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本日のなかじま●寒波の中にも春の気配♪

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オトナの学問-命のスイッチ「テロメア」

2004年11月15日 | 私的時事・BZ
1996年7月、スコットランドのロスリン研究所で生まれた羊「ドリー」の名前が、瞬く間に世界中を駆けめぐりました。
ドリーは、雌羊の体細胞を使ったクローン羊で、成体の体細胞を用いて生まれた哺乳類初のクローンで
1998年4月には、子羊「ボニー」を出産しまし、クローン羊も他の羊と同じように
生殖能力を持つことを証明したのでした。

しかし、世界の期待とは裏腹に、ドリーは誕生直後から短命の可能性を指摘されていました。
ドリーは1歳で細胞の染色体の中の、老化に関連があるとされる「テロメア」が、
普通の羊より約20%も短く、普通なら6歳の羊と同じ長さであることが分かったのです。

クローン羊のドリーの老化が早いといわれる原因の一つには、その生命の元となる細胞"核"を提供した
羊の細胞レベルで、すでにある程度老化した「テロメア」を、ドリーがそのままコピーして誕生していることにある
という指摘がされていたのです。
ドリー5歳半の時には、若い羊にはまれな脚の関節炎を患っていることが判明、
通常11~12歳といわれる羊の寿命の半分である6歳7カ月で、ドリーは安楽死させられます。
このことは、クローン技術の将来に大きな影響を与えました。

細胞が分裂する時には、まずまったく同じ染色体を倍に複製し、それを半分にわけることで
新しい細胞に伝えていくのだそうです。
その時、染色体の複製はかなり完璧にされるのに、染色体の両端にある「テロメア」だけは
完全には複製されず、分裂を重ねるたびに短くなってゆくことがわかっています。

つまり、生物が誕生した瞬間、その生命を維持するために始まる細胞分裂には
もともと分裂の回数をカウントする「テロメア」という機能が組み込まれていて、それがある回数に達したとき
細胞分裂を停止させ、老化を引き起こすことから、「テロメア」は細胞分裂の限界をカウントする
“老化の時計”といわれています。

ドリーの誕生から8年、遺伝子や細胞に関わる研究は飛躍的に進みました。
染色体 の分裂における「テロメア」の活動に、「テロメラーゼ」という酵素がかかわっていることもわかりました。
この酵素遺伝子は通常は“不活性化”によって正常な動物細胞に有限の寿命をもたせ老化のスイッチをいれるのです。
しかし、染色体が傷つけられたりして、この酵素遺伝子が“活性化”してしまうと、
その細胞は無限の寿命を獲得し、老化しない細胞になります。
その老化しない細胞が「がん細胞」なのです。

この「テロメア」をコントロールすることができれば、寿命を延ばしたり、
「がん細胞」を死滅させることができると期待されていて、今世紀は、遺伝子治療などによって
不治の病が治り、寿命が延びる可能性が大きくなっています。

「テロメア」によって正常に老化していくことで、私たちは“命の限界”を定められているのですが
一方で異常に老化しないことが、現代人の死因のトップである“がん”になる、というのは
なんだか運命的なものがあります。

生命のシステムの中に、誕生のときから“死”のスイッチがあるという事実。
そこに『命』のメカニズム、その存在意味というか、宇宙さえ超えるほどの壮大な法則が
あるのではないかと思わずにはいられません。

衣食住に満たされた環境を手に入れ、平和と安全というバリアーの中で暮らす
現代の日本を見てみると、なんだか“心”の「テロメア」が
狂い始めてはいないか・・・と思えてきます。

「テロメア」の存在は、私に、オトナであることや、成長することの意味を考えさせます。


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