プレハブ監禁死 両親に懲役13年 長女10年放置「非人道的」
2020年3月13日 朝刊
大阪府寝屋川市の自宅のプレハブ部屋に長女を約十年間監禁、放置し二〇一七年に衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死と監禁の罪に問われた父親柿元泰孝被告(57)と母親由加里被告(55)の裁判員裁判で、大阪地裁は十二日、「最低限の尊厳を否定する非人道的な行為だ」とし、いずれも求刑通り懲役十三年の判決を言い渡した。
公判で両被告側は、長女愛里さん=死亡当時(33)=は統合失調症で、プレハブ部屋での生活は「監禁ではなく療養目的だった」と起訴内容を否認していた。
野口卓志裁判長は判決理由で、プレハブ設置の目的は「愛里さんの状態に合わせ、多少なりとも安定した生活を送らせようとした一方、同じ場所での生活を避け距離を置きたかった面も否定できない」と指摘。愛里さんの自由を奪い、社会から隔絶した環境に置き続けており「療養に尽力したとは到底認められない」と両被告側の主張を退けた。
その上で、死亡時の愛里さんが身長約一四五センチに対し体重が約一九キロと極度に痩せ、プレハブ内の室温を前年の冬より五度低い一〇度に設定していたことなどから「保護が必要と認識していながら怠った」と故意を認定。「畳一枚ほどの空間で生活させ、人間らしく扱われずに亡くなった結果は重大だ」と量刑理由を述べた。両被告の弁護側は控訴する意向を示した。
判決によると、両被告は〇七年三月から、自宅敷地内にある約一畳のプレハブ部屋に愛里さんを入れ、外側から鍵をかけて監禁。生存に必要な保護を与えず放置し、一七年十二月に低栄養状態で凍死させた。
◎上記事は[東京新聞]からの転載・引用です