時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

昔の日々

2014-06-19 | 舞台/役者
~前置き~

アンナは
世界に向けた公の顔
ケイトは
内に秘めた底知れぬ顔

今回
デヴィット・ルヴォーは
ケイトとアンナを
一人の女性として設定し
アンナを麻美れい
ケイトを若村麻由美
と別の人格として
演じると言う演出をしています

~あらすじ~

ディーリーとケイト夫婦は
静かな海辺の片田舎に暮らしている
そこへ
ケイトの旧友アナが訪ねてくることになった
20年ぶりに会うアナのことを
ケイトは「唯一の友達」と
夫に説明するが
久々の再会にもかかわらず
心躍らせる様子もなく
過去のことは思い出せないとも言う

ディーリーは
妻の胸の内が汲み取れない
どうやら
ケイトとアナは
若い頃にルームメイトだったようだ
2人の前に現れたアナは
大都会ロンドンで
ケイトと過ごした
娘時代の日々のことを饒舌に語る
その話を聞くうち
ディーリーも
ケイトと出会った頃の記憶を呼び覚まされ
結婚に至った道のりを話し出す

それぞれの記憶は
ケイトというひとつの「点」で
結ばれたかのようにも思えたが
たわいもない想い出話から
やがて思いがけない過去の情景が浮かび上がってくる
出会ったはずのない
ディーリーとアナには
接点があったのか
あいまいな記憶の中をただようケイト
果たしてそこに
「真実」の姿は見えるのだろうか



先週の土曜日
小生の
大好きな
麻美れいさんと
若村麻由美さんが共演する舞台
『昔の日々』を観劇して参りました
今回は
何の知識もなく
あらすじも知らず
まっさらの状態での観劇です
それこそ
一言一句
聞き逃すことなく
一挙手一投足
己の目に焼きつけるが如く
食い入るように
全神経を集中させて頂きました

アンナとケイトは
かつて
愛し合っていた恋人同士だったのか?
いや
実は
ディーリーがアンナに好意を持ち
アンナはケイトに好意を抱き
しかもケイトは
ディーリーが好きだった
ドロドロの愛憎劇!?

ケイトって生身の人間?
アンナって幻覚!?
アンナは
殺されたの!?
なに!?
舞台上の時空は
今なの?昔なの?
リアルなの
空想なの???

上質な
サイコ系エッセンスの効いた
サスペンス
ミステリーでございました
しかも
人の魂と精神
受動性と能動性
似て非なるモノを
アンナとケイトと言う
キャラクターに
見事に投影させ
小生を
心理的且つ精神的に
混乱させて
くれちゃったんでござますよ
まったく…



三人によって
再構築させられた‘昔の日々’が
実際存在したおか
そうでなかったのか
終には
夫婦の住む
片田舎のこの一室すら
現実だったのか
はたまた
空想だったのか

気が付けば
デヴィット・ルヴォーが描く
濃密な迷宮に迷い込み
混乱に
心ここに非ず的
精神状態で
舞台は終わり
劇場空間から
離脱するしかありませんでした
そして
日生劇場の1階ロビーから
ふと
帝国ホテル側の正面入り口をみれば
初夏を思わせる
まばゆい光に
唐突に
現実に引き戻され
帰途に着いたのでございます
恐るべし演出家
デヴィット・ルヴォー


        

難を言えば
何故
日生劇場などと言う
大きな箱を使った!?
作品の内容や
演出から言えば
世田谷パブリックシアター(600席)
それでも大きいかな?
新国立劇場(400席前後)
個人的には
シアタートラム(200席)の
小規模な劇場空間で
公演した方が
もっと緊迫感のある
舞台空間が
出来たのではと
思った次第です

そして
ディーリーを
堤さんが演じていたら
確実に
3回はリピート観劇していたと…


堀部圭亮さんが
云々では決してなくて
小生の中では
デヴィット・ルヴォーと言えば
堤真一なもので…

そうそう
女優さんが
観劇にいらしてました
すっげ~細かった
思わず
己の二の腕と
見比べてしまいました
足して二で割ったら
平均かな~


                稽古中の画像はチケットぴあ ニュース画像詳細より引用しています
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