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アカトンボ誕生

2008年07月10日 | 農業
今年もアカトンボの羽化が始まった。
当地方今年の梅雨はほとんど雨のないカラ梅雨状態。
7月に入りやっと梅雨空にはなったが、各地で報道されるような強い雨はない。

そんな中でアカトンボの羽化誕生がいつもの年よりいくらか遅れはしたが最盛期に突入した。
最も誰もが言うアカトンボという名前がついた種のトンボはいないそうだ。
分類学的には通常はトンボ科アカネ属(アカトンボ属、Sympetrum属)に属するトンボを総称して呼ぶ。日本ではこのアカネ属に属するトンボは21種類記録されている。

通称アカトンボと呼んでいるのはナツアカネやアキアカネのことらしい。
我が家の田圃のアカトンボもこのナツアカネやノシメトンボが主流のようだ。
中には、はねの先ではなく、すこし内側によったところに赤いバンドがあるミヤマアカネらしいものも見られる。

我が家の田圃と他の家のたんぼとに大きな違いがある。
あきらかにアカトンボの誕生が抜群に多いのだ。
その差何倍だろうか。
5、6倍とも10倍とも思える。
それくらい、アカトンボが多い。

昭和50年代のはじめに当地方は大がかりな圃場整備事業がおこなわれた。
当時、農家が長年にわたってつくってきた耕土がいとも簡単に整備事業で崩壊してしまった。
整備された田んぼは一部では耕土が深く埋められたり、礫がむきだしになったり、湧水が出てとても水田とは思えない圃場がうまれてしまった。
私たちはこれを宅地開発方式の田んぼと呼び、官製欠陥田は許さないと運動を起こした。
詳しくは薄井清著「現代の農民一揆」たいまつ社(1978)に詳しい。

以来、今でいう減農薬、減化学栽培。
農薬はなるべく控える、化学肥料は慣行の半分以下での栽培。
そして、自然乾燥で稲ワラをすき込まず、堆肥散布で土づくり。
そのことがアカトンボの幼虫が生育するのに適した結果なのだろう。
他の人の田圃とせいぜい1㍍の畦畔を境にして一目瞭然なのだからおもしろい。

この時期の誕生で田んぼから山へと移動し、お盆も過ぎて稲刈りの季節にはまた田んぼに帰って産卵が始まる。

一茶の句
「とんぼうの尻でなぶるや隅田川」
を拝借すれば
 「とんぼうの尻でなぶるや稲田かな」
の光景が広がることになる。

温暖化、バイオ燃料等で穀物高騰が報道される今年の作柄はどうなることか。