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水瓶

ファンタジーや日々のこと

トルコの風景~ルトゥフィエ・バトゥカンの人形展

2015-07-09 11:33:38 | 横浜人形の家
子どもたちや鳥たちのいる木の下で語らう男女。夫婦でしょうか、親子でしょうか?
「人生の木」というタイトルがついていました。
伝統的な衣装の人形ながら、現代の人が作った感じがしますね。

先週土曜日に行った横浜人形の家、「トルコの風景 ルトゥフィエ・バトゥカンの人形展」の写真です。
色鮮やかで小さいものから大きいものまで。伝統的な衣装がとても凝っていて見応えありました。
民族(民俗?)人形は色んな物事が凝縮された感があって面白いですね。


「スィリフケの男性」。wikiで調べてみたらスィリフケとはトルコの町の名前で、
「スィリフケのヨーグルト」とは、ヨーグルトを作る動作を踊る伝統舞踊のようです。
この人形を見ると、かきまぜるスプーンを器用に操りながら踊る感じでしょうか。
ヨーグルト祭りというのもあるそうです。腸元気!


「パンを作る女性」。ちゃぶ台みたいな台、着物の柄など、昔の日本にも通じるものが感じられますね。


「揺りかごと女性」。お母さんの顔はリアルだけど、赤ちゃんの顔はマンガみたい。


「大地の母」。なにげないようで、ちょっと不思議な人形です。大地母神?


「羊飼い」。遊牧民がルーツのトルコでは、今でも牧畜が盛んなんだそうです。
雨宿りもできそうな肩は、テント兼マント?


「まじない師の女」。こういう顔にこういう化粧や服の占い師の人って日本にもいそうですよね。妙にリアル。


修道者たち。くるくる回るスーフィーって言いましたっけ。


左から預言者ヌーフ(ノア)、預言者ヤヒヤ(ヨハネ)、預言者ヤークブ(ヤコブ)。

以下、騎馬像三体続きます。騎馬姿って三割ぐらい見栄え増しますよね。


「エヴリヤ・チュレビ」。オスマン帝国時代のトルコの旅行家だそうです。
昔のイスラムの人が書いた旅行記をちょっとだけ読んだことがあるんですけど、近代以前の旅行って、
生きて帰って来られるかどうかわからない、ほぼ冒険のような感じだったんでしょうね。
だから旅行の動機はとても強いものだったんじゃないかと思います。巡礼、交易、植民地探し。


「馬に乗るオウズハン(伝トルコ民族の父親)」。


「皇帝メフメト二世」。へええ、東ローマ帝国を滅ぼして、オスマン帝国を帝国たる内実にした皇帝とな。。

マクニールの「世界史」で読んだんですが、いつの時代か忘れたけれど、馬が大型化した時期があったんだそうです。
理由はシンプルなもので、ムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)を飼料にしたこと。
それまで小型で毛が長めだった馬が、大きくたくましく、短毛になったんだそう。
馬の大型化によって重い鎧をつけた重装兵を乗せることができるようになり、戦のあり方が大きく変わったそうです。
あのひょろひょろしたちっこいモヤシみたいなアルファルファが世界の歴史を変えたわけです。すごかね…!!

あ、そういえばサラブレッドの原種はたしかアラブ種ですね。ルーツはここら辺なのかも。
ふふふ、ご存知ですか?現在のサラブレッドの先祖を遡ると全て、ゴドルフィンアラビアン、バイアリーターク、
ダーレーアラビアンという三頭の馬にたどり着くのです。えっへん。

ついでに、タークってひょっとして…?と思って調べてみたら、一説によるとバイアリーターク(Byerley Turk)は、
イギリスのバイアリー大尉がオスマン帝国から奪った軍馬らしいと。
辞書を見たらターク(Turk)には、トルコ人の他にトルコ馬という意味があるそうです。
オスマントルコが版図を広げた大きな理由の一つが、馬だったのかも知れませんね。ヒッヒン!


