漢字家族BLOG版(漢字の語源)

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大人虎変 > 君子豹変 > 小人革面

2009年11月22日 04時39分46秒 | Weblog
 [ブログ内検索] [易―中国古典選] [漢字に関する書籍]
大人虎変 > 君子豹変 > 小人革面

 大人虎変 > 君子豹変 > 小人革面 は、『周易』の第49卦 の 解説 に登場する言葉だが、このことばは一般的には、

 「過則勿憚改」(あやまてば、すなわち、あらたむるにはばかるなかれ) の意味で使われることが多いようだ。

 子曰:「君子不重則不威。學則不固。主忠信。無友不如己者。過則勿憚改。」

 (君子、重からざれば、すなわち威あらず。学べば、すなわち固ならず。忠信を主とせよ。己に如かざる者を友とする無かれ。過ちてはすなわち改むるに憚るなかれ。)

 とあるように、「まちがったら、わるびれずに、いさぎよく改めろ」というほどの意味で使われる。

 もっともあざやかに変わるのが「虎変」、「虎変」ほどではないがみごとに変わるのが「豹変」

 これに対して、「つまらない人間」(というけど、ごく普通の人 -- 小人)は、ちょっと顔色を変えるだけで、何も改めようとしないものだ。

 ・・・ などと解釈されている。

 けれども、『周易』を見るかぎり、そのような解釈はない。ただ「小人は、君主に従順にしたがうということだ」と記述されているにすぎない。君主がかわれば、次の君主にも素直に従うことと解釈すべきではなかろうか。まあ、人民はしたたかだから、いつの時代も「従順」に見せかけて、「うわべ」だけで服従してきたのかもしれない。

 また、為政者の側から言えば、「民は依らしむべし。知らしむべからず」 であり、「民」は無知蒙昧なので、為政者が代わっても、その都度その都度、すぐにてなずけることができる ・・・ ということではないか。

 それはさておき、「豹変」 という言葉は、いつの間にか悪い意味に使われるようになってしまった。今まで行ってきたこと、言ってきたことをケロリと忘れて変節する。

 今まで与党としてさんざんなことをしてきて、野党になったとたん、自分たちが行ってきた結果である現状を批判するなんて・・・。昨日言っていたことと違うじゃないか。図々しくも豹変したな。

 ・・・などという時に使う。

 しかし、それは本当の使い方ではない。

 「誠意をもって天命を改めれば吉」

 という、すなわち 「改革を断行しよう!」 という意味にもとれる、

  
  

 革 (澤火革)たくかかく 離下兌上

 の卦の解説なのでした。




「人と民」-- 漢字家族

虎・寅・とら・トラ(1)
虎・寅・とら・トラ - 漢字家族BLOG版
一擧兩得(いっきょりょうとく) -- 二頭の虎
假虎威狐(虎の威をかる狐)
暴虎馮河(ぼうこひょうか)
十干十二支 -- 干支(えと・かんし)

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虎・寅・とら・トラ

2009年11月22日 01時54分13秒 | Weblog


虎(韓玉麟先生)

 [ブログ内検索] [漢字に関する書籍] [漢字源]
周易 革 (澤火革)たくかかく 離下兌上

 九五,大人虎變,未占有孚。

 《象》曰:“大人虎變”,其文炳也。

 上六,君子豹變,小人革面,征凶,居貞吉。

 《象》曰:“君子豹變”,其文蔚也。 “小人革面”,順以従君也。


「虎」(hu3の発音 | [藤堂明保著作]

  この解説は、Googleサイトで 「虎・寅・とら・トラ(1)」

虎(字形)
 「虎」という字は、字形のとおりトラの姿を描いた象形文字だが、なぜ「トラ」を「コ」と呼ぶのだろうか?

 動物園に行ったことがある人は、虎の「ホオー! ホー!」というなんともいえない恐ろしげな声を聞いたことがあることでしょう。

 音読みの「コ」、北京語では「hu3」 ・・・ というのは、虎が吠える声をとった擬声語だろう。

 「猫」のことを「mao1」と呼ぶのと同じ。

 さて、『周易』の第49の卦が 「澤火革」

 ここに、

 大人虎変 > 君子豹変 > 小人革面

 という一節があるが・・・


 とここまで書いたら、疲れてしまったので続きは次回に。 「寅」(十二支の寅)

 前置きの、「虎・寅・とら・トラ(1)」 だけでヘトヘトになってしまった。枕だけで終わるとは、カンタンのまくら。夢枕にしようと思ったけど目が冴えてしまったので別の作業にうつります。

 <引用はじめ>
  ニワトリはケーケーと鳴くので(ケイ・唐代には kei)といい、カラスはアーアーと鳴くので(ア・唐代には a1)という。トラはおそろしい声でホーホーとほえるので(コ・唐代には ho)と呼ぶし、キツネはクワクワと叫ぶので(コ・漢代には hua)という。してみると、イヌを(ケン)と称するのは、いうまでもなくそれがケンケン(k'uen)と鳴くからだ、と考えてよい。犬(ケン)ということばは、いわゆる擬声語なのである。

  『漢字の話Ⅰ』(藤堂明保・朝日新聞社)
 <引用おわり>

   「犬 狗 戌(いぬ)干支(えと) ─ 漢字家族」

 ・・・ 李時珍いうはその声に象(かたど)ると、虎唐音フウ、虎がフウと吼(ほ)えるその声をそのまま名としたというんだ。これはしかるべき説で凡(すべ)てどこでもオノマトープとて動物の声をその物の名としたのがすこぶる多い。 ・・・

   虎に関する史話と伝説民俗(南方熊楠 ・ 十二支考)




虎・寅・とら・トラ(1)
大人虎変 > 君子豹変 > 小人革面
一擧兩得(いっきょりょうとく) -- 二頭の虎
假虎威狐(虎の威をかる狐)
暴虎馮河(ぼうこひょうか)
十干十二支 -- 干支(えと・かんし)
「虎に関する史話と伝説民俗」(南方熊楠 ・ 十二支考)


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