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里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

今年のイネは著しく進みそうだが天候異変の影響は予測不能

2025年07月10日 | 田んぼ

今年のイネは、田植え後2ヵ月余り経過しました。

1ヶ月余り前に禁じ手「随意契約による備蓄米放出」、そして「コメ高値の本質」について記しています。
その後の動きについて見るとほぼ想定したようになっていると思われます。
大きな動きは小生がこれまで繰り返し指摘してきた国の作況調査の見直しが行われることです。
小泉農水大臣の鶴の一声でなされたように見えていますが、すでに農水省内では多くの議論があったと推測されます。
需要量、在庫量、生産量の数値が不正確な中でのコメ高値の犯人捜しはメンツだけでは覆いきれないものになっていました。
繰り返しになりますが、過去記事を参照いただければ幸いです。

しからば今年のイネの生育状況はどうか。
この1ヶ月ほどの天候とイネの生育は過去に経験したことのないものです。
当地方は6月14日に梅雨入りしたと見られていますが、その後の気温はほぼ8月上旬並みかそれ以上です。
6月22、3日頃には明らかに生育が進んでいるのが分かり、草丈は高く茎数も多くなっていました。


我が家の目標茎数は1株当たり25本。十分過ぎるほどになっています。


隙間が殆ど見えなくなっており過剰分けつの傾向になっているようです。


イネの茎数は少なければ当然減収しますが、多すぎてもくず米が多発し、品質が低下します。


そこで6月25日前には中干しに入りました。
中干しは田んぼの水を切って無駄な分けつを抑え、同時に土中に酸素を供給するため行います。
これが中干し中の田んぼです。


田んぼに小さな亀裂が入る程度に乾かします。


しかし、今年は結構な頻度で降雨があり田んぼによっては上手く乾かない所もあります。
昨年は近年ないほど中干しが効きましたが、今年は思うようには出来ませんでした。
と言うのも、あまりに気温が高くイネの生育が大幅に進んでいる可能性が高い。何時までも水を切っておくわけにはいかないのです。
稲穂の元になるいわゆる幼穂が出来始める頃が幼穂形成期です。
この幼穂形成期に入る頃には水が必要になるので、中干しを終える時期は限定されます。
幼穂形成期は穂の出る25日前くらいで、近年は大体7月5日前後です。
しかし、昨年も一昨年もこれまで最速の出穂で7月中に穂が出揃いました。
これが現在の田んぼです。


今年の過去例のない猛暑を考えると7月初めには幼穂形成期に達していると考えなければならないでしょう。
ですから中干しが不十分なのは分かっていながら7月早々に中干しを終え水を入れ始めました。
この田んぼは小さな亀裂がまだ確認できます。


但し、分けつを促進する時期のように常時水を入れておく必要はありません。
間断灌漑水と言い水が無くなったら入れるようにすれば良いのです。
こちらは別の田んぼ。


こちらは中干しが不十分でした。


幼穂形成期から穂が出るまではイネにとって最も重要な時期です。
当地方では通常なら梅雨期には何日かはヤマセの気圧配置になることが多く低温による影響を心配するのが常です。
どんな場合でも当地方では低温による冷害回避を第一に考えます。
しかし、一昨年、昨年と異常に気温が高く、今年も同様の様相。それどころか梅雨期の気温は到底考えの及ばぬ猛暑です。
これほどの天候異変の影響は予測不能と言うべきでしょう。
気象庁の予報では今後も気温は高く経過するとしているので、様々な問題が想定されます。
過去に経験したことのない長期間の高温のため異常に早く穂の出る可能性があるかもしれません。
草丈が伸び茎数も多いので倒伏も懸念されます。高温下ではイネの消耗が激しく品質や収量に影響します。
我が家では一昨年、昨年とも品質の低下は免れてきましたが、今年はいわゆる高温障害が相当に心配になってきました。
しかし、やるべき管理を粛々とやる以外に有効な手立てはありません。
水管理を徹底し、2回目の雑草の刈り払いを早めに始めます。

消費者の一番の関心事コメの価格は備蓄米の浸透で当分は下がり続けると思われます。
後は全て今年の作柄見通しに掛かることになります。主産地の穂の出揃う8月上旬くらいがターニングポイントになるでしょう。
備蓄米の多くが放出されているのでどこまでも下落することはなくなりました。
仮に豊作になれば一定量を備蓄米として買い戻すことになると思われます。不作の情報が流れれば再び上昇するでしょう。
国の作柄調査は見直されることになりましたが、どのように発表されるのか。ますます責任重大になりました。
従来は最初の作柄概況の発表は8月下旬、西南暖地の早場米は7月下旬でした。今年は見送ることもあるのかもしれません。




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