特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

9-15・ミュオン異常磁気モーメント測定

2024-04-17 03:25:04 | 日記

「取らぬタヌキの皮算用」を続けます。

さて以前のページでは「J-PARCの実験はフェルミ研での実験結果を支持しない」と主張しました。

そうしてその根拠は「9-12」で示した様に(1)式の第二項が計算上ではゼロにならない、と言うものでした。

加えて前のページで示した様に「γの値がマジック運動量の29.30になっていない」という事もそのように主張する根拠となります。

 

さてそのような状況が起きる原因として当方が主張しているのは「客観的に存在している静止系に対して地球が0.001Cでドリフトしている」と言うものでした。

これに対してハーフェレ・キーティングの実験の場合は「北極上空に静止系を置く事で実験結果を説明できる」というものでした。

さてそれで「フェルミ研の実験がJ-PARCの実験結果と一致しない」となった時にハーフェレ・キーティングの実験の場合の様に「北極上空に設置した静止系を考える事でフェルミ研の実験結果を説明できるのかどうか」、先回りになりますがここで検討しておきます。

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地球が静止系に対して0.001Cでドリフトしている場合に計算するべき項は(aµ − 1/(γ^2 − 1))でした。

で、ドリフト量が0.001Cの場合は以下の様な計算になりました。

但しここではβの値は0.99942137とします。

25/21584/(2pi)-((1/( (((0.99942137*cos x+0.001)/((1+0.99942137*(cos x)*0.001)))^2+(sqrt(1-0.001^2)*((0.99942137*sin x)/((1+0.99942137*(cos x)*0.001))))^2)))/(2pi)-1/(2pi))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input?i=25%2F21584%2F%282pi%29-%28%281%2F%28+%28%28%280.99942137*cos+x%2B0.001%29%2F%28%281%2B0.99942137*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%28sqrt%281-0.001%5E2%29*%28%280.99942137*sin+x%29%2F%28%281%2B0.99942137*%28cos+x%29*0.001%29%29%29%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29-1%2F%282pi%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは

-4.12233*10^-10

 

それでこの時にドリフト量がゼロの場合は上記積分は理想的にはゼロになっているはずです。

それを確かめます。

25/21584/(2pi)-((1/( (((0.99942137*cos x+0)/((1+0.99942137*(cos x)*0)))^2+(sqrt(1-0^2)*((0.99942137*sin x)/((1+0.99942137*(cos x)*0))))^2)))/(2pi)-1/(2pi))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input?i=25%2F21584%2F%282pi%29-%28%281%2F%28+%28%28%280.99942137*cos+x%2B0%29%2F%28%281%2B0.99942137*%28cos+x%29*0%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%28sqrt%281-0%5E2%29*%28%280.99942137*sin+x%29%2F%28%281%2B0.99942137*%28cos+x%29*0%29%29%29%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29-1%2F%282pi%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは

1.68242*10^-10

ゼロではなくて少しプラスになっています。

これはβの値として0.99942137と厳密解0.999421369916024917・・・から少しだけおおきな値を使った事に起因している様です。

そうであればここでは逆に

1.68242*10^-10の値を原点=ゼロと読みます。

そうすると上記のドリフト量が0.001Cの場合の(aμ-(1/(γ^2-1))) の値は

(-4.12233*10^-10)ー(1.68242*10^-10)=-5.80475*10^-10

となります。

以上の値がドリフト量が0.001Cの場合の結果でした。

 

それに対して北極上空に静止系を設定した場合はフェルミ研のストレージリングのある実験室は静止系に対して地球の自転分だけ運動している事になります。

それでここではその自転分の速度を赤道での自転速度とします。

注意すべきはもちろんフェルミ研の場所は赤道ではなくてもっと北寄りにあるためにその場所の自転速度は赤道上よりも遅くなっている、という事です。

さてそれで地球の自転速度ですがウルフラムでの積分計算をうまく行うために地球の自転速度9.50*10^-7を少しくりあげて10.0*10^-7とします。

この数字が上記で示した地球のドリフト量の0.001Cの代わりになります。

以下はウルフラムによるその計算です。

 

25/21584/(2pi)-((1/( (((0.99942137*cos x+10^-6)/((1+0.99942137*(cos x)*10^-6)))^2+(sqrt(1-10^-12)*((0.99942137*sin x)/((1+0.99942137*(cos x)*10^-6))))^2)))/(2pi)-1/(2pi))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input?i=25%2F21584%2F%282pi%29-%28%281%2F%28+%28%28%280.99942137*cos+x%2B10%5E-6%29%2F%28%281%2B0.99942137*%28cos+x%29*10%5E-6%29%29%29%5E2%EF%BC%8B%28sqrt%281-10%5E-12%29*%28%280.99942137*sin+x%29%2F%28%281%2B0.99942137*%28cos+x%29*10%5E-6%29%29%29%29%5E2%29%29%29%2F%282pi%29-1%2F%282pi%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは

