手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

漆塗り入門編

2011-11-12 07:26:16 | Weblog
漆は、英語でJAPANといいます。

何気なく使っているJAPANという英語は、実はうるしという意味なのです。

日本の漆は歴史が古く、縄文時代に遡ります。

青森県三内丸山遺跡{縄文時代前期から中期(前5500年~4000年)}から、漆塗りの器や櫛が出土しています。

縄文人は、かなり高い技術を持っており、分業ができる組織があったようです。

漆は、中国から伝わってきたという説がありますが、こうしてみると日本起源説や同時発生説の可能性もあるようです。(室瀬和美 漆芸家 人間国宝)

漆は、漆の木から出る樹液です。これを、精製して塗料にしていきます。

木から採取した漆のままでは、接着剤として使用されますが、色漆としては使えません。

漆掻きは、6月から始まり9月いっぱいまで行なわれます。

鳥取では、佐治漆が有名でした。

本物の漆は、絶対かぶれます。しかし、かぶれて免疫が体の中にできれば、かぶれなくなります。

最近かぶれない漆というものが売っていますが、それは本当の漆ではありません。

漆はかぶれるものなのです。(成分がそうなっている)

漆器も、完全に乾いたものはかぶれることはありません。

乾きが中途半端で生乾きの場合のみかぶれます。

塗り重ねられた漆の光沢は、最高です。この光沢に勝れるものはありません。

漆器は、日本人の心のふるさとと思っています。

今の日本人は、プラスチックの器や代用の器で、箸もプラスチックや割り箸で代用しています。

ウレタンなどで表面塗料を施した器は、きれいですが味わいはありません。

丁寧に作り上げられた、漆の箸や器で毎日食事をする。大事に育てられて作られたお米で、ご飯を感謝していただく。

そのなかで、日本人の優しい心が育つような気がします。

ざわざわした世の中は、大事なひと時を無視しているかのように思います。


                       つづく