不確かなのも現実。

実は僕…
お尻にリスを飼っているんです。

嘘です。

とりあえず4月1日。
とりあえずエープリルフールで
とりあえずこんな嘘をついてみました。

それはさておき
本日
エープリルフールとは別なお話。

東北関東大震災。
地震の日のその瞬間
僕は荻窪のとある温泉施設(健康ランドっちゅうの？)のフロントにいた。
以前も当ブログで書いたが
その日は当社スタッフの送別会を予定していた為
僕は当日の仕事の一部を前日に頑張って済ませ
その日回る2店様をトントンと回り
早々に東京へ戻って来ていた。

せっかくだから都内のお取引先さんに1店程寄ろうかなとも思ったが
それにしてもまだ時間が結構あった為
ひとまずひとっ風呂＆ひとっサウナとしゃれこむか
ってな具合で荻窪のその施設の入口をくぐる。
靴を下駄箱に入れ
入泉チェックインをする為に並んでいた。

そんな時
ゆれた。

実は僕、はじめはそのゆれに全く気付かなかった。
気付いたのはゆれが始まってから少し後だ。
その時
僕の後ろに並んでおられたお婆ちゃんが
ぼーっと突っ立つ僕の背中をしきりにたたき、つかまりこう言った。
「おたく、ゆれてますよねこれ…
ちょっとこれゆれてますよ！」

はじめ僕は
お婆ちゃん自身が発作か何かでゆれているのかと思った。
失礼な話だが(笑)
何だかぷるぷるしていたし。
お婆ちゃんこりゃヤバいと思い
「どうかなさいました？
お身体大丈夫ですか？」
なんて声掛けする僕。
お婆ちゃんからしたらどんだけトボケた男に見えたろう。
当然お婆ちゃんは何も答えずしゃがみこむ。

僕は周囲を見渡した。
フロントロビーにいた方々みな何かにつかまったり
しゃがみこんだりしている。

僕は入口を見た。
自動ドアが狂った様に開閉を繰り返しており
そいつを支える枠組みが
アニメの様にしなやかにクネクネとうねっていた。

そしてその向こう側
そう、外ではたくさんの人達が集まり
腰をぬかしたり、悲鳴を上げたり、泣いたりしていた。

そこではじめて
僕の脳は地震をキャッチし認識したのだ。

これ
地震だ！と…。

遅いっ！
人間、予期せぬ事態に陥ると
脳がそれを理解するのに多少の時間を要するのかもしれない。
にしては遅すぎた反応である。

そしてしばらく呆然と立ち尽くし
徐々に状況を飲み込んでゆくうちに思う。

これ
地震は地震でも
ヤバいやつだ…。

しかし何故かゆっくり靴を履き
外へ出て
ぬぼ～っとウロウロしたのだった。
なんちゅうか
途端に夢の世界へ飛んでしまったような
感触があやふやで不確かな世界に迷いこんでしまったような
そんな感じだった。

ただその時の温泉施設の内と外の光景と
僕の目に飛び込んで来た狂った自動ドアの画が
一連くっきりとした映像となって頭ん中にこびりついて
今も尚、まったく離れてくれない。
それはトラウマとなって僕の内側に残り
荻窪という街が鬼門みたいになってしまった。
だからもう二度と
荻窪の、温泉施設へは精神的な理由で行けないんだろうな。

…と、思い込んでいた。

あっさり行けたのね～。

今日はとっても暑かったのでサウナに入りたくなり
営業仕事も終わったし
明日は休みだし
帰りにちょいと寄るかな
なんて軽～い気持ちで荻窪に降り立ち
その温泉施設へ入り
お金を支払いロッカーで裸になってから
「あっ！！！」
なんつって、あの日のあの瞬間を思い出す。

繊細なフリしてやっぱり僕
ちょー間抜けな鈍感野郎だったのね…。

ありゃりゃ
こりゃりゃ。

まぁ逆に考えりゃ
僕の心が荻窪のサウナに対して
重っ苦しい事になっていなくて良かった
くらいな事ではある。

さて施設だが
当然かなりの節電をしていた。
3種類あるサウナも
ロッキーサウナ1つを残してミストとアロマの2つは閉じられていた。
館内も無駄な電気は消されていた。
サウナ室のテレビで地震速報のテロップが出ると
素っ裸のおっさん達が身を乗り出してそれに注目していた。
おっさん達の話題は、もっぱら地震と節電と不謹慎についてだった。
全裸状態で、たるんだお腹をさすりながら
皆さん激論を交わし熱い汗を飛び散らせていた。

4月1日
エープリルフール。

3月11日14時46分に起きた出来事を
嘘にできたらどれだけ良かろうか。

今出来る事を
自分達が自分達に出来る事を
ひとつひとつ考えよう。

4月1日
今日は
省エネの日でもある。

めけめけ～。

写真。温泉施設。