1.68242*10^-10

この値はドリフト量がゼロの場合と同じになっています。

つまり「10.0*10^-7程度のドリフト量=地球の自転速度によるもの」ではほとんどその効果は検出されずにゼロと同じとなるのです。

つまり「北極上空に静止系を設定した場合には(aµ − 1/(γ^2 − 1))の項目はゼロになる、従って静電四重極が作る電場の影響をミュー粒子は受けない」ということになりその結果は「フェルミ研での実験はJ-PARCの実験結果と同じになる」という事になります。

 

さてそうであれば「フェルミ研での実験はJ-PARCの実験結果と違っている」という事になった場合は「地球が静止系に対して無視できない程の速度でドリフトしている」という事になるのです。

これが「今回の実験結果とハーフェレ・キーティングの実験結果との大きな違い」=「実験の測定感度の違い」=「実験の測定精度の違い」と言えます。

つまりは「北極上空の静止系設定」では「J-Parcの実験がフェルミ研での実験値と異なった場合の理由の説明はできない」という事になるのです。

さてそうなりますと「BNL~フェルミ研の実験は客観的に存在している静止系に対して地球が0.001C程度でドリフトしているという事を歴史上始めて確認できた実験」という事になるのです。(注2

 

追記:「ミュオン異常磁気モーメント測定のテーマ」が「理論計算と測定値が一致しない件」という事について。

結局の所、QEDによる計算結果は電子の異常磁気モーメント測定の値と「10^<-12>のオーダーまで測定値と理論計算が一致する」のです。(注1

これは一応「QEDの計算手順は正しい」という事の証明になっています。

さてそれに対してミュオン異常磁気モーメントでは「測定値と理論計算値が一致しない、5σ程度の差がある」となっています。

そうであれば「ミュオン異常磁気モーメント測定のテーマ」は「理論計算と測定値が一致しない件」という事になります。

そうしてもちろん理論計算も測定も「自分達が行った事については単純なミスはない」と主張しているのです。

それで業界の世論としては「理論計算と測定が一致しないのは、そこに我々がまだ知らない新物理が現れているからである」と予測、期待しているのです。

他方で当方は「いやいや、数値は理論計算が正しい。間違っているのは実験の方で、その理由は地球が静止系に対してドリフトしている効果を考量していないからだ」と主張しているのです。

 

さて以上の対立点については「どちらの読みが正しいのか」J-PARCの実験結果が一つの回答を与える事になります。

そうであれば「J-PARCの実験結果がBNL~フェルミ研での実験結果と一致するかどうか」が本当に大きな意味をもつ事になるのです。

 

注1:「QED摂動論によるレプトン異常磁気能率の計算(最近の研究から)」: https://archive.md/s0Grm :

『著者らのグループは数値的手法により摂動の10次項の完全な決定を行い,結果として電子g因子について10^<-12>のオーダーまで測定値と理論計算が一致することをみた.この精度までQEDの正しさが検証されたと言える。
↓ミュオン
測定値と,QEDを含む素粒子標準模型からの理論値の間に約3σの差が見つかり,標準模型を超える新物理を探るプローブの一つとして注目されている.』

注2:注意すべきは「ハーフェレ・キーティングの実験結果は北極上空に静止系を設定する事で説明可能」でしたが、それでは「J-Parcの実験がフェルミ研での実験値と異なった場合の理由の説明はできない」という事です。

他方で「J-Parcの実験がフェルミ研での実験値と異なった場合の理由の説明」として「静止系が客観的に存在する事を認めた場合」には、まさにその同じ理由によって「ハーフェレ・キーティングの実験結果も説明できる」という所にあります。

さてこの状況を数字で表すと次のようになります。

8-7・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の6」では「地球が属している銀学系の静止系に対するドリフト量は±0.5Cを超える事は無い」という事が確認できました。

そうして「J-Parcの実験がフェルミ研での実験値と異なった場合」には「北極上空に設定した静止系では説明できない」となりました。

従って客観的に存在する静止系の地球から見た場合のシフト量は次の範囲にある事になります。

-0.5C<静止系<0、あるいは 0<静止系<+0.5C

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/k7Vkm