今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

シンコ・ラブ

2011年07月29日 21時32分02秒 | きもの
さかのぼって。
7月16日(土)「マナーコスモス」のことを。

裏テーマは「旬のシンコをたべる!」。
会場の「恵比寿ほし」は銀座にある「天川」の
二号店なのだが、まだ開店して間もないので、
主の星さんは火曜日以外はこちらの
恵比寿店のほうにいらっしゃるのだ。

「鮨 銀座 天川」のHPはこちら

ワタシたちが行ってきたのはランチ。
カウンター7席と個室がひとつという
小体な店なので貸切っちゃった。




最初に比佐子さんのシンコについての
レクチャーがあり、いかにシンコが江戸前な
たべものかを皆で学ぶ。
それから星さんによる鮨にまつわる
あれこれをたっぷり。

シンコとはまず出世魚の一番の稚魚で、
「シンコ→コハダ→なかずみ→このしろ」
と大きくなるにつれ、名前が変わっていくという
武士(もののふ)の如き魚だ。

有名なのはコハダだけれど、
シンコからコハダになるまでには約3か月あり、
うなぎと違って養殖ものがないのも特長のひとつ。

星さんによると、ここ10年でシンコを
たべたいという人が急に増えたというが、
その原因はどうやら銀座の鮨屋が
「シンコという魚をたべることは通である」
ということを発信したところにあるようだ。
鮨の流行はやはり銀座が作るのね。

そうはいっても、
初夏の6月後半~8月の盆前の時期、
江戸っこにとってはかの初鰹とともに、
初モノとして人気があるのは今も変わらず、
浅草生まれの浅草育ちである清見さんも

「私なんかは初鰹よりシンコなのよねえ。
 もう大すき!はっきり云って目がないの!」

今回の参加も、告知後の一瞬で
決定なさっていた(笑)


星さんの手仕事を間近に見ながらの
お鮨レクチャーはとてもぜいたくで面白かった。

例えば

鮨屋でこれをたべたらその鮨屋のレベルが
分かるネタは3つあって、その3つとは
コハダ、アナゴ、玉子焼なのだそうだ。

現代では大人気のマグロのトロだが、
江戸時代は冷蔵庫がない時代なので、
脂が強いトロなどは焼けちゃう(腐る)ので
捨てるか「ネギ間鍋」に使ったという。
余談だけれど、ネギ間鍋ってワタシ、
昔から一度たべてみたいのよね。

それからこれはワタシからの質問だったのだけど、
握りを手でたべるのはマナーに反するのかどうか。
星さんいわく、江戸時代の鮨はファーストフードの
位置付けで、町人たちが箸を使わず
スタンディングでたべていた。

星さん「だから手でたべるのはマナー違反ではないですよ。
ネタによってはそのほうがたべやすいものもありますし」

比佐子さん「ただ・・・エレガントとか、
女性らしいっていう感じではないわよね」

確かにね(笑)


ワタシは手でたべるのがすきなので、
話を聞きながら、上がったり(マナー違反ではない)、
下がったり(女性らしくない)していたが、
ひとつの目安としては、固く絞ったおしぼりが
出てきた場合は店側からの「手でどうぞ」という
メッセージである、という話が出たところで
やっとひと息つけた。




星さんのしゃりはかなりおいしい。
握り方もちょうどいい塩梅。
口に入れて、ほろっと崩れるというやつ。


そして・・・

待ってましたっ!
シンコ!!







きれいでしょう?
小さいのよー。光ってるのよー。
そういえば「こんな帯がほしい」と云ったら
松本さんに「生意気!」と速攻で返された(笑)

星さんの姿も清潔感にあふれ、
簡素で美しい。




たべた直後の清見さんの表情が最高!
「くーーーっ」てな感じだろう。

でも今回はみなさん、いつになく口数が少なくて。
だって、ほんとーに出てくるもの出てくるもの
どれもこれもおいしいんだもの!
ほんとーにおいしかった!
真においしいものをたべているときというのは、
人は黙るものなのだ。




左から夏サバにこぶ、シンコ、真鯛。

他にも、マグロの塩漬け、いか、〆アジ、
平貝、あさりも。

醤油をつけてたべるネタが少ないのも
ここの特長かもしれない。
夏サバのコブ〆なんて
びっくりするくらい美味しかった。




デザートの抹茶のクズも、抹茶の苦みが効いていて、
ペロリだった。

この後は近くのサテンでお茶をして解散。


暑い日だったけれど、皆さまに
大大満足していただけたのでよかった。
全員がきもの姿という眺めも壮観であった。
うーん、楽しかった!

今回は定員枠が小さかったので、
「KOSMOS」を出す前に満員に
なってしまったのだけれど(ごめんなさい)、
この会、また開きたいと思ったな。

さいごに。
人生初のシンコは、コハダほど粋に尖がっていなくて
何というか、かわいく尖がっているという味わいで、
ワタシはこれ、おいしいなあ、すきだなあと思いました。
そう、深川芸者の初出の子を「シンコ」と呼ぶ慣わしが
あるそうなのだけれど、まさにそんな感じ。
ああ、巧いこと云うなあという感じです。


そういうわけで
シンコ・ラブ。