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第42回雄勝野草の会山野草写真展

2018年11月19日 | 地域の山野草

今年の湯沢市雄勝野草の会主催、第42回山野草写真展は11月13日から22日まで湯沢市生涯学習センターロビーで開かれています。雄勝野草の会の会員は40名。今年は自然観察の中で7名の会員が撮った66点の写真が展示されます。私の写真展参加は第39回からで4回目になります。

第42回山野草写真展に以下の7点、クルマユリ(川連町坪漆)、オオミスミソウ(美郷町真昼岳)、スカシユリ(鶴岡市白山島)、フジバカマ(京都府龍安寺)、ミズバショウとエゾリュウキンカ(奥小安三本杉湿原)、タニワタリノキ(川連町麓)、ヤブカンゾウ(川連町麓)の写真を出展することにしました。以下はその詳細です。                              

クルマユリ  (川連町外坪漆)

外坪漆の杉林の林道に咲いていた。この林道は国見岳の山麓で登っていくとかつて三梨城から川連城への古道があった場所に通じていた。現在古道は荒れて道の形はわからなくなっている。地名の外坪漆の語源はわからない。珍しい地名と思える。わが家でこの場所に1㏊ほどの杉林を所有している。昭和30年代に植林をした杉林を平成4年、17年に雄勝地方森林組合に委託して間伐作業を行った。杉林に陽が当たるようになって間伐2.3年後から山野草が多く見られるようになった。ヤマユリ、ホウチャクソウ、マムシグサ等の他にクルマユリが4.5年前からみられるようになってきた。写真のクルマユリには花被片に斑点がないフナシクルマユリ(斑無車百合)ではと思われる。斑点のあるクルマユリもある。7月八幡平を散策したが圧倒的に斑点のあるクルマユリでフナシクルマユリ(斑無)に出会うことはなかった。 外坪漆には両方のクルマユリがある。このフナシクルマユリは木立の陽の当たる場所に一株だけ咲いていた。周りが杉林で少し暗さの中でひときわ輝いて見えた。

オオミスミソウ (真昼岳)

4月初め真昼岳山麓の沢は、残雪が多くクルマで林道に入ることはできなかった。日当たりの南斜面にオオミスミソウが咲きだしたことを「渓風小舎」さんから聞いていた。オオミスミソウは園芸店では雪割草の名前で店頭に並んでいる、自然のものは見たことがなかった。「渓風小舎」さんへムリに頼み込んでクルマで出かけた。雪の林道を小一時間も歩いて咲いている場所へ辿りついた。その場所は比較的陽のあたる急斜面。小枝を探り寄せながら観察。ピンク、シロ花等無数に咲き乱れていた。少し早いのかムラサキ花はなかった。二か所を案内してもらった。当日は好天で早春のさわやかな一日となった。ブログ2018年4月18日に「オオミスミソウ(雪割草)」を書いている。

 

 スカシユリ (鶴岡市 白山島)

スカシユリといえば5年ほど前、初めて行った八戸市種差海岸のスカシユリは見事なものだった。大小の岩礁帯に散りばめたオレンジの花に圧倒された。鶴岡市の白山島のスカシユリは種差海岸と比べれは控えめだった。白山島は周囲436ⅿ、高さが72ⅿの 小さな島。砂浜から島まで177ⅿ赤い橋がかかっている。中央の白山神社は急傾斜の石段は263段の上に鎮座している。白山島へは今回で3回目の訪問となるが白山神社まで登ったことはない。小さな島は一周できる。ナミキソウ、センニンソウ、ハマボッス等があった。島を反時計周りで出発点近くでスカシユリが揃って咲いていた。岩屏風をバックに撮ってきた。 

フジバカマ (京都 龍安寺)

