野田女児 栗原心愛さん 虐待死 第8回公判 2020.3.5 被告人質問2日目(1)虐待行為の多くを否定 (2)「虐待だった」認める (3)完

2020-03-05 | 身体・生命犯 社会

【野田小4虐待死、被告人質問2日目詳報】(1)涙ながらに思い出話すも、虐待行為の多くを否定
2020.3.5 15:06 千葉・野田女児虐待死 
 千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判第8回公判が5日、千葉地裁(前田巌裁判長)であった。4日に引き続き、弁護側による被告人質問が行われ、勇一郎被告は虐待行為の多くについて否定した。
 勇一郎被告は、傷害致死と傷害、暴行、2件の強要という心愛さんに対する5つの罪のほか、妻に対する暴行も含めて計6つの罪に問われている。
 内訳は(1)平成29年11月、心愛さんを殴ったとする暴行罪(2)30年7月、心愛さんに大便を持たせ、その様子を撮影したとする強要罪(3)30年12月~昨年1月、心愛さんの腕をつかんで床に打ち付け、顔や胸を圧迫するなどして1カ月の胸骨骨折などを負わせたとする傷害罪(4)昨年1月1日ごろ、妻の胸ぐらをつかんで顔を殴るなどした暴行罪(5)昨年1月5日ごろ、心愛さんの服をつかんで廊下に出し、脱衣所に立たせ続けた強要罪(6)昨年1月22~24日、心愛さんに食事を与えずリビングや浴室に立たせ続けたり冷水を浴びせるなどして死亡させた傷害致死罪-。
 このうち(1)の暴行罪については4日に質問があり、勇一郎被告は否定した。この日は残る罪状について質問が行われるとみられる。
 午前10時、法廷に姿を現した勇一郎被告は、傍聴席に体を向け、10秒ほど一礼。裁判長に促されて証言台の席に座り、弁護人の質問にゆっくりした口調で答え始めた。
 まず弁護側は、30年7月30日に心愛ちゃんに便を持たせ、携帯電話で撮影した(2)の強要罪について質問。勇一郎被告は、虐待の一環で行われた犯行であるという検察側の主張を、改めて否定した。
 勇一郎被告によると、次女が夜泣きをして自身があやしていたところ、心愛さんが「うるさい騒ぐな。やめろ」と叫んだと主張。「心愛がクローゼットの壁を手でたたいたり、大声で騒いだりした」と証言した。
 その後、心愛さんが洋室に入り、書類やネクタイを散らかしたため勇一郎被告は注意したところ、心愛さんは「屈伸すればいいんだろ」と話したという。ただ、途中でやめたので、勇一郎被告は心愛さんを携帯電話で撮影し始めた。
 便意をもよおした心愛さんが「トイレ行きたい」と訴えたが、勇一郎被告は行かせなかったといい「(心愛さんは)自ら風呂場に行って、そこで便をしていた。あきれた気持ちになった」と述べた。
 勇一郎被告が片づけるためのポリ袋を持って浴室に戻ると、心愛さんが便を手で丸めて持ち「撮りたければ撮れよ」と話したため、「はいはいわかりましたよ、という気持ちで撮った」と主張。無理やり心愛さんに便を持たせ、撮影したことを否定した。
 続いての質問は30年12月~昨年1月、心愛さんの顔や胸に暴行を加えたとされる(3)の傷害事件について。
 勇一郎被告は、12月30日に宿題などをやらない心愛さんを自分の机に戻そうと手を引っ張ったり、髪をつかんだりして心愛さんの顔にあざができたことは認識したとする一方、「(胸の骨を折るように)圧迫したことはなかった」と主張。1月3日に、洋室の壁を蹴って穴を空けるなどした心愛さんを立たせたり屈伸させたりしたことは認めた。
 (4)の妻に対する暴行事件については、1月1日に勇一郎被告が心愛さんと勉強に対する態度をめぐってもめていたところ、妻が突然暴れ始め、心愛さんの背中を蹴るなどしたため、心愛さんと次女を寝室に逃した上で、「馬乗りになって制止しようとしたが止められなかったので平手打ちをした」などと説明。
 「お願いだから止めて」と告げると、妻は泣きながら暴れるのを止めたといい、妻に蹴られた背中について心愛さんは「大丈夫」と答えたと述べた。勇一郎被告は「『しっかりしてよ、2人の母親でしょ』と言い、妻の尻をたたいた」と話したが、起訴内容にある妻の足を蹴ったとされる行為については、言及しなかった。
 (5)の心愛さんの強要罪については1月5日、予定していた旅行に心愛さんのせいで行けなくなったなどと「強い口調で責めたりした」と説明した。
 グロテスクな虐待行為の数々とは裏腹に、勇一郎被告は心愛さんとの会話のやり取りなどについて話が及ぶと、目を潤ませる場面もあった。
 小学校のマラソン大会で心愛さんが完走した際、どんな会話をしたかを問われると「心愛は学年最下位でしたが、走り切ったことがとてもうれしかった。やりきることが大切だと伝えた」と述べ、掛けていた眼鏡をはずし、持っていた白のタオルで涙をぬぐった。=(2)に続く