「オスマン軍楽隊(メフテル)」。マーチングバンドの起源とされていて、ヨーロッパでおそれ憧れられていたそうです。
そうか、それでモーツァルトもベートーベンもトルコ行進曲を作ったのか…!


「皇后ヒュッレム(スレイマン大帝の后)」。スレイマン大帝はオスマン帝国を最盛期に導いた皇帝だそうです。
ヒュッレムはスレイマン大帝の寵愛を受けて、後宮の女奴隷であった身分から解放され、
正式な皇后と認められた異例の女性だそうです。


最後は穏やかでかわいらしい人形の写真を。こちらは「眠る娘」。


「鳥と少女」。


「ロバに乗る兄と妹」。同じ騎馬(騎ロバ?)でもこちらはずいぶんかわいいらしいですね。

その場で見て楽しみ、帰って来て調べてまた面白く、といい展示でした。
この人形展は7月20日までやっているそうです。屋内だから雨でも大丈夫。お近くの方はぜひ!

横浜人形の家

2014-12-07 10:11:06 | 横浜人形の家
スキーを抱えてすっかり冬支度。かわいいでしょう?ノルウェーの人形だそうです。
昨日は久しぶりに横浜人形の家へ行って来ました。
といっても森のなかまともどもまだ本調子でないので、早めに帰って来ましたが、
写真はいっぱい撮ったぞ~!!

人形の家、少しずつ常設展の人形も替わっているようです。
たしか前回行った時、ノルウェーはトロールの人形でした。


駅までの道のりにあったもみじ。スカンと青い空によく映えていました。


赤・黄・緑と三色そろってきれいです。高さで紅葉具合が違うんですね。


ケヤキはいよいよ黄色濃く。

人形の家は都道府県ごとに人形が展示されています。とりあえず実家のある栃木の人形たちを一枚。

しかし全都道府県の人形を県名がわかるように撮った辺りで力尽きてしまい、
世界の人形たちの方はピンポイントに。。うん、また次に来た時にね。

今回は特に牛と馬に注意して見ていたら、おおお、ほんとうだ!
西の方は圧倒的に牛の人形が多いのに、富山・長野辺りから急に馬の人形が増えて来るんです。
おそるべしフォッサマグナ………
それにしても牛が多いです。牛が一番多くて次に馬、かなあ。
かつてはいかに生活に身近な動物だったかわかります。モォ~


人形劇の劇場がある四階のコーナーにあったパペット。
ベルギーのベルナール・クレールさんという方が作った人形で、
十年ほど前にトクホンのコマーシャルで使われたそうです。
なるほど、トクホンの商品がいりそうな仕事ですね。


ハイハイしてる赤ちゃんのパペット。まだ当分トクホンはいらなそうだけど。。。


上の二つに比べてぐんと糸の数が多い老夫婦。糸も頭もこんぐらがりそうです。
よくこんなの動かせるなあ。。。


ひとしきり人形たちを見た後で外を見下ろすと、風景までおもちゃっぽく見えてしまう。。。


外へ出るとピンクに染まった雲がぷっかり浮かんでいました。寒い…!

人形の家では、ほかにも人間国宝・平田郷陽さんなどの名品の企画展をやっていました(こちらは撮影禁止)。
平田郷陽さんのは木目込み人形というそうで、木地師の流れにあるんじゃないかと思います。
遊ぶ子どもの姿など、題材は素朴ながら、もはや民俗とは言えないような感じで、はて何が違うんだろ…?
誰が作ったんだろう、と気になってくる所かなあ。民俗から生まれ、民俗から出る。


そういえば前回、アルメニアを放浪していた小さなバイキングたちは、
故郷のデンマークに戻っていました。
いやあ、ちょっくら海のない国にも行ってみたかったのさ!

