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あの不等式から10年

2024-03-15 12:00:00 | 23期生のブログリレー

こんにちは!稼プロ!23期生の前川昌隆です!

 

皆様は10年ほど前に流行った不等式を覚えていますか?

その不等式とは「r>g」です。
これはトマ・ピケティ氏が著書『21世紀の資本』にて発表したものです。
rは資本収益率、gは経済成長率を表します。

同氏が200年以上のデータを調査した結果、rは年5%程度、gは年1~2%程度で、長期的に見ると「r>g」が成り立つことがわかりました。
そして、資産の増加率が賃金の増加率より高く、資産家と労働者の格差はますます拡大していくとされています。
さらに、同氏は、格差拡大への対応として世界的に“富裕税”を設けるべきだと主張しています。

r(資本収益率)は、収益÷資本ですが、得られた収益は再投資に回します。
つまり、1年間で得られた収益の分だけ資本(資産)が増えるということで、rは資本(資産)の増加率を表しているとも言えます。
(または、得られる収益も当然に資産なのでそのまま資産の増加率であると考えるのもシンプルです。)
※資本とは投資した資産を指しています。



さて、2024年は日米欧ともに株式が好調に推移しています。
そしてr>gと言われて10年が経ちました。
この10年の「r」と「g」を簡単に調べてみました。

今回、rは伝統的資産と言われる上場株式を対象とし、全世界株式指数MSCI ACWI(世界株式時価総額の約85%をカバー)の数値を確認しました。
これをr’とします。

r’2013年の終値:408.55pt
r’2023年の終値:727.00pt
この10年間の年平均増加率は約5.93%です。

gは世界銀行による世界経済成長率です。
2014年~2023年の10間の年平均成長率は約2.68%でした。
よって、この10年間において「r’>g」だったと言えます。

上記のことから、ピケティ氏の調査に直近10年間を含めた場合も「r>g」であると言えそうです。

 

一方で、ピケティ氏が主張した“富裕税”を世界的に設ける動きはあったのでしょうか?

富裕税のような税を導入(増税)したり、廃止(減税)したりという状況で、動きは国や地域によって様々でした。
少なくとも、同氏が主張した富裕税の“世界的”な導入は無かったというのが、私がネット検索から得た結果です。
つまり、資産家と労働者の格差拡大傾向は続いていると言えそうです。

 

この時期は、春闘やメーデーの季節ですが、大企業でも中小企業でも実質賃金の上昇が実現することを切に願っています。

 

※ご注意
株式投資などを推奨しているわけではありません。
投資をする場合は自己責任でお願いします。
トマ・ピケティ氏と同じ調査をしたわけではありません。

コメント (4)
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