【野田小4虐待死、被告人質問2日目詳報】(2)「虐待だった」おえつしながら認めるも、妻とは「離婚するつもり」
2020.3.5 18:42 千葉・野田女児虐待死 
 千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判。昼休憩を挟み、事件の核心部分となる傷害致死罪についての弁護側の被告人質問が続いた。同罪について勇一郎被告は初公判で「罪は争わない」と述べる一方「(心愛さんを)飢餓状態にしたりストレスを与えて衰弱させたりしたことは一度もない」などと暴行の内容を一部否定していたが、「虐待だった」と率直に認めた。
 傷害致死事件は昨年1月22~24日に発生。心愛さんに食事を与えずリビングや浴室に立たせ続けたり、冷水を浴びせるなどして死亡させたとされる。
 正月休みを経て昨年1月7日から出勤し始めた勇一郎被告は、同日から心愛さんを登校させず、虐待を加えていたとされる。勇一郎被告は、寝室から出さないように指示したかと問われ「ありません」と否定した。
 その後、勇一郎被告は22日にインフルエンザにかかり自宅で療養。心愛さんは同日、夕飯を食べた後、午後10時前後に1時間ほどリビングで立たされていたという。
 勇一郎被告は当初、その様子を見ていたが、たばこを吸うためいったんその場を離れ、戻ってくると心愛さんはストーブの前で寝ていた。勇一郎被告が起こすと再び立っていたという。約30分後には再びストーブの前で寝ていたが「今度は起こすことなく、毛布をかけて自身も就寝した」と話した。
 勇一郎被告は23日にも勉強の態度をめぐり注意した上で「廊下に立っていろ」と叱責。ほかにもリビングに入る際「失礼します」と挨拶するという決まりにしていたのに「失礼しまーす」と軽い感じで言った心愛さんに対し、「注意をした」と説明。ただ「何度もお辞儀をし直させたということはない」と話した。
 当時、心愛さんは度重なる虐待行為で飢餓状態にあったとされる。妻が心愛さんに「食事をつくろうとすると(勇一郎被告に)止められるのでつくらなかった」と証言していることについて、弁護側が「そのような気持ちはあったか」と聞くと「全くありません」と否定した。
 裁判長が、実際に妻が心愛さんのために食事をつくるのを止めたことがあるかを聞くよう弁護人を促したが、弁護人が別の質問に移ろうとしたため、裁判長が直接質問する一幕も。勇一郎被告は「一度もありません」とはっきりと答えた。
 勇一郎被告は、23日夜に心愛さんが脱衣所で失禁した際の様子について「脱衣所を片付けて(心愛さんに)『なんでそんなことするんだ。どうするんだ』と聞くと『(翌)朝の6時まで立っています』と答えた」などと説明。
 さらに「『本当に立てるのか』と聞くと『(翌朝)8時まで立っています』と応じたため、『立っておけ』と指示した」と話した。その後、心愛さんは一時眠ったりもしたが、最終的に就寝したのは24日午前3時ごろだったという。
 24日午後には、失禁した心愛さんが反省の態度を見せなかったことから「廊下から風呂場に引っ張って連れていき、水をかけた」という勇一郎被告。その際、心愛さんの様子がどうだったかを問われ下を向いて声を上げて泣きながら、「首を振って嫌がっていました。何度も出ようとしていたのに私が手を引っ張ったり、押さえつけて水をかけようとした」と認めた。
 その後、心愛さんが暴れなくなったためシャワーを止めると「心愛が座るようにしてストンと落ちた」。その後約5分間、抱きかかえてゆすったり、シャワーで温水をかけ続けたという。
 終始泣きながら弁護人の質問に答えていく勇一郎被告。質問は、暴行や虐待への認識について話が及んだ。
 殴ったり蹴ったりしたことについては「ありません」と否定。押さえつけたりしたことについては「当時は暴行だと思っていなかった」としたが、今の認識を問われると「暴行です。虐待です。大好きな自分の娘に長い時間たたせたり、屈伸をやらせる必要は全くありませんでした」と話した。
 本格的な虐待が始まったのは、平成30年7月ごろだとされる。なぜ虐待に及んだのかと問われると「心愛が言ったことは最後までやらせないとという理由で虐待した。やりすぎだという気持ちを止めることができなかった」
 心愛さんの動画を撮影した理由については「なぜ心愛が大声で騒ぐのかわからなかったので、病院に連れて行こうと考え、状況を知りたいという話があったときに見せようと思ったのが始まり。心愛に『誰かに見せるぞ』と言うと、ピタッとやめることがあって、続けていた」と述べた。
 自身の性格について「きっちりとやらないと気が済まない」と分析し「子供を育てるのが思い通りに行かないのが許せなかったのか」と問われると「最初からそういう気持ちを持っていたことはないが、虐待といわれる期間を振り返ると、そのように思っていたと思う」と話した。
 学校や児童相談所に対する自身の行動について「支配欲求の強さからそうした行動をとったのか」と聞かれると「今になってそう言われると、そうとしか言えない」とした上で「(児相に事件の責任は)ありません」とした。
 有罪判決を受け、刑務所に入る場合について問われた際には「心愛に…。心愛に…。謝らせて、もらえるように…。自分に、できる、償いをその日、その日、一生懸命行いながら、生活をしていきたい」とおえつを漏らし、何度も詰まりながら、遅すぎる後悔の弁を口にした。
 一方で、弁護側から最後に妻との関係について聞かれると、「離婚するつもりです」と低い声できっぱりと答えた。
 弁護側の被告人質問はここで終了。休憩をはさみ、検察側の質問に移る。=(3)に続く