横浜人形の家 その7 日本の人形たち

2014-05-04 08:56:32 | 横浜人形の家

いいポーズですね。歌舞伎みたい。映り込みが残念だあ……

ピンではれる日本の人形というと、武者人形やいわゆる日本人形かなと思いますが、
ほとんど美術品や芸術品になってしまって、かわいさは少し……大分減ってしまいます。
貴族や武士階級の人形たちということになるのでしょうか。
それでもやっぱり、なんでそこまで?言いたくなるような細やかさは、
小さな人形たちと共通しています。見事なものですね。


伝令からの文書を受け取っている戦国武将でしょうか。説明読むの忘れました。
ちなみに後ろの幕にある羽根が交差してる家紋は鷹の羽紋といって、武士が多く用いた紋だそうです。


端正な面持ちに静かなたたずまい。品があるなあ……


源頼朝公です。とても遊べたもんじゃありません。夢に出て来て手にした扇子で叩かれそうです。


明日は子どもの日!ま~さか~り~か~つい~だ~き~んたろお~~~♪

ここからはまた、民俗世界の様々な人形たちの写真を。


北海道はアイヌの人たちの人形です。熊の顔がリアルで怖いですね。。。
北海道はヒグマですから本当にシャレになりません。
でもアイヌ神話では、熊はえらい神様なんですよね


極彩色の沖縄の、、、これはなんなんでしょう?矢立て?
あっ、よく見ると竜になってる!


おでこから上が切れちゃってるのは、福助人形のようです。
頭入れると下にある小さな山車が入らないのです。。見事なんですよ。


これは秋田の竿灯人形というそうです。染之助染太郎?


最初わからなかったんですが、手前のくつべらのようなのが馬じゃないかと思います。
鳥や馬は多いモチーフです。他にはサル、牛など。昔は今より身近な動物だったんでしょうね。


福島の三春駒。赤べこもですが、実家の飾り棚に昔からあったので、なじみ深い人形です。
手前はだるまさんのコケシでしょうか。むむむ。

これでいったん、人形の家シリーズはおわりです。いかがでしたでしょうか。
今度行った時には国名県名を調べて来て、一連の記事の写真下に入れていくつもりです。
左に「人形の家」で独立したカテゴリーをもうけましたので、
よかったらまたその時にでも見てみて下さい。
そして、もしもご興味とご機会があったら、横浜人形の家へ立ち寄ってみて下さい。
入館料300円で、観光にも便利な場所にあります。
5月6日まで、人形劇まつりもやっているようですよ


………燃え尽きた………

横浜人形の家 その6 日本の人形たち

2014-05-03 07:09:50 | 横浜人形の家
JAPANESE DOLL・KOKESHI!

これだけ並ぶと壮観ですね。AKBみたいです。か…?
眺めてたらふと、柳田國男さんの本で読んだオシラサマの話を思い出しました。
オシラサマとは東北地方に古くからある、養蚕や馬に縁の深い、家々の神様です。
こけしの名産地も東北に多いみたいだし、どこかでつながりがありそうです。


横浜人形の家の日本のコーナーは、人形ではない玩具や飾りなども飾られています。
条件が違うので一概に比較できませんが、日本のものは、
外国よりも一回り二回り、三回りも小さいものが多いのですね。
で、ズーム機能のないレンズで撮っていたせいもありますが、画面にすごい数が入ってしまうのです。
そうすると、何か一つをメインというか、主人公に持って来るのがとても難しいのです。
この撮りづらさ、何かに似ていると思ったら、桜です。
トリミングして拡大すれば、一つずつ画像にできるけれど、
それだと独特の良さやかわいらしさが薄れてしまう。
日本の人形は小さいという所に、すごく大事なポイントがあるように思えるのです。
手のひらに包み込めてしまうぐらいのサイズが一番かわいいと私は感じるのですが、
展示してあるものも、それぐらいのサイズが多かった気がします。
そう、ちょうどガシャポン人形のサイズなんです!
ならいっそ、ゴチャゴチャした感じを楽しむ方がいいようです。
というわけで今回は、特にゴチャゴチャ感が楽しいものを集めてみました。