今年当地区は、秋田県で平成30年度「新嘗祭御献穀田」に指定された。5月17日の御田植祭、9月22日の抜穂祭を終え新米「あきたこまち」をもって10月15日伊勢神宮の初穂曳に参加してきた。帰途京都の龍安寺に足を延ばした。このフジバカマは方丈の入り口で撮った。フジバカマはキク科ヒヨドリバナ属、秋の七草のひとつで万葉集や源氏物語にも描かれている古くからの花。園芸種のフジバカマはサワヒヨドリとの雑種といわれている。中国原産といわれ京都府でも絶滅寸前種に指定されている。ブログ2014年10月15日「フジバカマと故高橋克衛公民館長」を書いている。30歳の時国交回復直後の訪問の機会があった。当時町長さんが送別会を開いてくれた。その時高橋公民館長は中国を訪問したら必ず「フジバカマを見て報告してくれ」と話した。当時11月の訪中で、広州から天津まで約一月間の訪問、熱烈歓迎の中でフジバカマについて記憶に出てこなかった。当時山野草に精通していた「鶴田知也」氏と交流が続いていたがフジバカマについて語ってこなかったことが悔やまれる。

忘れかけていたフジバカマを思い出したのは約10年前、「雄勝野草の会」入会後ホームセンターで苗を見つけた時からある。早速自家に植えた。園芸店で売られているものは改良種で、紫紅色や白色などがあるが本来のフジバカマは淡紫紅色で、花としては格別なものとは思えない。フジバカマは別名香草ともいわれ生乾きの茎葉にクマリンの香り(桜餅の葉の香り)があり、中国では芳香剤として利用されてきた。山上憶良は『万葉集』でフジバカマを秋の野の7種の花の一つにあげている。当時すでに野に逸出していたことがわかる。名は藤袴の意で筒状の花を袴に見立て、藤色とあわせてつけられたという。鶴田知也「わが植物画帖」第一集 市民新聞社刊 昭和49年7月に面白い記述がある。「ふじばかま 秋の七種(くさ)の員数をそろえる必要上、その末席に抜擢されたのがふじばかまではなかろうか?それほどつまらぬ花というのではない。とくにこれがなくてはならぬ理由が薄弱だからである。それにしても、酸度の強い火山灰地だろうと意にかいせぬその猛々しさは、あっぱれだと思う。」とある。京都御所や金閣寺でも見受けられたが龍安寺のフジバカマはとくに印象深いものとなった。

ミズバショウとエゾノリュウキンカ (奥小安 三本杉湿地)

冬季間通行止めの国道398号線は5月の始めになると開通となる。この道を通ると湯沢から仙台迄約3時間で結ばれる。宮城県との県境近くの奥小安の三本杉周辺は雪に覆われているが春の日差しで湿地周辺から雪が徐々に消えていく。かつて仙台領の文字、温湯に通じる峠超えの要所。雪消えになると三本杉側の湿地と近くの田代沼にミズバショウが咲く。そして黄色の花、エゾノリュウキンカも同時に咲き出す。白いミズバショウと黄色のエゾノリュウキンカのコラボはすばらしい。エゾノリュウキンカは食用で、おひたしなどで食べられる。葉の形がふきに似るいるので「ヤチブキ」とも呼ばれる。似た花にエンコウソウがある。山形県の鮭川村米湿原に群落がある。

タニワタリノキ (川連町 麓)

タニワタリノキは数年前ホームセンターから求めてきていた。別名、人工衛星の木等いわれ玉状の花冠は独得。九州南部は中国やベトナムの分布され、谷間に好んで生えることから名がついたという。球形の花の先端につ突きだしている雌しべ。少々厄介なのは株が猛烈に増えるので毎年の切り詰めている。葉がアザミに似た球形の花、色は青から瑠璃色に近いヒゴタイが庭の一角にある。

ヤブカンゾウ (川連町 麓)

自宅の屋敷に古くから山からの水路、堰が住宅を貫通している。ヤブカンゾウはこの堰沿いに古くから居座っている。カンゾウ(萱草)の意味はこの美しい花を見ていると物も忘れると言う故事からの漢名で、忘れ草とも言うニッコウキスゲの仲間とされる。日本に中国から渡来、ヤブカンゾウは、三倍体のため結実しないとされ根茎(匍匐茎)の移植でふえる。一日花ともいわれているが翌日まで咲いているものもある。わが家のヤブカンゾウは堰沿いの石組み間から生えているのが一番花も大きく豪華に見える。