金沢発 あれやこれや

-ヒントをくれる存在に感謝しつつ物語をすすめます-

混乱の増すコンプライアンス事情 その1

2011-09-09 01:25:41 | 生物多様性
<やっとこさ全員参加の議論が始まる?>
米国の紛争鉱物規制法は具体化の途上にありますが、8月初めの
NEWYORKTIMES寄稿記事の影響が広がってます。
題名は How Congress Devastated Congo
内容はオバマ政権がコンゴ共和国を更に荒廃させたというもの。
大統領がサインした法案が原因で失業者が増え、学校にいけなく
なる子供が増え、お金がなく自宅出産する妊婦まででて荒廃が
進行しているとのこと。
さっそくNGOや法律を支持する企業が反論してますがそもそも
不思議なほど曖昧さを秘めつつ米国政府が強烈に進めてます。

まず対象の紛争鉱物。
 タンタル、タングステン、すず、金
の4物質は頭文字をとった3TGという呼び方が有名となりまし
たが、そもそも法案読むと4物質に限定してません。その他鉱物
も政府が認めたら加わると書かれています。
こう書いてあると、各国バイヤーが将来の規制発生を嫌い、あら
ゆる物資でコンゴとその周辺国を避けて調達を始める事は誰でも
容易に想像できます。
加えて当初今年4月に政府が出すと言ってた運用ルールは延期後
まだ出ません。これが回避に拍車をかけコンゴ周辺の輸出ががた
減りし、世界第2位の貧困国をさらに貧困たらしめたようです。
よほどその国そのものが嫌いなのか、国内ゲリラを弱体化できれ
ば犠牲などでても気にしない人達が作成したか、はたまた
可能性は低いが相当配慮に欠けた人物の単なるチョンボなのか。
チョンボで国が貧窮したら嫌ですね。ゴメンじゃ済みません。

実際に現在展開されてる対策手段も別問題を抱えてます。

米国政府は毎年企業に紛争鉱物の使用割合とその割合を減らすた
に1年間にどんな努力をしたか書いた報告書をださせ、報告書
を一般公開すると決めただけで、製品に紛争鉱物が含有してるか
調べる方法、削減のしかた、川上の素材企業との交渉ノウハウ
など一切面倒見ず、企業に丸投げしてます。
これで報告書をしたためろといわれても企業はさっぱりわからず
どうしようもないので、規制法案登場以前から独自活動をしてた
EICC-GeSIおよびITRIの業界活動成果に乗っからせ
てもらうかたちでしか対策らしい活動が始められない状況です。
選択余地はありません。
しかしながらこれら業界団体がとった手段、
 ①精錬所監査プログラム(CFS)
 ②現地でのBag&Tag活動
が本当に最善なのかというオープンな議論はまったくされてない
ように見えます。

実のところ部資材調達の川上に位置する企業を調べても精錬所に
到達することはおろか2つ川上すらわからない事例が多発してま
す。まさしく途方に暮れます。
時間と費用をかければ分かるようになるしそれは横に置いても
鉱石産地限定されたら、鉱石価格は上昇し、供給量限定されて
コストアップの可能性は高いです。
タンタルやタングステンは過去世界最大量を供給してた鉱山が低
価格に追従できず閉山してます。この閉山からの復帰に割と時間
がかかります。
この閉山からの復帰がポイントです。将来も商売が続けられる
ようコンゴ産鉱石の低価格に負ける以前の価格に戻るわけです。
投機筋がからむと更に必要以上に高騰するかもしれず、その結果
は商品価格に反映されます。

そもそも、紛争鉱物法案自体、コンゴ産の安いタンタルに市場を
奪われたEICCメンバー企業が議員に働きかけて実現させた
報復との黒いうわさもなくはありません。
それが本当なら企業間の鉱物を巡る争いに政府が利用された構図
となります。今回の対立相手は企業グループというより、
欧米にくらべ鉱物資源確保に出遅れた後進国が、紛争が多くて
欧米が手をだしあぐねていたコンゴ共和国に着目し世紀の巨額投
資をして鉱山開発を展開した国、中国です。

日本政府や国内企業は多少困るかもしれません。
紛争鉱物問題は生物多様性という大環境テーマに含まれます。
COP10で開催国を勤めた日本は当分は推進役にまわります。
国内企業は米国の得意先が紛争鉱物排除対策せよと言って来たら
協力せざるを得ません。
それで今進めている法律もしくは業界がとった対策手段が、現地
コンゴでゲリラと関係ない人にまで広く更なる貧困をもたらして
ないかと指摘されたら、コンプライアンス推進のためにしてるの
にこれは心穏やかではいられません。
(今は協力しないほうがいいと言ってるのではありません。
 決めるのは担当者です)

ウエブ情報を閲覧して得た知識しかありませんが、どちらの味方
につくこともなくニュートラルな立場で少しまとめて書いてみよ
うと思いました。ニュートラルすぎて双方物足りなさあるかもし
れませんがそこはご容赦ください。

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