日本のもやっぱり、県名が入ってるものもあり、ないものもあり、です。
この小さいニワトリ、藁で編んだものでしょうか。細かいなあ。。


このおみこしやお面飾り、ほんとに小さいんですよ。牛の顔がちょっとピカソっぽいですね。


ライティングのせいで左の狐面がホラー気味。。藁という素材は時々妙に怖い演出をします。


なんていうんだっけ、、、この雪ん子がはいてるような長靴は。。


さるぼぼ、ご存知でしょうか?仰向けになっている赤い人形です。
森のなかまのお母さんの実家が岐阜なのでうちにもありますが、さるぼぼは顔がないのが特徴なんです。
代わりに厄を受けてくれる身代わり人形には、あまり顔を描かないのかも知れませんね。


色んな素材に色んな形、色んな大きさ。レイアウト考えるの大変だったろうなあ。。


これはきっと長崎ですね。出島オランダポルトガル、南蛮渡来の風が吹く!


ひのみやぐらに笊をかぶった犬(昔はあれをネコだと思っていました)。
何なのかよくわからないものまでこまごまと、楽しいですね。


備中は岡山。七福神には一つ多い、、、と思ったら、神楽人形とあります。
適当にさっと描いたようなのに、ひとつひとつ本当に表情が面白いんです。

とにかく見るのが大変なくらい、沢山あります。
こうして家に帰ってから、写真を見て気がつくことも多いです。
小さい世界はゆっくり楽しむのが吉ですね

横浜人形の家 その5 アジア・オセアニアの人形たち

2014-05-01 08:47:14 | 横浜人形の家
この売り子人形、とても気に入ってしまいました。後ろの馬車との組み合わせもいいし。
なんとなく、中央アジアの○○○○スタンの国じゃないかと。。
ちなみに「~スタン」というのは、○○族の国、という意味だそうです。

今回はアジア・オセアニアの人形たちです。だんだんと海の香りがしてきますよ。


陶器の滑らかさがなんともなまめかしいですね。色合いといい、シルクロードの近く?


これはシンガポールです。結婚式の人形かな?
女の人の人形が多いのは、化粧や髪型、服装などで見せる幅が大きく、違いを出しやすいから、
というのが理由の一つでしょうか。独自の民俗の見せ所ですね。


どこなんでしょう。。でも東南アジアの方で、こういう踊りありますよね。
ゆったりとして見える踊りだけれど、いきなりやったらこむら返りを起こしそうなポーズです。


スリランカの、人形というより仮面ですね。
頭がコブラですが、よくデザインされているせいか、それほど怖さを感じません。
、、、あれ?よく見るとコブラ、かわいい顔してますよ。


インドネシアの鳥の王、ガルーダ。左手はフクロウでしょうか。
インド神話ではナーガ族(ヘビや竜)と対立する鳥の神様なんだそうです。目力が強い!


一番左の松尾伴内さんに似てる人形だけは、モルディブとわかりました。
この人形も妙にリアルですね。他の人形と並ぶと浮いてしまうぐらい。。


左手にある人形はマレーシアのものですが、よ~く見てみて下さい。貝で出来てるんです。
この人形を見ているだけで、白い砂浜と青い海が目の前に広がるようです。


ふふふ、なんだかユーモラスなこの人形はパラオ。水木しげるさんのマンガのようです。
高床式の家は、むし暑いからでしょうか。今にも走り出してドボンと海に飛び込みそうです。


トンガのお人形さんです。ほんとに幸せそうな顔をしています。
子どもがだっこしてちょうどいいぐらいの大きさ。
愛着があるほど、その子が大きくなる頃には、汚れてボロボロになってしまうんでしょうね。
でも、人形の一番の役目はそれなのかも知れません。

写真に撮ってみるとよくわかるのですが、レイアウトがとてもよく考えられているんだなあと。
絵になりやすいのです。こういった美術館や博物館では、すごく大事なことなんでしょうね。
世界の人形の記事はこれでおしまい。その内補完編があると思いますが…
よっく書いたなあ。。。結構根つめてしまいました。

ちょっと一息ついてから、日本の人形たちです。