野田女児 栗原心愛さん 虐待死 食い違う証言

2020-03-11 | 身体・生命犯 社会

「拷問、なぶり殺し」虐待父に懲役18年求刑 食い違う証言に検察官も声を荒らげたが、被告は……
 2020/3/11(水) 6:01配信 文春オンライン 
 千葉県野田市の小学4年生だった栗原心愛さん(当時10)が虐待を受け、昨年1月24日に死亡した事件。父親の勇一郎被告(42)は傷害致死罪などに問われ、先月21日に始まった千葉地裁での裁判員裁判は、3月9日、結審した。
 被告は心愛さんの死亡は「私の虐待が一つの原因」というが、虐待のほとんどを否認。検察側は勇一郎被告を「悪魔のよう」と表現し、「心愛さんが味わった苦痛は筆舌に尽くしがたい」として、児童虐待の傷害致死事件としては異例の懲役18年を求刑した。裁判員はどのように判断するだろうか。判決は19日に言い渡される予定だ。
 
食い違う証言
 3月4~6日に行われた被告人質問で被告が話した内容は、それまでに証人として出廷した心愛さんの母親(33)=傷害幇助罪で有罪確定=や解剖医、心愛さんが一時保護された柏児童相談所の職員などの証言とは矛盾するものだった。矛盾を指摘されても「私は事実を話していますので」と繰り返すばかりだった。
  2017年11月上旬、被告が心愛さんの頭を手で殴るなどの暴行を加えたとされる事件。勇一郎被告の虐待がはじめて外に明らかになった事件だ。心愛さんは11月6日に行われた小学校のいじめアンケートに「お父さんにぼう力を受けています。(中略)先生、どうにかできませんか」と虐待を訴えた。
  アンケートの翌日、担任の先生が心愛さんから事情を聴くと、「昨日もお父さんに叩かれた。頭や背中、首も蹴られた。頭は今も痛い」と涙ながらに話したという。その日のうちに柏児相に保護され、児童福祉司や児童心理司にも同様の説明をした。
  さらに、母親は今回の裁判で、アンケートが実施された前日の5日にも、自宅で心愛さんに「パパに夜中にたたかれる」などと打ち明けられたと証言した。

「身に覚えがない」父親は涙をハンカチで拭いた
 これだけの証言があるにもかかわらず、勇一郎被告は「身に覚えがない」と無罪を主張。弁護人が「それならなぜ、心愛ちゃんがやられてもいないことをアンケートに書いたり、児相の職員に話したりしたと思うか」と問われると、はじめは「思いつく理由はない」とか「心愛を傷つけたくない(ので答えない)」と答えたが、弁護人に「あなたは十分心愛ちゃんを傷つけたんですよ」と諭されると、「心愛がされてもないのに、噓を書いたと思います」と答え、涙をハンカチで拭いた。
  心愛さんが死亡する約3週間前の昨年の元旦。勇一郎被告は心愛さんを引っ張って持ち上げては、床に打ち付けるという虐待を繰り返していた。心愛さんはぐったりし、見ていた母親は心愛さんの命の危機を感じたという。「もうやめて。虐待だよ」と勇一郎被告を制止しようとしたが、「お前は何も分かっていない」と馬乗りになられ、口にひざかけを突っ込まれた。さらに被告は心愛さんにコップに水を入れて持って来させ、その水を妻の顔にかけたという。

勇一郎被告は「テメェ、殺すぞ」と妻が暴れたと主張 
 午後も心愛さんを虐待する勇一郎被告を止めようと、母親は「警察に通報する」と告げたが、再び馬乗りになられ、顔をビンタされた。途中、当時1歳半だった次女が昼寝から起きてしまい、被告は次女をあやしに行った。母親が起き上がって立っていると、被告は次女を抱っこしたまま、「腿を蹴った」と証言した。
  一方、勇一郎被告は妻に馬乗りになり、ビンタしたことは認めたものの、「妻が暴れ、心愛や次女が危険だったから」とまったく違うストーリーを展開。妻が突然、「テメェ、殺すぞ」と言いながら被告の胸ぐらをつかんできたという。
  2人はもみ合いになり、「妻の(精神的な)病気が出ていると思い、心愛に次女を守ってほしいと言った」。心愛さんは次女がいる方へ向かったが、その途中、妻がこたつのちゃぶ台を返したり、次女の椅子を蹴ったりしたため、結局、次女は勇一郎被告が抱えて寝室に逃げ込んだ。心愛さんは逃げる際、母親に背中を蹴られたという。 
 勇一郎被告は「妻を止めなければと思い、妻の後ろから覆いかぶさるように止めようとした」と続けた。だが、妻は被告の手を噛んだり、腕に爪を立てたりして抵抗。ストーブの柵を蹴り倒した反動で、2人とも倒れ、被告は妻に馬乗りになり、「迷った末に」顔をビンタした。顔を寄せて「お願いだから、もうやめて」と言うと妻は泣きながら「ごめんなさい」と謝り、落ち着きを取り戻したという。
 「腿を蹴られた」という妻の証言については、「『しっかりしてよ。2人の母親でしょ』と妻のお尻を叩いた」と述べた。
  心愛さんが死亡した経緯も矛盾する。母親の証言によると、心愛さんは死亡する2日前の昨年1月22日の夕食以降、食事を与えられず、23日夜から当日の24日にかけて、肌着姿のまま、寝ることも許されず、真冬の寒い浴室に立たされ続けていたという。

