットですが、自社で鉄鉱石の鉱山を所有していることから原材料を低コスト調達できること、米国という巨大市場を獲得できること、そして米国の豊富な鉄屑を活かせる電炉をUSスチールは3基保有していること、トランプ政策による産業投資が見込まれることなどだろうと思います(最近のデータでも、USスチールは高炉8基、内3基は休止中、電炉3基を保有)。一方、日本製鉄は10基の高炉が稼働中で電炉は3基稼働している様です。M&Aや多角化などの戦略的決定においてはシナジー効果が見込めるか否かが重要となりますが、それは素人の私でもほぼ理解できる状況と思います。
一方、デメリットとしては、PMI(買収後の統合)における困難、確実に予想される労働組合との厳しい調整、メガバンク複数行から調達した2兆円に上る買収資金に関する財務リスク、米国という商慣習や日本と異なる様々な環境などが挙げられると思います。
私は1983~1986年に大学生ではありましたが、TVで日米貿易摩擦・自動車産業の米国現地生産を見ておりました。ソニーのパラマウント買収・パナソニックのユニバーサル買収・プラザ合意からの円高とバブル経済・バブル崩壊と続いた時代も体感しています。三菱地所のロックフェラーセンター買収と失敗、パナソニックのユニバーサル買収と失敗が非常に印象に残り、米国のプライドの「象徴」を金で買うとどうなるかという点が気になります。
もし、我々日本人が「外国人も人間だから本質は同じだ。」という日本人に有りがちな幻想を未だに抱いていたら怖いなと思います。多分、日本製鉄さんはそういうことは無いと思います。韓国の鉄鋼メーカーPOSCOとの問題、ブラジルのウジミナスとの問題など、既に海外展開の難しさを経験済みなので、USスチールの社員・組合の問題が起きても最終的には解決できるだろうと楽観視しています。
ただ、私が勝手に懸念しているのは、想定外というかカントリー・リスクというか、物事は結構信じられないことが起きうるということです。アメリカもまたカントリー・リスクのある国と思います。「まさかそこまで!」というレベルの話が将来出て来る可能性がパーフェクトに零とは言えないと思います。現在は関税をチラつかせて米国への投資を勧めていますが、その投資資金が米国に十分行き渡り収益が明らかになった暁には次の一手が出て来ると思います。今度は日本が投資した米国現地法人の収益に米国企業より重い税率で課税して取り返すことを考えると思います(あくまで私個人の身勝手な憶測です)。自国(米国)ファーストとはそういうことではないでしょうか。そうならないことを切に祈ります。
最終的なやり方が明確に今から把握できるのであれば撤退すべきとなりますが、予測できません。トヨタ自動車同様、今は落ち着いて出来る事を一つ一つやって行き、機を見てまた別途対応を検討していくしかないと思います。
決して自分の上記の考え方が正しいとは思いませんが、トランプ相手に喧嘩をしたところで勝ち目はなく、むしろ長期戦略を立案し、相当覚悟して実行をしていくしかないのだろうと思います。・・・ド素人のくせに生意気なことを申しました。
来月もどうぞよろしくお願い致します。


