特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その1・タキオン通信

2022-04-27 11:22:09 | 日記

まずは光通信での計算です。二人の宇宙船には通常の通信機とレーダーは標準装備していますからこれは今更の話でもあります。

まずはO君の立場で状況を確認します。

時計リスタート15日経過した所でレーダーと音声でR君に「元気かい?」と呼びかけます。15日経過ですから光速の50%で進行中のR号機はO君から7.5光日の距離にいます。(時計リスタート時点ではR号機とO君との距離は15光日でした。)

それでO君発のレーダー波と音声電波は送信から5日経過した所でR号機に届きます。5日経過でR号機は2.5光日分、さらにO君に近づきます。このときO君とR君の距離は残り5光日になっています。O君から出た電波は5日経過で5光日分、R君に近づきますのでここで電波はR君に届く事になります。

R号機に届いたレーダー波はR号機の内部時間には関係なく機体の外壁で反射されO君に戻り始めます。(注1) 5光日分先で反射したレーダー波は5日後にO君に届きます。従ってO君はレーダー波の戻りを25日に確認する事になります。(レーダー波は行きに5日、帰りに5日かかる。従って全部で10日間必要。)

15日に発信した情報は25日に受信されました。この場合「情報は過去には戻らず」、「因果律は安泰」であります。



さて、しかしながら「タキオン通信を使えば過去に情報を送れる(場合がある)」と主張する方々の計算手順は以下のようになります。

O君の立場では上記で示した様に15日に発信した電波が20日にR号機に届く事になります。(ここまではいっしょです)

それでこの時、O君から見れば「R号機の時計は17.32日経過」となります。R号機は光速の50%で近づいてきていますから、R号機の内部時間は遅れるのです。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228694 :物体の時間 T0 に17.32をセット。相対速度は毎秒15万キロで計算ボタンをポチる。答えは20.00。

つまりO君経過時間20日はR君経過時間では17.32日となるのです。

ここで観察主体をO君からR君に変更します。これがこの計算手順のポイントです。

そうするとR君は「近づいてくるO君が当初距離の半分に到達した所で情報を発信した」と見るでしょう。そうしてその情報が自分に届いたのは17.32日だ、と確認します。

さて、即座に反射されるレーダー波と少し遅れて返信されるのは「元気だよ!」の音声電波です。

それでこの時R君はO号機との距離を最初の計算で示した「残り5光日」と見るのではなく、ローレンツ短縮がかかりその分短く「4.33光日」と見ます。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228696 : 静止時の長さ L0に5をセットし相対速度は毎秒15万キロで計算ボタンをポチる。答えは4.33。

4.33光日を光速で電波が走りますから(どの慣性系でみても光の速度は毎秒30万キロメートルと相対論は言います)、返信の電波は4.33日でO号機に届きます。

従ってR君の時計では17.32日+4.33日=21.65日にO号機に情報が戻った事になります。

さてここで「動いているのはO号機だ」とR君は見ますから、当然O号機の内部時間はR君時間よりも遅れます。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228694 :物体の時間 T0 に18.75をセット。相対速度は毎秒15万キロで計算ボタンをポチる。答えは21.65。

こうしてR君は「O君から送られてきた情報がO号機に戻ったのは、O号機の内部時間で18.75日である」と確認するのでした。

これが「特殊相対論を使いながら、かつ計算途中で観察主体を切り替えて計算する手順」です。



さて、一貫してO君の立場で見た場合は15日に発信した情報は25日にO君に戻るのでした。

しかしながら信号がR君に届いた時点で観察主体をR君に変更しますと、O号機にもどる信号はO号機の時計で18.75日になります。

そうしてこれが「タキオン通信では情報を過去に送る事ができる(場合がある)」と主張する立場の人たちが行う「特殊相対論を使った計算手順」です。



上記の計算では、通信速度は光速でした。
そうしてこの場合にはまだ「因果律の破れ」は認められません。

しかし光速通信でも25日に受信したと主張するO君に対しては、R君は18.75日と主張し、ここで6.25日の「過去への戻り(?)分」が確認できます。

それで2つ目に示した計算手順によれば「通信速度を上げるに従ってこの過去への戻り分はどんどんと大きくなり、ついには情報を発信した15日以前に返信がO号機に戻る様になる」と言われています。

さて、本当にそうなるのかどうか、その計算については次回に行う事と致しましょう。


注1:レーダー波が金属表面で反射される仕組みは金属の自由電子にレーダー波が一旦は吸収され、その後再放出される、とするのが妥当の様です。

g. 金属の光沢
https://archive.fo/O33TD

そのプロセスにどれほどの時間が必要であるのかは現状不明ですが(単に調べるのをさぼっているだけです)この現象はゼロタイムでは起こりえません。
さて、船体外周部の金属表面の自由電子群とはいえR号機に属していますのでその入射レーダー波に対する反応時間については「(O君に対して)時間の遅れが生じている」と相対論は言います。

そうであれば、静止している金属に対するレーダー波の反射時間と、高速で近づいてくる金属に対するレーダー波の反射時間との間には「微小な差が生じている」という事になります。
勿論、「高速移動中の金属に対するレーダー波の反射時間の方が長くなる」という事になります。

・・・ちょっと調べました。
(a)金属板に浸透するマイクロ波の表皮の深さ[12]
https://archive.fo/6q24S

『・・・アルミニウムは、周波数が2.45GHzのとき、表皮深さδが約1.67μmになります(表3もご参照ください)。この表皮の深さδは、金属表面の電磁界強度を100%としたときに36.8%になる深さを意味します。
そして、アルミニウムの板厚の20 μm = 約12×δは、減衰率が104(dB)に相当します。減衰率の100dBは、金属の表面で1000kWのマイクロ波が裏面では0.1mWになることを意味します。・・・』


アルミニウム・・・では船体としては柔らかすぎますからせめてジュラルミンで。
それでもせいぜい20ミクロンまでしか電磁波は入り込まない。
そこで反射するとして、反射経路全長は40ミクロン。
・・・光がどれほどの時間で反射されるのか、後の計算はお任せします。

訂正
>勿論、「高速移動中の金属に対するレーダー波の反射時間の方が長くなる」という事になります。

上記の件、R号機がローレンツ短縮する事を忘れていました。

静止状態ではマイクロ波の浸透深さは20ミクロンですが、高速移動ではその距離はローレンツ短縮を起こして短くなります。
そうであれば反射経路全長は40ミクロンよりも短くなり、これがR号機で発生している「時間の遅れ」と打ち消しあい、マイクロ波は「静止している時に必要な反射反応時間」と同じ時間で「移動物体から反射される」という事になります。

それで、「相対論と言うのはこういう風に、ぼろを出さない様に出来ている」という事が言えそうです。


追伸
この議論、通信機のほかにレーダーが必要でした。

そうであればO君とR君は宇宙ベースから「タキオンレーダー」もこっそりと持ち出したのです。

もちろん「タキオン反射板」も(それがどんな物質で出来ているのか不明でしたが)各自、自分の船の先頭に装着しました。


参考資料
超光速通信(ういき)
https://archive.fo/gpJui

『・・・超光速通信がもしあれば過去への通信が可能となり、結果的に因果律が崩壊する・・・』と言う記述がここにもありました。


PS:相対論の事など 記事一覧



https://archive.fo/5nPFA