春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町中心)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ。
今日はどんより曇ったあいにくの天気です。
曇っているのが、雲のせいなのか、PM2.5なのか黄砂なのか・・・。
福岡では、PM2.5の空気中濃度が国の環境基準を2日連続で超えたと注意喚起しています。
我が家では小さな子供がいるので、最近、洗濯物は室内で干すようにしていますが、ご近所さんでもあまり外に洗濯物を干していないようです。
本日は、聴力測定について少し掘り下げたいと思います。
通常、加齢による難聴の場合、右耳と左耳の聴力に極端な差を生じることは少ないと思われます。
しかし、時々、過去に患った耳の病気の影響などで、左右で極端な聴力差が生まれる場合があります。
聴力差がある場合、ご本人に自覚があるため、悪い耳の方に補聴器の適用を希望されます。
聞こえにくい耳を聞こえるようにしたいと思われるのは当然ですね。
この時、注意してほしいことが、「シャドウヒヤリング(陰影聴取、クロスヒヤリング)」です。
左右の耳に聴力差がある場合、測定している耳とは反対側の耳で測定音を聞き取っていることがあります。
例えば、左耳で60dBの測定音で測定している場合、その測定音は被測定者の頭の中を約50dB減衰して、右耳に到達します。(※右耳には、60-50=10dBの測定音が聞こえる。)
我々、補聴器屋さんでは、左右に聴力差があると、先ず「シャドウヒヤリング」がないかを疑います。
一般的には、気導聴力を測定して、左右差が約50dB以上あると悪い方の聴力を確認して、「マスキング」という作業を行います。
具体的には、良い方の耳にヘッドホンから「ザー」というマスキングノイズを入れ、悪い方の耳の真値(正しい測定値)を測ります。
また、まれに良い耳の骨導値(骨導聴力)がシャドウヒヤリングを起こしている場合があり、これは、きちんと骨導聴力を測定していないと見極められません。
以前にも触れましたが、販売店さんによっては測定時間を省略するため、骨導聴力を測定しないところもあります。
もし、補聴器屋さんの腕が悪いと、補聴器で効果が出せないほど悪い耳に補聴器を適用してしまうかもしれません。
私がメーカーにいたとき、ある販売店さんで、『どうしても補聴器の効果を感じない難しいお客さんがいる。一度、直接応対してくれないか?』と依頼がありました。
お客様のカルテを見ると左右差が極端にあり、見事にシャドウヒヤリングを起こしていました。
再度、マスキングをして測定。
結果、悪い方の耳は、スケールアウト(測定不能)でした。
お客様に、悪い方の耳の原因を聞くと、慢性中耳炎を悪化させて、お医者さんから「補聴器の効果はない」と言われているそうでした。
購入されていた補聴器は、重度難聴用の耳かけ型で、イヤモールド(オーダー耳栓)をしているにもかかわらず、最大出力でピーピー音漏れしている状態です。
ご本人は、「ピーピーなるばかりで、まったく聞こえている感じがしない。」と言われていました。
幸い、購入後間がなかったので、事情を説明して返品させていただきました。
聴力測定は、補聴器を選ぶ上で非常に重要な作業です。
多少時間がかかっても、お客様にあった補聴器を購入していただくため、気導聴力以外の測定もしてもらうようにしましょう。
本日は以上です。
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