「そんなことがあると思いますか!」検察官は声を荒らげた 
 だが、勇一郎被告は、23日夜に立たせたことは認めたものの、「心愛が自ら『朝まで立ちます』と言ったので立たせた」と釈明。その後、心愛さんはリビングのストーブの前で寝てしまい、翌朝8時ごろに起こすと、心愛さんが自主的に浴室へ向かい、昼頃まで居続けたという。検察官が「どうして浴室にいるままでよいと思ったのか」と問うと、「何度か心愛のことを見に行ったが、浴槽の縁に腰をかけて鼻歌を歌っていたのでこのままでいいかと思った」と述べた。
  検察官は声を荒らげ、「心愛さんは飢餓や極度のストレス状態で亡くなったんですよ。浴室で腰かけて鼻歌。そんなことがあると思いますか!」と追及したが、「本当にあったことなのでお話ししました」とボソボソと小さな声で答えた。
 心愛さんは24日夜、浴室で絶命した。勇一郎被告の110番通報で駆け付けた救急隊員は、発見時、心愛さんの全身はあざだらけで、下あご部分はすでに死後硬直が始まっていたのを確認している。また、心愛さんの遺体を解剖した解剖医の証言では、心愛さんの肺には水が入っており、これは生前、意識障害を起こしたか、相当多量の水が口や鼻から入り込み、食道ではなく気管に水が流れたとみられるという。

絶命の浴室は密室状態。「虐待」は認めたものの……
 24日午後10時ごろ、勇一郎被告が心愛さんを寝室から浴室方面へ引っ張っていくところを母親も見ているが、その先は密室状態だ。検察側は、被告が心愛さんの口付近に冷水のシャワーを長時間かけたとみているが、被告は「おでこのあたりにかけた」「かけたのは2、3回で1回は長くても3秒くらい」と説明する。当時寝室にいた母親は、「ドンという大きな音が1、2回聞こえた」というが、被告は「後ろを振り返ったときに、心愛が突然、ストンと落ちるように座りこんだ」「名前を呼んだりゆすったりしたが反応がなかった」とやはり食い違う説明を繰り返した。
  弁護人は被告人質問の最後、「心愛ちゃんにしたことは虐待ですか、そうではありませんか」と問われ、勇一郎被告は「虐待です」と大きな声で答えた。だが、当時は虐待の認識がなかったとしたうえで、その動機は「心愛がやると言ったことは最後までやらせようという気持ちが強かった」と話し、あくまで躾が行き過ぎた結果とした。
  一方、虐待に当たるのは心愛さんを「お前」と呼んだことや、「暴れる心愛を押さえたり、持ち上げたり、屈伸とか立たせたりしたこと」と述べ、心愛さんを殴ったり蹴ったりしたことは「一度もない」とした。

「拷問、なぶり殺しともいえる」検察主張
 検察官は9日に行われた論告で、そのような被告の態度を「実質的には何も認めていない。心愛ちゃんに責任を押し付け、反省の態度は微塵も感じられず、いまだに虐待が続いている」と強く非難。執拗な虐待を「もはや虐待とは表現しきれない。拷問、なぶり殺しともいえる」と表現し、「10歳の命が奪われ、被害結果はあまりにも重大」と主張した。
  裁判の最後、勇一郎被告は裁判長に「なにか付け加えることはありますか」と促され、封筒から手書きのA4紙1枚を取り出した。「みーちゃん、本当につらい思いをさせてごめんなさい。謝っても謝りきれません。どこへ行っても、私にそっくりと言われる自慢の娘でした。大好きだったのに、私が未来を奪ってしまいました」。時折、鼻をすすり、涙声で文章を読み上げた。「お話しする場をいただき、誠にありがとうございました」と締めくくり、裁判官や裁判員に深々と礼をした。
  傍聴席には、新型コロナウイルスの影響で学校が休みになった、心愛さんと年の近い女の子の姿もあった。被告が頭を下げる姿はどのように映っただろうか。判決日は19日。裁判員の判断に注目が集まる。 
 村田 珠里/週刊文春デジタル
 最終更新:3/11(水) 7:39 文春オンライン

 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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〈来栖の独白 2020.3.11 Wed〉
 「証言」とはいえ、言を左右する人もいる。例えば美愛さんの母親は、夫(勇一郎被告)に同調・加担して、美愛さんに学校を休ませたり、暴力を振るったりしていた。強い者に従う精神構造のようだ。
>傍聴席には、新型コロナウイルスの影響で学校が休みになった、心愛さんと年の近い女の子の姿もあった。
 「学校が休みになった」ので、傍聴。・・・さっぱりわかりません。法廷は密室。おかしな言葉だが「濃厚接触」の、典型的な場ではないのか。「無観客」にしないのか(笑)。


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