独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

衝撃!きものNEWS(2)

2009-07-07 | きもの

ゼロからの再出発が必要

京都大学の若林靖永教授が京都織物卸商業組合から委託を受け、作成した調査研究報告書「これからの呉服業界」は、ピーク時2兆円を越えた市場と比較して市場規模で15%、3,200億円、数量ベースでは京友禅は3.8%にまで衰退している状況の中、さらに深刻なのはきものを自分で着ることが出来ない、着物を最近買ったことがない、一度も買ったことがない、呉服店に行ったことがない、という状況が広がり、もうかつての呉服市場は存在しないという認識を業界人は持つべきと、厳しい指摘を行っている。そしてここまで「呉服市場が崩壊」してしまっているから、これからの呉服業界はある意味、もう今までの延長線上ではなく、ゼロからの出発、これまでとは違う「創造的破壊の挑戦」しかないのではないか、と。もちろんこれまでと同じように着物愛好家は存在しており、これまでと同じやり方を継続することが有効な場合もあることは認めるが、全体としてみれば、新しいアプローチで新しい市場を「創造」する以外に道はないと提言している。

レッド・オーシャンとブルー・オーシャン

現代の競争市場においては、「レッド・オーシャン」と「ブルー・オーシャン」という2通りの戦略的方向があり、すでに存在している既存のニーズ、すでに売れている製品、サービスの模倣というようなアプローチでは、結局は価格競争に陥り、規制や特許や立地などの差別化要素がなければ、互いに血を流し合う血みどろの海=レッド・オーシャンになってしまう。これに対して、いままで誰も見たことのないような潜在ニーズ、まだ存在していない画期的な新製品、サービスの創造、提供というようなアプローチは、成功するかどうかのリスクはきわめて高いかのように思われるけれども、競争者は全く存在せず、いったん市場を獲得し、拡大しはじめれば高収益を獲得し、競争者が登場しても先発者優位を持ってさらに前進する、いわば青く広がる大海原に航海するような=ブルー・オーシャンという状況がある。模倣追従戦略をとるか、創造的破壊戦略をとるか、いままさに呉服業界は、2つの道が問われている。

三つの市場

当然活路は、ブルー・オーシャン、創造的破壊戦略をとることにあり、市場創造のために、改めて「顧客は誰か」「その顧客が求めるものは何か」という観点からすべてのビジネス、製品、価格、サービス、宣伝広告、売り方を組み立てる必要があると指摘。そして「着物をよく着る層」にはより丁寧に信頼関係を築く販売が求められるが、この層は大きく伸びないが堅い需要層で、問題は「着物が好きだが着ない」「興味はあるが着ない」「機会があれば着る」層、特に「興味はあるが着ない」層に対して有効なアプローチが求められるとしている。その上で女性を働く、働かない、正規、非正規、専業主婦、未婚など様々な状況、ライフスタイルから分析し、今後可能性のある新市場として4つのアプローチを提案している。

①ガール/未婚で無職、高校生、大学生。卒業式、成人式、友人の結婚披露宴など、雰囲気で着物を着る層

レディ/25-35歳=上質な勝負服、上質なおしゃれを楽しみたい層

③ミセス/40-50代=若く見える、自分のおしゃれを楽しみたい層

④ライフステージ伝統と格式を守るフォーマル系として、お宮参り、七五三、十三詣り、成人式、卒業式、披露宴、花嫁花婿の衣裳、葬儀など冠婚葬祭でのきもの。日本の伝統行事、伝統文化、伝統精神の継承という意味で重要な意義を持ち、和の文化の拡大、普及としていう位置付ける。

きもの小売店の4大弱点

1)価格の安心感

2)商品提案の弱さ

3)問屋、催事依存

4)消費者とのつながりの弱さ

謙虚な姿勢でビジネスを通じて市場との対話をすすめ、消費者を理解する。この点を呉服業界では、きもの小売店は一部のお得意様を別として、消費者との継続的なつながり作りが出来ていない。すでに多くの消費者が呉服店で着物を買うという経験がほとんどなく、行きつけの信頼している呉服店も持たないという状況に、着物を買う店、情報入手先として年配の人も若い人も多くが百貨店をあげるのも、こうした最寄のお気に入りの呉服店を持たない状況が背景にある。洋装のアパレルでは、ファッションに関心のある多くの女性が自分に合ったお気に入りのお店を複数持っていて、季節の変わり目などに巡回して情報を入手し、選択購買しながら自分なりのファッションを作っていくのとは、大きく異なっている。着物の情報入手先は限られている。百貨店、呉服店、そしてキモノ雑誌、一般雑誌が多い。着物の利用が多い消費者は、様相と同様、着物に関心の高い消費者が友人でおり、彼女、彼らのクチコミ、おしゃべりが重要な情報入手先となるが、そういう消費者は極めて少ない。ほとんど着物と接点がないだけに情報は限られている。今後呉服市場を担うのは、消費者と直接接点を持つのは呉服店。したがって、呉服店にこそ「改革と新小売の挑戦」という2つの方向が大いに期待されるとしつつも、織商の研究報告書ですから、商品開発など呉服店と手を携えて、新市場を開発してゆこうと結んでいる。


享年60歳!

