今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

扇子と汗

2011年07月12日 22時57分31秒 | きもの

今日も暑かった。
お疲れサマー。
でも大すきサマー。

ところで先日、
いたって普通にきものの袖口から
パタパタ扇子で風を送っていたら、

「それは男」 

比佐子さんに云われハッとした。

こ、これは・・・高座を映している。
出たな、高座映し。

確かに若旦那も、ご隠居も、噺家も
みんな男、男だよ!

落語の高座を見ているうちに、それがスタンダードになり、
どうやらワタシは無自覚にやってしまっていたようだ。

では女はそのようにあおいではいけないのか、というと、
もちろんアリだそうで(一番涼しいからね)。
ただし、女の人の場合は、ゆっくりあおぐのだそうだ。
ぱたぱたっとせわしなくではなく。
まあ、身分、職業、年齢によってまた細部は
違うのだろうけれど。

で、このときふと思い出したのは、
そういえば、すばらしい噺家たちはみんな
顔に汗をかかないなということ。

敬愛する小三治師匠も、見た目はまったく。
汗の一粒どころか、暑そうにも見えない。
しかし実際は、きものの内側は汗だらけで、
長じゅばんなどは汗が絞れるくらいなのだという。

太っている人は汗かきだと云われているし、
実際その傾向は強いが、大人気の喬太郎など
90キロ近くあるんだけれど、
すばらしく熱演しているときだって
汗ダラダラなんてのは見たことがない。

思うに、役者でも噺家でも、
人気がある人ほど顔に汗をかかないのは、
見られているとか見せているという意識が
根底に強くあるからかもしれない。
意識が無意識に汗を抑えている、というのは
十分に考えられる。

友だちにこの話をしたら、女優の中には涙を流すのも
右目、左目思うままという方もいるというのを聞いた。
すごい。
これはほんとにすごいと思った(違う意味でも)。

あとは帯の位置と肚の据え方か。
これは比佐子さんもよく云っていることだけど、
汗どめポイントを抑えて帯を締めると、汗は出て来ない。
また肚がぐっと座っていると、やはり下手な汗はかかないと。
後者はしかし、云うは易く、行うは難しだ。


お次は夏のコーデ。
今日は姐さん。



黒の宮古上布に、白の紗の博多献上の帯。



あんまり全体ムードがピリリになり過ぎないように
帯〆と帯あげでコーデ琴線をゆるめました、な感じ。




夏に雪の結晶の柄を着るのだ。
それが日本の文化性なのだ。




このシワ感が麻ならでは。
いいね。

シワがひどくなって、気になってきたら
水が入ったスプレーを携帯していて
それをひと吹き、ふた吹き。
すると水が乾く頃には、生地のシワはとれていますよ。


というわけで。
明日も夏!
汗と上手に付き合っていこう。



夏だから冬の柄

2011年07月12日 00時10分55秒 | きもの

4万6千日、お暑い盛りでございます

これは先代、桂文楽による「船徳」の名フレーズ。
って毎年云っているような気がするけれども、
でも落語好きの間ではこの時期、このフレーズばかりが
アホみたいに飛び交うと云っても過言ではないのだ。
そうしてみんな「船徳」がかかるのを待つのだ。
当たるのを祈るのだ

そうは云いつつも、今年は浅草の
ほおずき市には行けなかったのだけど。

しかし毎日暑いのには変わりがないけど、
太陽が照ると、同じ気温でも全然ちがうなと思う。
アマテラス、すごい。


さて。
そんなお暑い夏の最中でも、
秋櫻舎の面々は元気に健気にやっております。



断ち枝切りバサミとは、
元気と健気の象徴である。

イエローのグラジオーラスがきれい。




白い紫陽花もまだまだ。

これ、今日で10日目なのに、
全くしおれていないという。
何者と思っていたら、
ふしぎな力をもつKさんが云うことには

「観音だよー」

「そうなんだー」

納得するワタシもワタシ。


次は、涼を呼ぶきもの×帯コーデで
比佐子さん。

前回もご紹介した小倉先生の紗合わせ風のきものに、
真っ白な雪輪柄の紗の帯を。

夏だからこそ、冬の模様をまとって涼をとるというのは、
日本の昔ながらのやり方なのだけど、
日本人のこういう気の配り方ってすきなセンスだなあ
とはいつも思うことだ。




前はこんな感じ。
ブルーに白、そこへ赤を効かせて。




長じゅばんにも赤。
これは見えるとこだけ飛びシボバージョン。
この長じゅばんは、本当に一枚もっていると便利です!
断言できます。




白の鳥は刺繍。
その両脇ににじみ出るように見える鳥は
目の錯覚ではなくて。
紗合わせ風に、という比佐子さんの注文で
小倉先生が裏から模様を描いたもの。


そんなこんなで夏きもの。
ワタシは「KOSMOS」制作中。

7月号は今週中に発送予定です。
がんばる。