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クジャクのメスは賢い

2018-07-28 14:51:26 | 現代史

鈴木紀之著 『すごい進化』
最も、興味がわいたのは、クジャクのメスはオスを相当、審査した上で選ぶということだった。人間以上にすごい脳を持っているのではないか。
 1 「クジャクのオスは美しい羽を広げてメスにアピール。メスは具体的にどのように判断しているのか。
 オスの羽にある目玉模様の数が求愛のコミュニケーションに重要。目玉模様が魅力的オスをアピールをするためのシグナル。
 しかし、目玉模様の数は一次審査だった。オスの目玉模様は少ない個体で120個。多い個体で160個。目玉模様がある標準の145個より少ないオスはメスから選ばれず。だからといって、目玉模様の数が多いほど、メスにもてるわけではない。
 メスはオスの目玉模様をまじまじと観察。まさか紙と鉛筆で数え上げるわけにはいかない。
 そこで、新たなシグナルとして、鳴き声が追加された可能性がある。目玉模様の数という一次審査を突破したオスは、甲高い声を響かせることがメスに対する重要なアピールだった。」
次に、チョウのオスはメスに交尾できれば、得という考えで、すでに交尾したメスの周りを飛び回る。メスにとって迷惑そのもの。進化学でもセクシャルハラスメントと呼ぶのは面白い。

 2「モンキチョウやアゲハチョウは、よく一匹のオスがメスの周りにまとわりつく。
 たいていは、メスはすでに交尾しており、受精に必要な量の精子を体内に蓄えている。
 しかし、オスは交尾できるかもしれないと思い、メスにちょっかいを出す。このオスの行動はメスには迷惑。オスがメスにもたらすこの行動を、進化学の専門用語で「セクシャルハラスメント」と呼ぶ。オスは不要どころか、繁殖の邪魔になる。」

三つ目に、テントウムシはアブラムシをエサにするが、テントウムシの子供に与えたいが、他の生き物に食われるかもしれない。
そのため、テントウムシは卵を産んだ時に、孵化する卵と孵化しない卵の二通りを用意する。テントウムシは子供の面倒を見ないが、運よく生まれた子供には孵化しない卵を用意して後にする。なかなかの頭脳プレイヤーだ。
 3「アブラムシは幼虫のエサを期待するには心もとない。テントウムシの母親は、孵化した幼虫がハンティングしやすいように、アブラムシのコロニー(群れ)の近くに卵を産む。しかし、産卵から孵化の間に他のテントウムシや肉食性昆虫がアブラムシを食べるかもしれない。このように近くのコロニーが失われた時は、幼虫は共食いをする。多くの昆虫同様に、テントウムシの母親は産卵後、子(卵)から離れる。その後も面倒を見ず。しかし、母親は不測の事態に備えて、わが子に「お弁当」を持たせる。テントウムシの孵化しない卵は、母からの幼虫への追加投資なのです。」
四番目に、昆虫はある植物の上に寄生し、食べ物にするが、かなり以前は、自由に植物を選んでいた。それができなくなった。時代が進むにつれて、植物は食べられたくない、昆虫は食べたいの欲望でせめぎ合いが続く。軍拡競争と名付けたのは名文句だと思う。

 4「アメリカの生物学者のエーリックとレーブンは論文で、軍拡競争にもとづいた仮説を提示。
 
 植物は昆虫に食べられないように「毒」となる化学物質を葉に貯めこむ。すると、昆虫は、その化学物質を体内でうまく解毒できるメカニズムを進化させる。植物も負けていません。今度は、別の種類の化学物質を作り上げて、昆虫の食害から葉を守る。このように、両者のせめぎ合いが続く。異なる種類が影響を及ぼし合い進化することを「共進化」という。共進化の中で、植物と昆虫は敵対的で、時間がたつにつれて、エスカレートするので、軍拡競争と呼ばれている。
 特定のペアで軍拡競争が進むと、昆虫は別の植物を食べられなくなる。軍拡競争によって、スペシャリストとなった状況を「進化の袋小路」と表現。共進化の歴史が現在のエサ選びを規定してしまったのです。」
 5「ダーウィンは、外来植物に注目して、近縁な種類どうしは同じ環境で暮らしにくいと気づいた。
  近縁な種類がすでに生育している場合、新たに持ち込まれた植物は定着しにくい。近縁な種類の存在が帰化に対する生物的なバリアになっている。今日では、「ダーウィンの帰化仮説」と呼ばれている。」
六番目に、重大事故が起こる前には、軽い事故が何度か発生しているという。その軽い事故が起こった時にいかに反省できるかが指導者、経営者の仕事となる。

 6「ハインリッヒの法則とは、現場における
 一件の重大な事故の背景に、数十件の軽微な事故が発生している。さらに、事故とは言えないが異常な出来事(いわゆるヒヤリ・ハット)が何百件も起きている。それぞれの事故が発生する回数はピラミッド型になっている。」
 7「DNAの配列が解析できるようになり、近縁種の一部のDNA配列が混ざっていることがあった。その原因は、近縁種との交尾を経て世代を繰り返すうちに、近縁種のDNAが浸透して取り込まれた。
  ホモサピエンスとネアンデルタール人とは別種ですが、同じヒト属に分類。互いに近縁な種類。およそ五万年前、両者はヨーロッパや中東で同じ時代を過ごした。
 眠りから覚めた古代のDNAは、ホモサピエンスの中にネアンデルタール人のDNAが数パーセント含まれている。ホモサピエンスとネアンデルタールが過去に交雑したことを示唆している。」
八番目に、最近、やたらと暑い。実際、36度と人間の体温より暑くなると、外に出るきがしなくなる。熱帯で生きている人は当然、温帯で生きている人より、動いたり、頭を働かせたくない理由がしみじみとわかった。
 8「ジャレド・ダイヤモンドは『銃・病原菌・鉄』の中で、「なぜ、ヨーロッパの白人はいろいろ発明して豊かになったが、パプアニューギニアや他の途上国はそうならないのか」と疑問を呈する。
  
 ダイヤモンドは、ヨーロッパの人々が暮らしてきた地理環境が文明の発展に有利だった、と指摘。」
 

 9 「マラリア原虫は単細胞の生物で、ハマダラカという蚊によって人へと媒介。人の幹細胞についたマラリア原虫は無性生殖で増え続ける。その後、赤血球へ侵入。高熱が出、死に至るケースあり。今でも、年間40万人の死者。アフリカ。アジア・太平洋諸島・中南米の熱帯で流行。
 しかし、特別に抵抗性を持った人々がいる。
鎌状赤血球血症の患者です。マラリア原虫は、鎌状になった赤血球に侵入できない。ある病気(マラリア)に対して有利になるために別の病気(貧血症)が維持されている。
 マラリアが流行していない地域では鎌状の赤血球はデメリットのみ。抵抗性が進化してほとんど分布せず。
 一方、古くからマラリアが流行している地域では、高い割合で、鎌状赤血球貧血症が維持。」