【野田小4虐待死、被告人質問2日目詳報】(3)完 「死は虐待行為が原因の一つ」と認めるも「妻は嘘をついている」と主張
 2020.3.5 21:42 
 千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判は弁護側の被告人質問が終わり、検察側の質問に移った。
 弁護人からの質問に対し、おえつを漏らしながら心愛さんへの思いなどを語っていた勇一郎被告。休憩後に入廷した際は落ち着いた様子で、証言台の近くで裁判官、検察官、傍聴席、弁護人へと順番に頭を下げ、着席した。
 勇一郎被告は弁護人の被告人質問で一連の行為を「虐待だった」と認めた。検察官もまず、「虐待の認識」をただした。
 事件当時については「(虐待の認識は)ない」とした被告だったが、「振り返ると虐待だと思うか」という質問には「はい」と回答。どの行為が虐待に当たるかについては「心愛に対しての『お前』という発言、暴れた心愛を押さえつけたり、持ち上げたり、屈伸や立たせたりすること、そうしたことすべて」と答えた。
 「暴れたから押さえつけた」などと説明する勇一郎被告に対し、検察側が「心愛さんに責任を押し付けていると思わないか」と追及すると「事実を述べたのであって、心愛が言ったからこういう風になった、ということではない」と釈明。被告の証言と、他の事件関係者との証言が食い違っているとの指摘には「皆が嘘をついていることになる」との認識を示した。
 質問は、傷害致死など計6つの罪のうち唯一、全面的に否認している29年11月上旬に心愛さんの頭を手で殴るなどとした暴行事件に移った。心愛さんは同月行われた学校のアンケートで虐待を訴えていたが、前日の弁護側被告人質問で勇一郎被告は「心愛がされてもいないのに、嘘を書いたと思う」と主張。理由については「思いつかない。今振り返ってもわからない」と説明していた。
 この日、検察官から再度同じ質問をされても、勇一郎被告は従来の主張を繰り返した。心愛さんが児童相談所の職員や心愛さんの担任に対し「暴力を受けた」と説明していることを踏まえ、検察官が「複数の大人に被害を打ち明けたのはどうしてだと思うか」「心愛さんは実の親を訴えるほど嘘つきか」などと追及しても「わかりません」としか答えなかった。
 一方、勇一郎被告は平成30年2月に「お父さんにたたかれたのは嘘」と心愛さんに書面を書かせたことは認め、「2回目の児童相談所との面接があると聞いていたのと、前々から私たちとアパートで一緒に暮らしたいと言っているのを知っていたので、心愛の気持ちを伝えるということで書かせた」と経緯を説明した。
 なぜ「嘘」と書面で断じたかについては「そのように書いた方が早く4人で生活できそうだと思ったから」と述べ、検察官から、「心愛さんの認識とは無関係に文案を作成したのか」と指摘されると「今考えてみると、おっしゃる通り」と肯定した。
 心愛さんに排泄(はいせつ)物を持たせて撮影した強要事件についても、心愛さんが「自分から排泄物を持った」という従来の主張を繰り返した。写真に映る心愛さんの顔について検察官から「嫌そうな顔をしていると思わないか」と聞かれ「はい」と答えたが、心愛さんが自分の意志で排泄物を持ったなら、理由はなぜだと思うかと聞かれると「はっきりとは分からない」とした。
 涙ながらに話そうとする勇一郎被告に対し、検察官から「泣くところではない」とたしなめられる場面もあった。検察側は再三、排泄物を持ったり、屈伸したりする行為を心愛さんが自分からするのは「不自然だ」と追及したが、勇一郎被告は否定的な証言を重ねた。
 年末年始に心愛さんに暴行を加え、胸を骨折させたとする傷害事件については、妻が証人尋問で「勇一郎被告が両腕を引っ張って持ち上げ、洗面台に打ちつけて骨折させた」とするのに対し、勇一郎被告は「引っ張った際に心愛さんが顔を上下させたはずみで骨折したのではないか」とし、妻の証言が嘘だと主張した。ただ、検察官から「なぜ嘘をついたと思うか」と問われると「言葉が見つかりません」と繰り返した。
 検察側は最後に、傷害致死事件について質問。「心愛さんはなぜ亡くなったのか」という問うと、勇一郎被告は「私がしていた虐待行為が原因の一つだと思っている」と認め、閉廷となった。
 6日は、傷害致死事件の詳しい状況などについて、引き続き被告人質問が行われる予定。=おわり

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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* <栗原心愛さん虐待死>勇一郎被告に「あなたの話だけが他の人と合わない」 検察側 2020/3/5
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