縞模様のパジャマの少年

戦争という狂気の中で
　　　　　　　　 　無垢な魂に 真実は見えない
少年の純粋を食らったのは
　　　　　　　　　時代の歪みか 人の悪意か
慟哭のあとに訪れるもの
　　　　　　　　　それは永久の絶望



第二次大戦下のベルリン
8歳のブルーノは
ナチス将校である父親の昇進により
住み慣れた我が家を離れ
近所には誰も住んでいない
殺風景な土地に越してくる

遊び相手もなく
退屈しきったブルーノは
母親から禁止されていた裏庭を探検し
その奥の森を抜け
自分の部屋の小窓から見えた‘農場’へ向った



そこでブルーノは
シュムールと名乗る同じ歳の少年と出会う
‘農場’で働く大人たちと
同じパジャマを着たシュムール

「どうしてずっとパジャマなの？」
「兵隊が全部取り上げたんだ」
「父さんは軍人だけどそんなことしないよ」

その日から
有刺鉄線をはさみ
ふたりは心を通わせていく



戦争に引き裂かれた
子供の友情話など思うなかれ！
そんな
生易しい内容ではありません

見る者を
奈落の底に突き落とすような
心を打ち砕くような
非情な現実を突きつる
作品であります

ちょっと言葉が出ません


　　　　　　　　　　　　　　　　　

青い空と白い雲
森の緑と木漏れ日
一見穏やかな郊外の土地
美しい情景に似つかわしくない

煙突から立ち上る黒い煙
ユダヤ人撲殺現場を清掃するメイド
放置された縦縞模様のパジャマ
その向こうに見える
鋼鉄の扉

あの結末は
予想しがたい…
悲劇とか無残とか
当てはめる言葉が見つからない
それくらい
強烈な結末でした



今日は
64回目の終戦記念日
一見
平和そうな世界ですが
今も世界の何処かで
多くの命が
理不尽に奪われています