核白内障の発症確率、温暖化で2040年に倍増 「特に50代以上は暑さ対策を一層強化する必要」

2024-07-31 | 文化 思索 社会

【独自】核白内障の発症確率、温暖化で2040年に倍増 名古屋工業大学などシミュレーション

 中日新聞 2024.07.31. WED

 地球温暖化が進むと、白内障の一種で視界が茶色くなる「核白内障」の65歳以上での発症確率が、都市部で2040年に最大2倍になる可能性があるとのシミュレーション結果を、名古屋工業大などがまとめた。発症を抑えるには紫外線対策が有効とされてきたが、平田晃正教授(医用工学)は「特に50代以上は暑さ対策を一層強化する必要がある」と指摘している。こうした推計は世界初という。(鈴木凜平)
 
 
 白内障は目のレンズの役割を担う「水晶体」が濁る病気。水晶体の周辺から濁る「皮質白内障」や、中心から濁る「核白内障」などがある。加齢とともに水晶体の修復機能が衰え、白内障の発症リスクが高まり、80代での発症率はほぼ100%とされる。
 平田教授らはこれまで、体の部位ごとに温度の上昇を解析できる人体モデルや発汗量の計算式などを使い、熱中症のリスクを予想する技術を確立した。
 今回、白内障を専門にする金沢医科大(石川県)の佐々木洋主任教授が調査した、中国やタンザニアの熱帯地域などの数千人のデータを分析。熱帯に住む人や高齢の人は水晶体の温度が高くなりやすく、65歳以上の高齢者の水晶体に1年間で累積した暑さによる負荷は、熱帯では温帯の4倍に上り、核白内障や熱中症のリスクが高かった。さらに核白内障の発症の要因の内訳は、熱が5割、紫外線が3割で、紫外線より暑さが影響を及ぼすことが分かった。
 平田教授は国際的な気象予測などから、温暖化が進むと40年の平均気温は13~19年平均と比較して地球全体で2度、愛知や東京などの都市部では1・6度上昇すると推測。シミュレーションの結果、65歳での発症確率は11年時点の5・3%から10・5%、70歳では15・1%から22・3%に増加し、今より5歳程度早く発症することになるという。
 佐々木主任教授によると、熱中症を患って体温が40度以上になると、水晶体の温度も同程度に上昇する可能性がある。「目の温度が0・5度上がるだけで核白内障になるリスクはかなり高くなる。温暖化で患者は増えるだろう」と警鐘を鳴らす。
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白内障
 目の中でピントを調節する「水晶体」を構成するタンパク質の性質が変わって濁り目に入ってくる光が奥まで通りにくくなるなどして、物がぼやけて見えたり、光をまぶしく感じたりする。根本的な治療法は、水晶体を人工の眼内レンズに置き換えるのみとされる。
 
 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し

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