2009-07-06 | 広告

一世を風靡した「トースト娘ができあがる」「でっかいどお。北海道」「あんたも発展途上人」「幸服を買う」、「恋を何年、休んでますか。」そして、「AERA]のネーミングなどで知られるコピーライター・真木準が亡くなった。享年60歳。どちらかというと駄洒落っぽい、言葉遊びが好きなコピーライターだった。まさに同じ時代を生き、同じ、といってもかなり違う広告の仕事に携わっていたが、こちらはお構い無しにデザイナーのOさんなどと、いつも友人の1人のように「真木のコピー、いいよなあ」なんて悔しがったり、感心してみたり、いつも僕らの広告創りの目標でした。そんなコピーライターやデザイナーを互いに持っていたから、打合せしている時でも、飲んでいる時でも挨拶はいつも「最近、○○の広告は…」が挨拶代わりでした。60歳の早すぎる死にはビックリした。しかし、しかしそれ以上にビックリしたのは、最近の若い人がコピーライターの真木準を知らない、ということ。そうか、すでにコピーライターという職業や広告が、若者の注目を集めないのかもしれないが、広告の端くれに携わっているんだから、知ってて欲しい。広告にもっと関心を持って欲しい。頼むよ!


80歳のドレス

2009-07-05 | きもの
「結婚した頃にはウエディングドレスがなかったので、いつかは着たいと思っていました。80才の時互助会から無料でドレスの試着と撮影が出来るとの案内を頂いたので、早速電話したら、おばあちゃんでも大歓迎、ということで夫と出かけ、純白のドレスとベールを身に着け、夫と写真を撮った。まるで新婚当時に戻ったようで、夢が叶った記念として大切にしまってある」と今朝の読売新聞の投書欄。改めて女性はすごい。

愛想が尽きる!

2009-07-04 | きもの

「愛想づかし」は歌舞伎から生まれた言葉だそうでが、歌舞伎では相思相愛の男女の「縁切り」の時に女性が言う台詞です。「愛想」とは元々仏教用語で、好きなものに執着して、それを愛そうという気持ちを言うそうで、「愛想が尽きる」は文字通り、今度こそはと思ってみたものの、やっぱり!と相手の言うこと成すことすべてに失望して、もはや面倒見切れない、一緒に居たくない、という状態ですね。今度こそはと期待してみましたが、「人と過去は、変えられない」というNさんの言葉がいやに身にしみます。


ネーミングの妙

2009-07-03 | 広告
人形町にある焼き鳥屋・久助は、焼き鳥の美味さに加え、意外な焼酎を出してくれるのが嬉しい。先日は「鶏口となるも」という名前の焼酎で、本日は「一粒の麦」。「ただ一粒の麦なれど、大地にて芽を吹きたくさんの豊穣をもたらせり」という聖書の一節から命名されたそうですが、偶然でしょうが、いまの心境に対する励ましのようなネーミングの焼酎でした。もちろん麦焼酎で、飲み口もすっきり、爽やかでした。

アレッ!

2009-07-02 | きもの
少し時間ができたので、取引先や気になるHPを見ていたら、ゆかたの三勝㈱のHPに「5月27日号のアンアン」に三勝のゆかたが掲載されていることが紹介されていた。しかも掲載号の表紙を見てガ~ン!知らなかった。早速銀座の教文館でバックナンバーを確認。この時期には珍しい振袖姿の上戸彩が表紙で、特集タイトルはなんと「日本女子のたしなみ」。結構本屋さんには豆に通っているつもりでしたが、まったく記憶にない。日本の良さを意識して生活する、それがこれからの日本女子のたしなみかも、ということで総花的ではありましたが、なかなか楽しい特集でした。また密かに贔屓にしていた中里の「揚最中」が紹介されているのも嬉しかった。

嬉しき哉

2009-07-01 | きもの

いつもお世話になっている14geさんの満面の笑顔、嬉しさがこぼれています。本日は毎月開かれている呉服屋さんの勉強会が終わった後の懇親会での写真です。視線の先には2年間修行したご子息と修行先の店長さんが座っています。子供が親の仕事を継ぐということが、呉服業界では珍しくなった昨今、後継者、五代目としていよいよ本格的に働き始めて1ヶ月。取引先や同業者、仲間との顔合わせの日々で、本日の会議にも同席。自営業はけっしてラクな生き方ではありませんが、親の仕事を継ぐ一番のよさは、親が培ってきた数々の財産の中でも「人脈」を継げることではないかと私は思います。いつもの仲間も、本日は若い仲間が増えたことを歓迎してか、みんな嬉しそうに酒を飲んでいます。